買いました!実は全話通して見たことはなかったので、とにかく通しで見るために買いましたよ!私がなぜ今エースを無性に見たくなったのか、その辺をちょっと語らせて下さい。
デザインが好き
エースのマスクって非常に独特で美しいデザインだなぁと思います。特に男女合体変身という設定からか中性的な姿をしているのが印象的で、耳の形状はピアスみたく女性的だなぁと子どもの頃から思ってました。
耳の丸だけでなく頭部にあいた穴とか含めて丸だったり球形のイメージが頻出するのも、エース以降の第二次ウルトラ作品のビジュアル的な特徴です。串団子みたいなタックガンやタック本部の椅子などあらゆる小道具に共通していますね。
エースといえば表情も本当柔和で優しい印象です。そんな彼が納谷悟朗の野太い声でヴゥンッ!とかデェエッ!とか叫ぶギャップも好きですね。
あと、エースから本格的に目が黄色になるんですが、これが後の客演ウルトラマンたちの目を黄色くしてしまうきっかけにもなったと個人的には思ってます。
ゾフィー、ウルトラマン、帰ってきたウルトラマンまではみな基本的に目の色は白色です。
ではなぜエースは黄色なのか?これはあくまで個人的な予想ですが、セブンを意識していたのではないかと思うのです。それまでのウルトラ戦士で目が黄色いのはセブンだけですし、特徴的な頭部の形状含めエースのデザインは間違いなくセブンを意識しています。
しかし、上述の通り中性的なキャラクターを目指す中でセブンの目の形状は男性的すぎたのでしょう。それまでのウルトラマンと同じ楕円の目に、色は黄色…と、要はウルトラマンとセブンのいいとこどりなデザインに落ち着いたのだと思います。
中性的な要素を排して男性的な強さやセブンっぽさを全面に出したのが翌年のタロウでしょう。
あとエースって、カラータイマーの装着を前提にデザインされた最初のウルトラマンでもありますね。
ウルトラマンには元々カラータイマーがなかったという話は、特に近年で言うと「シン・ウルトラマン」の影響もあって広く流布されるようになりました。
しかし装いも新たに誕生したエースは、胸部の赤いプロテクターの形状からしても、明らかにカラータイマーがあることを前提にデザインされています。
新しいウルトラマン?
…と言えばエースって非常にウルトラマンらしい姿をしていると思われがちですが、当時としては結構革新的な姿のウルトラマンだったと思います。
なぜなら、前作の「帰ってきたウルトラマン」は初代ウルトラマンの亜流デザインでしたから、完全新規デザインのウルトラ戦士が誕生したのって実はほぼセブン以来なんですよね。
特にエースは、元々「ウルトラエース」という名前で企画が進行していて、主題歌のレコーディングも「ウルトラエース」で済んでいたくらいです。それが商標登録の問題でやむなく「ウルトラマンエース」になったわけですから、本当のところ、エースは「ウルトラシリーズ」ではあるけれど「ウルトラマン」ではないという位置づけを狙っていたのだと思います。
つまり「ウルトラマン」と呼ばれる戦士は、あくまでもウルトラマンかもしくは帰ってきたウルトラマンの2人を指す呼称として区別し、彼らとは異なる種族として「ウルトラ・セブン」や「ウルトラ・エース」を位置づけようとしていたのかもしれませんね。
しかし彼の名前が「ウルトラマンエース」になったことで、「ウルトラ」シリーズが「ウルトラマン」シリーズになってしまったのは有名な話です。そして後続のタロウも「ウルトラマンタロウ」となり、ウルトラセブンだけが「なんでウルトラマンセブンじゃないの?」とか言われることになっちゃいました(笑)
挑戦的な70年代ウルトラ
「帰ってきたウルトラマン」の成功を受けて製作された本作ですが、時は1972年の特撮黄金期、生き残りをかけて「エース」にはあらゆる新要素が盛り込まれました。
- 「仮面ライダー」を意識した固定の敵組織・ヤプール人の登場
- 怪獣を超えた侵略用生物兵器「超獣」の登場
- 男女合体変身
- 前作でも好評だった「ウルトラ兄弟」の積極的な活用
これらはいずれも有名ですが、「仮面ライダー」を意識してたってそんなに近い時期だっけ?と思い、ちょっと調べてみました。
エースの第1話が放送された頃=1972年の4月、仮面ライダーはウミヘビ男と戦っていたようです。つまり、新1号編序盤、ダブルライダー編も終えためちゃくちゃ脂が乗ってる頃!そりゃあ意識せざるをないですね。
ただ、上述の新基軸の大半は、ウルトラ兄弟の客演以外ほとんど路線変更で消えてしまいます…。その理由は既に各所で語られていますが、エースという作品が、70年代特撮ヒーロー黄金期を生き残るため必死にあがいたその歴史を目撃したい、そして何がうまくいって何が失敗したのか、自分なりに考察してみたい、そんな想いもあります。
それだけではありません。当ブログの読者ならよくご存知の通り、私は「帰ってきたウルトラマン」の大ファンです。郷さんが去った後の地球がどうなったのか、郷さんの戦いがどのように引き継がれたのか、やっぱりそれが非常に気になります。
もっとメタな言い方をすれば、作風としてどう変化していったか、が気になりますよね。特に「帰ってきたウルトラマン」と「ウルトラマンタロウ」の間ってわずか1年しか隔てていないってすげー不思議なことなんですよ。あんなにカラーが変わるって1年で何があったの?って感じするじゃないですか。
その1年=「エース」の間に何があったのかってそりゃもっとちゃんと目撃しておくべきだよなと思います。
多彩な超獣、多彩な光線技
超獣という、怪獣を超えた存在をどう定義しようとしたかというのにも非常に興味があります。特に私が衝撃を受けたのが、第3話に登場したバキシムの撮影シーンです。
『ウルトラマンA』第3話「燃えろ!超獣地獄」の撮影風景。
— 中井かんいち (@ichikawakon) 2019年9月20日
右端に特撮の助監督を務めていた川北紘一が写っている。 pic.twitter.com/ezrAC8DCow
なんてデカさなんだ…と開いた口が塞がりませんでした。それにこの現場にあの平成ゴジラシリーズで有名な川北監督までいるというのがまたたまりませんね。
超獣はとにかくデカかったんです。怪獣のゲテモノ化等と揶揄されることもある超獣ですが、明確な悪意を持って生物兵器にされた怪獣という設定もとても面白い。
そして何より目を惹くのが、そんな強力な超獣を倒すエースの多彩な光線技の数々です。
というか切断技ですね(笑)
とかく超獣というのは首を落としても死なない個体も多く、そう簡単には倒せません。だからこそエースは多彩な光線技、切断技を披露しています。鮮やかな光学合成も魅力です。
それこそ、帰ってきたウルトラマンが途中で入手したウルトラブレスレットなんて不要な程、エース自身の能力として披露した技が本当に豊富でした。
そしてそんな多彩な技を繰り出せるのも、男女合体変身によって融合当初から安定した性能を引き出すことができたからではないか?という私の仮説の答え合わせもしたいところです。
よく死ぬウルトラ兄弟
あと、助けに来た割によく死ぬウルトラ兄弟(笑)
この作風には、クリスチャンでもあった市川森一脚本の影響があると基本的には考えていたんですが、その辺りももっとじっくり検証したいところです。死ぬという悲劇を通じて英雄化するようなちょっと変わった趣味が炸裂してるような気がします。
それと、後のタロウ客演時と比べてウルトラ戦士のスーツの状態がまだオリジナルに近いのはかなり魅力でもあります。
「タロウ」のはあれはあれで結構好きなんですけどね。
目がまだ白かったり、体の模様のラインにも違和感が少なく、ストレートにカッコいいなと思える姿だと思ってるのでその辺りも注目ポイントです。
まぁとにかく色々考察のしがいがありそうなエース、楽しみたいと思います。
(了)