ADAMOMANのこだわりブログ

特撮ヒーロー、アメコミヒーローを中心にこだわりを語るストライクゾーンの狭すぎるブログ

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【アイアンマン歴代全スーツ解説】⑧マーク85(ナノテク完成版)〜マーク50から何が進化したのか?〜

◆空白の5年と空白の34体

【ムービー・マスターピース DIECAST】『アベンジャーズ/エンドゲーム』1/6スケールフィギュア アイアンマン・マーク85

マーク50の敗北から5年。

トニーにも娘が生まれ、山奥のロッジでひっそり家族と暮らす姿が描かれており、あくまでも第一線を退いたことが強調されていた。シビル・ウォー以来預かったままのキャプテンの盾は娘のソリ代わりに。ペッパーを守るためのレスキュースーツのヘルメットもまた娘の遊び道具に。トニーなりの平和を享受しているであろうことが感じられた。

…が、登場したアイアンマンスーツのナンバリングはなんと85。ここに、「トニーの本音」が如実に現れている。

「知識に呪われた男」と呼ばれ、しかし自身の最強スーツ-マーク50-でも完膚なきまでに敗北したトニー。

サノスに返した彼のセリフが蘇る。

「俺の呪いはお前だけだ」

地球を、そして全宇宙の半分を、大切な仲間を守ることができなかったことへの後悔、そして完敗という雪辱、10年の苦節の果ての挫折。

ソーがサノスへの敗北を機に引きこもりゲーマーへと堕落してしまったように、トニーにはトニーの変化があったはずだ。それが、「85」という数字に如実に現れているように感じられる。トニーはずっと知識に呪われたまま、実はスーツ開発を辞められずにいたのだ。

「アイアンマン3」に登場した大量の試作スーツ群=マーク8〜41の33体の末に飛躍的な進化があったように、このマーク50〜85の間にも大きな変化があったと考えるべきだろう。 

◆マーク50を超える強度とスタミナ

とは言え、ナノテクスーツが完成したマーク50の段階で頭打ちにも思われたアイアンマンスーツの性能。しかし、その見た目と劇中での活躍からも、大幅な性能アップが伺える。

まず、「メタルスキン」然としたシームレスな見た目が印象的だったマーク50に対し、そのメタルスキンの上から重厚な金属プレートを重ね合わせた「メタルマッスル」然としたマッシブなスタイルが特徴的。

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【ムービー・マスターピース DIECAST】1/6スケールフィギュア アイアンマン・マーク85

とりわけ「エンドゲーム」終盤でもマーク50以上の死闘を見せたマーク85。しかし、サノスの片手一つでマスクがひっぺがされていた以前と違い、マーク85では一度もアーマーそのものが部分的にも破壊されることはなかった。強度面の強化はまず間違いない。

また、マーク50最大の弱点ともなっていた持久力の問題も大幅に改善されている。遠く宇宙を漂流した経験から考えても、トニーが真っ先に改善を試みたのはこの点だったのではないだろうか。

「インフィニティ・ウォー」が概ね24時間以内の出来事だったのに対し、「エンドゲーム」では時間泥棒計画の実行〜ナノガントレットの完成と最終決戦に至るまで、比較的長時間(2日程度?)に渡って稼働し続けていたようだが、一度もアイアンスパイダーで見られたようなチャージ場面が登場しなかったところから見ても、マーク50の2倍以上のスタミナがあると思われる。

 

◆原作コミックス風のスタイル

Iron Man: Armor Wars (Iron Man (1968-1996)) (English Edition)

Iron Man: Armor Wars (Iron Man (1968-1996)) (English Edition)

両腕と脚部のゴールドの比率が高くマッシブなマーク85。最後の最後にしてオールディッシュなコミックスデザインへのリスペクトが感じられる姿に。

と言うよりも、85体ものスーツ開発を経て最終的に辿り着いたアイアンマンの完成形が、コミックス版と同じスタイルだったと考えると、何とも感慨深い。

マーク46の記事でも紹介したように、過去既にこの原作スタイルのスーツはコンセプトアートとして存在しており、その映像化はルッソ兄弟の悲願及び最後のファンサービスでもあったのだろう。

マスクの形状は、額のV字ラインがより深くなり、マーク42以降も見られた鋭い眉のラインもなくなってシンプルな印象に。こののっぺりした鉄仮面も、原作コミックスを意識したものと思われる。

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MARVEL アイアンマン (コミック)6インチフィギュア マーベルレジェンドシリーズ 80周年記念 E6346 正規品

それでいて非常に嬉しかったのが、装着シーンでマスクパーツ開閉カットが追加されたこと。マーク50で失われたガチャガチャ感への物足りなさを嘆く声は多かったようだが、そこに応えたファンサービスであり、それに加えて装甲が強化された設定を視覚的にも説明した最終的なものであったのだろう。

 

◆インフィニティストーンが扱えるスーツ?

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【ムービー・マスターピース DIECAST】1/6スケールフィギュア アイアンマン・マーク85(バトルダメージ版)

ナノテクウェポンの大半はマーク50と共通していたが、ソーの雷撃を増幅して放つナノライトニングフォーカサーや、透明のナノシールド、指パッチン後のハルクを冷却したコールドスプレー等が新たに登場。

ヘルメットが展開できない場面では特製サングラスで右腕だけ装着したスーツを制御する様子も見られた。ちなみに、マーク50の装着シーンでもサングラスが消失していたことから、このサングラス自体ナノマシン製かもしれない。普段から身につけているものが実はアイアンマンスーツの一部だった、というのは面白い。

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【ムービー・マスターピース DIECAST】1/6スケールフィギュア アイアンマン・マーク85(バトルダメージ版)

尚、マーク85を「実はインフィニティストーンを6つ制御できるように開発されたスーツ」と捉えるむきもあるようだが、私はその説には疑問が残ると思う。

そうだとすれば、ハルクが指パッチンする際に真っ先にトニーが名乗り出るべきだし、最後に指パッチンを終えてもトニーは死ななかったはず。

ハルクのように苦しむ様子がなかったのは「演出」程度にも捉えられるが、マーク26(ガンマ)以降、ガンマ線への耐性も完備していることを思えばさほど特別な性能とも思えない。そもそもルッソ兄弟はトニーの死亡シーンにもっと残酷なものを考えていたらしい。

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それは多分ディ◯ニーが許さなかったのだろうが、やはりインフィニティストーンのパワーは絶対的なものであり、スーツなどの装甲とは無関係に所持者の肉体と精神に直接負荷がかかるようだ。

※使用後に全員がソウルストーンが作り出す精神世界の映像を見させられていることからも、たとえマーク85といえど、ストーンの干渉を避けることは絶対的に不可能なのだろう。

全ての想定外に対応しきることができた最強のスーツ、マーク85。そんなマーク85をもってしても、最後の最後まで想定外だったのは、トニー自身が犠牲となること。想定外だったからこそ、アベンジャーズは1400万605分の1の勝利ルートをとることができたのだ。 

 

◆ナノマシン開発の経緯についての考察

以前マーク50を紹介したときにも触れたが、マーク49以前とマーク50以後にはとてつもない性能の格差(ナノテクか否か)があると思っていた。

が、最近4Kの高画質で「アイアンマン3」を見返してみたところ、自動キャッチ型スーツであるマーク42の装着シーンが「もうほぼナノテクレベル」であったことに気づかされた。

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小型のプレートが多段的に展開していく際、パーツ同士をつなぐ超微細のパーツや配線に至るまでが高速で展開し接続されていく様は半ばナノテク。

そもそもマーク5(スーツケース型)の時点でその小型化技術はかなりぶっ飛んでいたと言っても良いだろう。 

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そもそも「アイアンマン2」で没になったカットの中には黒い液体状のスーツを展開するシークエンス:その名も通称ナノ・ボールが存在したらしく、我々が思う以上にトニーはずっと早くナノテク技術に肉迫していたのかもしれない


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 いずれにせよ、 小型化・軽量化・携帯化というアイアンマンシリーズの至上命題は、必然的にナノテク技術へと収束していく。実はアイアンマンスーツの開発=ナノテク技術の研究開発だったと言っても過言ではないかもしれない。

そうなるとうっすら浮かび上がってくるのが「アントマンスーツ」との近似性だ。

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というのも、アントマンほどの縮小化能力には到底及ばないが、例えばマーク46のヘルメット収納機構とそっくりな機能が、アントマンのヘルメットにも見られるのだ。

ピム粒子の有無が二者の間に横たわる埋めようもない大きな溝となっているが、同様に小型化を目指した両者がよく似た機構を戦闘用スーツに備えているというのは実に興味深い。それに、あれだけ小型のナノマシンがあそこまで大きな武装(ナノウェポン)へと展開される様子は、ナノマシンそのものが原子間距離を変えている=ピム粒子に近い働きをしているとしか考えられない。

そして更なる類似性を見出せるのが、ほぼ同時期に全く同じナノテク技術を導入したブラックパンサーだ

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シュリの天才的な頭脳はトニーをも凌ぐと言われているが、シュリとトニーがほぼ同時期にナノテクスーツを開発したというのは、偶然にしてはやはり出来すぎた話。

となると両者を繋ぐ共通項と言えばヴィブラニウム。マーク6以降、アークリアクターの新たな動力源となった最強鉱石ヴィブラニウムが持つ特性は、ナノテク技術開発にも欠かせない要素だったのではないだろうか。

とりわけ、ナノテクスーツに見られる柔軟かつ剛健な仕様は、まさにヴィブラニウムそのもの。そしてブラックパンサーのスーツが首飾り一つに収納されているところを見るに、超小型化にも実に適した金属だったのかもしれない。

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それを踏まえて考えれば、マーク50や85があんな小さな胸部格納ユニット一つに収まっていてもなんら不思議ではないだろう。

いずれにせよ、トニーがヴィブラニウムを獲得したことがアイアンマンスーツの飛躍的な進化を促したことは間違いない。その意味でもやはり、「アイアンマン2」は決して見逃せない作品だ。

そして、「アベンジャーズ」NY決戦を経て宇宙からの脅威に怯えるトニーが生み出したのが、プレ・ナノテクスーツとも言えるマーク42であった。

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まさしく「42」とは「究極の答え」(=ナノテク)への暗示だったわけだ。

それに加えて象徴的だったのが、ナノガントレットの登場だ。ニダベリアのドワーフが生み出す魔術的な能力を持つ武器の性能を、人類の科学技術によっていよいよ再現したのが、ナノガントレットだ。

【ライフサイズ・マスターピース】『アベンジャーズ/エンドゲーム』1/1スケールレプリカ ナノ・ガントレット

トニーの科学技術をもってすれば、もはやムジョルニアやストームブレイカーのような神器すら作れてしまうかもしれない。そんな神の領域にまでトニーは近づいてしまった。まさに、「十分に発達した科学技術は、魔法と見分けがつかない」のだ。

だが、トニーは決して神でも魔法使いでもない。「メカニック」である。

超人、ロボット、魔法使い...もはや何でもありのMCUにおいて、あくまでも人間として人間のテクノロジーの限界に挑んだ男、それが「アイアンマン」なのだ。

トニーの最後のセリフ、「私はアイアンマンだ」は、尊大なサノスを茶化したジョークであり、同時に彼のアイデンティティ-「ないなら自分で作れば良い」-を体現した最高のセリフであった。

 

これまでアイアンマンスーツの進化史を縦軸メインで追いかけてきたが、横軸で他のヒーローたちと絡めて考えても面白いのがMCU。トニー亡き今後のMCUにおいても、トニーの技術の断片が登場するかもしれない。

(了)

 

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