前回に引き続き、「アイアンマン3」に登場したマーク8以降の大量の試作機=通称アイアンレギオンの中から、マーク21〜30までを扱う。
単にスーツの機能や性能の紹介だけであれば、既に多くの資料が開示されている昨今(設定面の記述は「アイアンマン マニュアル」を参照)。
私なりに「なぜその仕様になったのか?なぜその性能が求められたのか?」をMCUの時系列とも繋げて考察(妄想)を交えながら紹介してゆきたい。
- ◆マーク21(ミダス:高高度飛行型)
- ◆マーク22(ホットロッド:ウォーマシンマーク2プロトタイプ)
- ◆マーク23(シェイズ:耐熱型)
- ◆マーク24(タンク:マーク17改)
- ◆マーク25(ストライカー:工事作業用)
- ◆マーク26(ガンマ:耐γ線・マーク25改)
- ◆マーク27(ディスコ:ステルス特化型)
- ◆マーク28(ジャック:耐放射線型)
- ◆マーク29(フィドラー:工事・戦闘兼任型)
- ◆マーク30(ブルースティール:高出力型)
◆マーク21(ミダス:高高度飛行型)
基本スタイルはマーク7を踏襲しているものの、何より目を引くのが全身金色のボディ。ギリシャ神話で、触れるもの全てを黄金に変えたいと願った強欲な王の名前がその由来。
装甲素材を金とチタニウムの合金に変え、低気圧や低温に耐えられるよう設計された、マーク20の改良版。より高高度が飛行できるようになっている。こうした進化の先に、マーク39(宇宙活動用スーツ)があるのだろう。アイアンマンスーツの活動領域を更に広げた一体。
全身金色と言えば、原作コミックスの懐かしい初期型スーツのオマージュとも考えられる。
※「アイアンマン」のマーク3製作シーンでも、ジャービスが金一色を提案していた。
或いは、日本人の少年目線から言えば幼年誌の懸賞企画でのみ入手できた、人気ロボットの金ピカバージョンなんかが思い出される。
ミダスは、そんなちょっと懐かしい魅力も秘めている。
◆マーク22(ホットロッド:ウォーマシンマーク2プロトタイプ)
ウォーマシンマーク2の試作機として開発されたスーツ。両腕両脚のファイアパターンは、トニーお気に入りの車両・ホットロッドからとられたもの。
マーク12を初めとして、スーツ素材の追求を重ねてきた結果、ウォーマシンマーク1と同強度ながら重量は1/3にまで絞り込むことに成功。「アベンジャーズ エイジオブウルトロン」では、完成したウォーマシンマーク2の身軽な空中戦が堪能できる。
ホットロッドが、最初からウォーマシンマーク2のためにデザインされたものなのか、たまたまホットロッドをローディが気に入ったのかは不明。しかし、背部にマシンガンを装備するためのレール状のパーツが備え付けられている点を見るに、前者の可能性が高い。
ホームパーティープロトコルでは、スーツを求めたトニーの呼びかけに応じて飛来したが、敵の攻撃で装着を阻止されてしまい、展開したままのスーツは鉄柱にハリツケとなってしまった。
◆マーク23(シェイズ:耐熱型)
「陽光を遮るもの」としてシェイズの名を冠した非常に個性的なマーク23は、耐熱性をとことん強化したスーツである。
高密度カーボンとセラミック、更に柔軟性の高い絶縁体で外骨格を形成し、表面を迷彩カラーで塗装。一見アイアンマンスーツだとは分からないほど独特な姿をしている。そのデザインラインはマーク40で再度活かされることとなる。
「アイアンマン3」では、エクストリミスを注入した改造兵士たちとの戦闘において、多くのアイアンマンスーツがその高熱攻撃に大苦戦。
キリアンの炎に耐えるシェイズ、なんて映像も観てみたかった気がする。
◆マーク24(タンク:マーク17改)
マーク17ハートブレイカーを更に堅牢な材質でパワーアップしたスーツ。ゴールドチタンと強化ケブラーで覆われた外骨格は、通常の2倍の強度を持ち、「タンク」の名に恥じない防御力を誇る。
ハートブレイカーからの派生アーマーはマーク18に続いて2機目。数ある試作機の中でもハートブレイカーが成功した実用的な機体であったことを示しているようだ。
◆マーク25(ストライカー:工事作業用)
いよいよマーク25からは、非戦闘用スーツが登場。工事作業用らしい黒と黄色で彩られたジャッキハンマーが最大の特徴。そのパワーはコンクリートをも砕く。劇中でも、ジャッキハンマーで敵兵2人を吹き飛ばす姿が見られる。
このストライカーを初め、マーク38(イゴール)といった非戦闘用(地上作業用)スーツの開発はこの後も継続されていく。しかしなぜ非戦闘用スーツが必要となったのか?
それは、このとき既に「ウルトロン計画」の構想が出来上がっていたからではないだろうか。
「ウルトロン計画」とは、勿論「アベンジャーズ エイジオブウルトロン」で見られたようなAIの暴走ではなく、全世界にアーマーを配備し、有事の際、即座に戦闘態勢をとれるようにしておく、いわば「アイアンマンスーツを使った世界安全保障制度」である。トニーは本気で、アイアンマンの技術を使った世界平和の実現を目指していたのだ。
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しかし、いきなり戦闘用スーツを全世界に配備することなど世論が認めないであろう。物騒な戦闘用スーツばかりではなく、日常生活でも活躍できるスーツを随所に配備していくことで、ウルトロン計画をスムーズに進めたかったのかもしれない。
実際、アベンジャーズが暴れた後のガレキの処理(ダメージコントロール)もトニーは請け負っており、ストライカーのようなスーツが活躍できる機会は充分にありそうだ。
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◆マーク26(ガンマ:耐γ線・マーク25改)
マーク26(ストライカー)の、耐熱性と耐電性を更に強化。加えてγ線(ガンマ線)にも耐えられるよう強化したのが、マーク26、通称ガンマだ。
γ線が直撃するような工事現場というのも正直考えられないが、 耐熱性を追求したマーク23(シェイズ)のように、極限空間でのスーツの耐性を研究する目的があったのかもしれない(その究極の成果が宇宙活動用スーツ、マーク39)。
γ線と言えばやはりハルク。その体色も、ハルクをイメージしたかのようなグリーンに染まっている。
そして、γ線と言えばもう一つ忘れてはならないのが、インフィニティガントレット。
マーク26ガンマの成果はマーク85にも活かされたに違いない(まさかこのときの研究が、将来宇宙全体を救うことになろうとは)。
◆マーク27(ディスコ:ステルス特化型)
カラフルな配色から「ディスコ」と名付けられたスーツは、マーク12をほぼベースとしながら、カメレオンのような光学迷彩機能を備えている。
オレンジの上にブルーが吹き付けられたのは、その配色がステルス機能を最大限引き出してくれるから。
静止中は完全に周囲に溶け込んだ迷彩になることが可能。マーク15(スニーキー)etcが目指した光学迷彩技術が、マーク27(ディスコ)にてひとまず完成する。
◆マーク28(ジャック:耐放射線型)
アーマーデザインは、ハートブレイカーの頭部にマーク8の胴体とマーク9の脚部…と、これまでに登場した様々なスーツの組み合わせ。
放射線断絶の為、非常に高い気密性で装着者を保護、高線量の中でも活動可能となっている。
独特のカラーリングは、放射線警告標識をイメージしているとも言われている。
防護機能に特化した分、従来より重量はアップ。
耐熱(マーク23)、耐電、耐γ線(マーク25,26)に続いて耐放射線。宇宙を目指して段階的に試作を塗り重ねているように思われてならない。
◆マーク29(フィドラー:工事・戦闘兼任型)
フィドラーとは「ヴァイオリン奏者」の意。左右で異なる腕の形状に着目したものと思われる。
見ての通り、マーク25・26のジャッキハンマーを左腕に装備しつつ、胸部にはマーク17系の巨大リパルサーを装備。超強力な必殺のユニビームが発射可能。工事用とは言え、左腕のハンマーアームも強力な殺傷武器となる。レフトアームで接近戦、胸部特大リパルサーで中距離戦にも対応した、遠近両用戦闘スーツだ。
◆マーク30(ブルースティール:高出力型)
詳細は不明だが、リパルサーの出力を更に高めることに成功、後継機となるマーク33=シルバーセンチュリオン同様、そのデザインは胸のリアクターを中心に鋭角でまとめられている。
マーク33同様、ヴィブラニウムブレードが腕に仕込まれているか否かについては劇中からは不明だが、同型スーツのため立体化されたフィギュア等では全て装備されている。
また原作コミックスにもそっくりなスーツが一瞬だけ登場するらしく、北極での活動用という、そのカラーリングにもぴったりな設定となっている。
残るマーク31〜41は次回後編にて。