adamomanのこだわりブログ

特撮ヒーロー、アメコミヒーローを中心にこだわりを語るストライクゾーンの狭すぎるブログ

やっぱり大好きアイアンマン!①〜アベンジャーズでは不遇な男〜

4K「アイアンマン」発売を記念して。

アイアンマン 4K ULTRA HD & ブルーレイセット(初回生産限定) [4K ULTRA HD + Blu-ray]

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本シリーズでは、敢えて「アベンジャーズ」等のアッセンブル作品での活躍ではなく、単独作品(1〜3)におけるアイアンマンを軸に、個人的な思い入れや魅力について語っていく。

アイアンマン (吹替版)

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本項①では、「アイアンマン」(1作目)を中心に、なぜ世界でアイアンマンが受け入れられたのか?を私なりに分析してみたい。

◆序・アベンジャーズでは不遇な男

「アベンジャーズ」なら見たけど、「アイアンマン」シリーズはまだ見てない、なんて人も結構いそうだが、それならすぐにアイアンマン3部作で本当の彼の魅力を知ってほしい。

なぜなら「アベンジャーズ」系の集合作品では、とことんトニースタークは悪者扱いされてきたからだ。

①「アベンジャーズ」

アベンジャーズ (吹替版)

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  • 発売日: 2013/12/19
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序盤から、シールドの裏を探りながら、ソーとガチでやりあい、ハルクことバナー博士をビリビリでおちょくり、キャプテンことスティーブには「ダサい格好」と皮肉を込めて大喧嘩に。

マーク7起動シーンや終盤の核ミサイル運搬など、正に主役とも言える大活躍だったとは言え、「2」まで見た人ならトニーのキャラとして理解できそうなものの、これだけだと嫌いな人は嫌いになりそう

②「エイジオブウルトロン」

アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン (吹替版)

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  • 発売日: 2015/09/11
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もはや主犯。ウルトロンを生み出し、結果的に暴走させてしまうという大失態を犯す。ただ、これは前作同様マインドストーンの影響が大きく、決してトニーの純然たる意志のみで起こったことではない。

マーク45のマスクのデザインも、「トニーが悪?」という作品コンセプトに従って強面にしたとか。

③「シビルウォー」

シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ (吹替版)

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  • 発売日: 2016/09/07
  • メディア: Prime Video
 

ソコヴィア協定賛成派の代表としてキャプテンと対立。トニーの言い分や心情も十分理解できるものだが、やり方がまずくて結局仲間たちから大ブーイング。

軟禁したワンダは脱走、味方だったはずのナターシャからも見放され、反対派の大半を牢屋送りに。投獄した元同僚=クリントには罵倒され、仲間割れの末、親友のローズは下半身不随の大怪我。体制側にも関わらずチームメイトほぼ全員からの信頼を失い、結果的にアベンジャーズ解散の遠因に。

 

…とこんな感じに、トニーがチームにかけた迷惑は数多い。

10人以上のキャラクター達がスクリーン狭しと大活躍するともなれば、アイアンマンの個性というのもかなりスポイルして表現せざるを得ないのだろう。

天才金持ちプレイボーイ

口悪いナルシスト

要はトラブルメーカー

と、こんな感じになってしまう(アッセンブル映画としては正解)。

だが、単独作の「アイアンマン」〜「アイアンマン3」を愛する我々にとっては、上記3点では余りにも物足りない、本来のアイアンマンの魅力というものがある。

◆9・11と共に消えた「強くて明るいアメリカ」

2000年代後半、どうして世界がアイアンマンに熱狂したのか

当時のアメコミヒーロー映画と言えば、後続ではあるが、クリストファーノーラン監督の「ダークナイト」シリーズのような、リアルかつシリアスな路線も台頭し始めていた。

ダークナイト (吹替版)

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  • 発売日: 2013/11/26
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その背景に(特にアメリカ人にとって)は、やはり9•11(同時多発テロ)があったのだろう。突如愛する人が爆炎に巻き込まれ、永遠に失われる悲劇。世界の富と繁栄の象徴たるアメリカ本土が歴史上初めて標的となった衝撃。

それ以上に彼らの自尊心を大きく傷付けたのが、結局「無かった」と言われる大量破壊兵器への攻撃と報復を目的としたイラク戦争だ。

news.yahoo.co.jp

以前のような(「インディペンデンスデイ」や「アルマゲドン」のような?)、シンプルにアメリカのパワーを誇示する明朗な娯楽アクション映画では、彼らの中に生まれた国家に対する「猜疑心」を誤魔化すことはできなくなっていたのだ。

そんな中彗星の如く現れたのがトニースタークという男だった。

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https://p-bandai.jp/item/item-1000145319

その才能と富で己の人生を謳歌。金と女に彩られた派手な私生活の基盤は軍需産業。「死の商人」とも罵られながらも、全く悪びれることなく「世界の平和は俺の武器が実現している」と吐き返す。

そんなトニーの姿はまるで、9・11以前の「明るかった頃のアメリカ」を見ているようだった。

 

◆ダサいアメリカをブッ飛ばしたアイアンマン

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https://p-bandai.jp/item/item-1000145319

しかしそんな「明るいアメリカ」の時間は一瞬にして暗転。トニーはテンリングスと名乗る中東系のテロリスト集団の奇襲に遭い、心臓からはカーバッテリーが生えた半死半生の状態で拘束。何より彼を驚かせたのは、そのテロ活動に自社の武器が使われていたことだった。

薄暗い洞窟で、捕虜を取り囲む黒装束の男たち。遠く中東の地で火を吹く自国の武器。観客を襲う強烈な既視感

それは、映画としてのシナリオ以上に、アメリカがこの10年で犯した過ちを皮肉なまでに映像化したものだった。

その後「マーク1」で奇跡的に生還したトニーは、己の人生を一変させる。

遠く紛争地域では、今も罪なき人々がテロの恐怖に怯えている。しかもそこでは自社製品が大活躍している理不尽な現実。トニーは自作のスーツで単身、紛争を終わらせるため銃弾の雨に身を投じる。

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【クオーター・スケール】『アイアンマン』1/4スケールフィギュア アイアンマン・マーク3

紛争地で引き裂かれようとしていた親子を救ったアイアンマンの姿は、私たちが9・11後、本当に見たかったアメリカの姿だった。それはそれは痛快な映像だった。

しかも、国家や組織の一員としてではなく、立ち上がったのはトニースタークという一個人。兵士としてでも、アメリカ国民としてでもなく、一個人の判断だったのだ。

 

◆DIYヒーロー

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ムービー・マスターピース アイアンマン トニー・スターク (メカテスト/2.0版)

政治家もマスコミも自分の会社すらも信用できない。ならば、自分でやってやろう。自分で作ってやろう。

それは、新しくもあり、古くは独立を勝ち取ったアメリカの自由を求めるフロンティア精神アメリカが本来持っていた根幹のアイデンティティとも重なった。

しかしそんな大仰なことを感じさせないほどに本作が終始ポップで楽しいのは、ひとえにトニースタークの陽気で豪放磊落なキャラクターにある。

そして、国も軍隊も企業もクソなら自分でやってやるというトニーの意志を、「スーツ開発シーン」が見事映像化してくれている。

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トニー・スターク (メカテスト/2.0版) 1/6スケールフィギュア

彼がスーツ開発に没頭する姿は、機械いじり大好き男子が狂喜乱舞する魅力に溢れていると共に、本作のテーマ、「Do It Yourself」というトニーの決意を見事映像化したものでもあったのだ。

 

◆私がアイアンマンだ

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©︎2020 MARVEL

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かといって、「アイアンマンがアメリカを象徴するヒーローだ」なんて陳腐な言説を並べたい訳ではない。

※アイアンマンがバットマンに並ぶ新たなポップアイコンの仲間入りを果たしたのは確かだ。

「1」のラスト、記者会見を開いたトニーは指定された原稿を捨て、自分の正体を明かしてしまう。「私がアイアンマンだ」と。

それまで、自ら正体を暴露するなどヒーローモノにおいてはご法度のようなものだった。よく似た境遇にある大富豪ヒーローのバットマンも、その正体は死守し続けている。

だがよく考えてもみてほしい。冒頭で「リアル路線」と紹介したバットマンより、スパッと正体を明かしてしまうアイアンマンの方が、実はよっぽど「リアル」ではないか。

自作のスーツで、まるでスーパーヒーローのように空を飛び回り、悪と戦うことができたとしたら?自分の強さやカッコ良さを、すぐ周りに自慢したくなるはず。アイアンマンはそんな、小学生男子のような危なっかしい無邪気さ:私的感情を剥き出しにした、史上稀に見る実に「プライベートなヒーロー」だった。

それまでのヒーローが、正体を明かさないことで生まれるすれ違いをドラマにしてきたのに対し、アイアンマンは正体を明かすことで生まれるドラマに挑戦することとなった。

つまりトニーは、彼個人の意志で誕生したプライベートヒーローであると同時に、正体を公言することで公人ヒーロー(パブリックヒーロー)にもなってしまったのだ。

そしてこの「パブリックヒーロー」というカテゴリーの誕生は、後に世界を席巻するMCUに特有の魅力の一つでもあった。

その意味でもトニーの記者会見はやはり、単にアイアンマン誕生の瞬間という意味を超えて、MCU誕生の記念碑的瞬間でもあったのだ。

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