ADAMOMANのこだわりブログ

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【アイアンマン歴代全スーツ解説】⑤マーク42〜45【自動キャッチ型〜ハルクバスターetc】

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◆マーク42

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アイアンマンマークXLII 1/4 1/4サイズフィギュア

「アイアンマン3」のメインスーツにして、大量の試作機の末に誕生した最新版。「42」という数字は、とあるSF小説の中でスーパーコンピュータによって導き出された「生命、宇宙、そして万物についての究極の疑問の答え」とされており、不安と恐怖に苦しみ続けたトニーが見つけた「究極の答え」の暗示でもある。

42

42

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そのため、マーク41までに生み出されたテクノロジーの全てがこの一体に注ぎ込まれており、ボーンズに次いで最も軽く薄い装甲ながら、イゴールにも匹敵する強度を兼ね備え、ハンマーヘッドやスターブースト同様深海や宇宙での活動も可能。パイソンやショットガンの技術も応用され、高エネルギー効率での長距離飛行もこなし、ハートブレイカーをも上回るユニビームを始め、強力な武装の数々を装備。文字通り史上最強のスーツだ。…設定上は

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S.H.フィギュアーツ アイアンマン マーク42

劇中では、完成直後の装着実験シーンが見られる。個人的にアイアンマンシリーズ史上一番好きな装着シークエンス。

トニーの全身に埋め込まれたマイクロチップをセンサーに、腕、肩、胸部、頭部といった各部アーマーがトニーに向かって飛来。通称「自動キャッチ型スーツ」とも。

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S.H.フィギュアーツ アイアンマン3 トニー・スターク

装着時にプレート状のアーマーが段階的に展開されていくため、多数の小型プレートを貼り合わせたような独特のデザインとなっている。

しかし未調整だったためか飛行スピードが速すぎてトニーを振り回すやんちゃぶりを発揮。床パンで「決まった」かと思ったら残る背部パーツの衝突一つでバラバラに崩壊。各パーツのクラッチング(装着強度)にも課題が残っていた。

クリスマスソングにノリノリなトニーの姿も合わせ、カッコいいアイアンマンと同時に三枚目なアイアンマンが楽しめる名シーン。

マーク42の魅力は、実はそのどんくささにあると思っていて、「決まりそうで決まらない」ところがどうにも愛らしくてたまらなく好きだ。実際、メインスーツでありながら劇中ほとんど故障中か充電中

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クオーター・スケール アイアンマン・マーク42

それもそのはず、バグったJ.A.R.V.I.Sが勝手に設定した飛行プランでテネシー州まで3000kmも飛行しエネルギー切れを起こして墜落。ようやく復活したかと思った矢先、今度は全パーツ1400kmものフライトを経てトニーの元へ集結。その頃には再びエネルギー切れのためカーバッテリーを接続して再充電。

 

そもそも、初陣となったマンダリン部隊の自宅急襲場面でも飛行すらままならず武装も起動不可。海中に没した際にはあっという間にヘルメットが浸水。最強のはずの性能はなかなか発揮されなかった。

しかしマーク42最大のウリといえば、自動キャッチ機能は勿論、リモートコントロール機能を忘れてはならない。体内のナノチップのデータをヘッドセットがスーツに飛ばし、トニーが装着しているときと全く同じ動きをさせることが可能。

これは、J.A.R.V.I.Sによる自動操縦とは全くの別物で、アイアンマンはトニーが着るからこそ性能以上の実力を発揮するということも意味している。

ニックネームをつけるとしたら「放蕩息子」(劇中でトニーもそう呼んでいる)。スーツの方が世話が焼けるからこそ、トニー自身の強さを感じさせてくれたマーク42は、やっぱり最高のスーツ。

 

◆マーク43

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クオーター・スケール アイアンマン・マーク43

不備だらけのまま実戦投入され、最終的に自爆させられたマーク42。そのダメだった部分を全て完璧に仕上げた、言わば完成版がマーク43だ。その姿は、マーク42の赤金をひっくり返したようなカラーリングのためか、スタンダードなアイアンマンのイメージに落ち着いている。

スーツの着脱はおろか、自動キャッチ機能もよりスムーズに機能しており(とりわけヴィジョン誕生シーンで確認できる)、終始安定した性能を発揮。

お馴染みのリパルサーレイに肩部や腕部内蔵のミサイル等、定番装備の数々も披露。「アイアンマン3」での鬱憤を晴らすかのような活躍ぶりを見せてくれた。

しかしやはり気になるのは、「アイアンマン3」でクリーンスレートプロトコルを実行し全てのスーツを手放したはずのトニーが、なぜまたスーツを作ったのか?という点。

それは言うまでもなく「アベンジャーズ」の存在があったからだろう。

これは完全に妄想だが、「アイアンマン3」の後、仕事の誘いでトニーを訪ねたスティーブかナターシャか誰かに、

スーツは全部捨てた」「でもアイアンマンはここにいる。俺自身がアイアンマンだから

とか何とか言って、誰にも理解されず冷たい視線を送られたのではないだろうか。

どういうやり取りがあったかは不明だが、要は「お前はアイアンマンである前に、アベンジャーズなんだ」ということを仲間に諭されてしまったのではないかと思われる。これは結構重要で、アベンジャーズ再合流=マーク43の誕生と共に、トニーは「私」を殺した、「私人」から完全に「公人」になったことを意味している。

アイアンマン3部作の終了は、「プライベートヒーロー」としてのアイアンマンの終了を宣言したに過ぎず、未だ宇宙からの脅威は地球を狙い続けている訳で、ここからは地球を守る「パブリックヒーロー」としてのアイアンマンの歴史が、泣く泣く始まる訳である(だから結果的にペッパーとの関係を犠牲にした)。

「泣く泣く」であって、仕方なく折れたような格好でアベンジャーズに間借りしているから、そもそもトニーには死ぬまでヒーローとして戦う意志はない。

だから「みんなで家に帰ろう、そのためにウルトロンを造ろう」、そう訴えたのだろう。アベンジャーズの解散を最も願っていたのはトニーだった。

 

◆マーク44(ハルクバスター)

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【ムービー・マスターピース】1/6スケールフィギュア ハルクバスター(デラックス版)

「アイアンマン3」のエンドロール後、実は映画の内容そのものをハルクことブルースバナーにフルで語り聞かせていたことが明かされる。しかも寝てるし。

これが「いつ、どこ」の出来事なのかまではさすがに判別が難しいが、おそらくマーク43の開発が決定=トニーのアベンジャーズ再合流が確定した後ではないかと考えられる。更に都合良く解釈すれば、この後(数日後?)、マーク44ことハルクバスターの共同開発を開始したのではないだろうか。

他のアベンジャーズメンバーに「アイアンマン3」での話をしてもあまり相手にされなかったのか、何となく話を聞いてくれそうなブルースを捕まえた、と考えるとなんだか微笑ましい。

ハルクバスターの開発にブルース(ハルク)自身が協力しているというのが面白いところで、何らかの事情でハルクが制御不能となった場合の「奥の手」が必要だと判断したのだろう。

※「アベンジャーズ」では、ヘリキャリア内にハルク専用の着脱可能監獄カプセルが登場(ソーがロキに嵌められて落とされたカプセル)。ある意味あれは「ハルクバスターマーク0」だったのかも。

だからこそ、ただ単に力でハルクを制圧するだけではなく、様々な想定の元でハルクバスターは作られたようだ。

①即応性

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【ホットトイズ・アクセサリー・コレクション】1/6スケールフィギュア用アクセサリー ハルクバスター拡張パーツセット

スーツそのものを人工衛星として地球の周回軌道上に。これで24時間地上のどこでも最速でスーツを展開することが可能。

②ドーム状の檻

しかしスーツの到着をただ待っている訳にはいかない。即座にハルクの位置を割り出し、放電機能も備えた堅牢な檻を投下して一時的に動きを封じる。これでアーマー装着の時間もなんとか稼げる。

③ハルクを上回る巨体とパワー

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ムービー・マスターピース ハルクバスター

全長3.5mという過去最大級の巨体で、ハルクをも軽々と持ち上げて飛行することが可能。格闘戦でも引けは取らない。そのパワーの源は、なんと11基ものリアクター。アーマーの各所に装備されている。

④スペアパーツ

かなり激しい戦闘となることが予想されるため、あらゆる箇所が破損することを前提に、空中待機しているヴェロニカから随時スペアパーツが補給される(それすら破壊されるシーンは衝撃的)。自動キャッチ型スーツの技術がここでも生かされている。また、劇中未使用ながら緊急時の脱出用ハッチ機能も備え付けられている。

⑤拘束具や麻酔系の装備

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【ムービー・マスターピース】1/6スケールフィギュア ハルクバスター(デラックス版)

拘束リング状の左腕も登場。ハルクを引きずるようにして市街地を抜ける際に使用。他にも麻酔ガスの噴霧装置や超高圧スタンガン等、最強の猛獣ハルクを鎮めるための様々な兵器が内蔵されている。

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ムービー・マスターピース ハルクバスター

「マーク43がコアユニットとなる」といった記述も見られるが、マーク43以降の機種ならどのスーツでも装着できると私は考えている。そうでなければ「即応性」が担保できないからだ。極論、ハルクバスターマーク2を見ても分かるように、スーツなしでも装着できるのではないだろうか。

しかしながら、スーツonスーツという言わば合体ロボのような、メカ好きなら興奮必至のガチャガチャとした装着シーンは確かに燃える。空中合体からのヘッドパーツ装着なんて、勇者ロボ世代の日本人にとっては失禁モノのはずだ。

ちなみにこのハルクバスター、比較的原作に忠実な部類だが、オリジナルではハルクに大敗を喫しているためMCU版は大金星と言えるだろう。

コミックスでは更に「ソーバスター」なるアーマーも登場。国連に頼まれたトニーが怒れるソーを鎮めるため、あのデストロイヤーをモデルに製作。どの世界でもトニーは苦労人のようだ。

◆マーク45

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クオーター・スケール アイアンマン・マーク45

知らぬ間に開発されていた新スーツ。

とは言え、「アイアンマン3」〜「AoU」まで丸2年以上間が空いていることを考えると、ハルクバスター含めより高性能なスーツの製作に成功していてもおかしくはない。

「AoU」では最終決戦時に装着し大活躍。見せた武装や機能の種類はお馴染みのものばかりで(リパルサーレイ、ユニビーム、ペタワットレーザーetc)個性的な特徴はあまり見られなかったが、裏を返せば基本装備だけでも高性能・高出力であったことを意味している。

ウルトロンの装甲を溶かしたヴィジョン・ソーとの合体光線や、ソーの雷と合わせてヴィブラニウム装置を破壊した最大出力のユニビームなど、そのパワーは神にも等しい。

尚、サポートAIはヴィジョンへと進化したJ.A.R.V.I.Sに代わってF.R.I.D.A.Yという女性型に変更。インストール場面では他のOSの存在も仄めかされており、以前から開発していたもののよう。

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クオーター・スケール アイアンマン・マーク45

スーツデザインはこれまでになくタイトで流線型。デザイナーが、"ウェアラブルフェラーリ"=「身にまとえるスポーツカー」という、アイアンマンが元々持っていた魅力を再志向した結果だそう。

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コンセプトは「種馬」!? ラ・フェラーリ後継モデルを大予想! | clicccar.com

そしてそのより人体に近い流線型のデザインコンセプトは、マーク50やマーク85まで貫かれることとなる。

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クオーター・スケール アイアンマン・マーク45

また、鏡面仕上げされたかのようなマスクやボディの光沢の強さも特徴の一つ。加えて、アイアンマンの失態がウルトロン事件の発端となることから「アイアンマン=悪?!」のコンセプトに基づき、顔つきは強面。

デザインの更なる特徴としては、リアクター周りの形状も六角形となり、マーク46以降も主流となる多角形デザインがここで初登場している。

尚、装着シーンが一切登場しなかったためマーク43のような自動キャッチ機能の有無は不明。上述のボディスタイルから考えてもスーツの分離機能は無さそう、かつもはや不要となった可能性も考えられる(顔パカすら無かったのが何より残念)。

基本スペックの大幅な底上げに成功したアイアンマンがこの後向かったのは、強度とスタミナと装着スピードの更なる向上。そして更には、流線型のボディラインに伴った、もはや皮膚のようなフィット感、つまりトニーの意識とのシンクロ率の向上が考えられる(その先にマーク50があると思われるがそれについては次回)。

しかしマーク45と言えばやっぱり忘れられないのが相棒・ウォーマシンとの共闘。軽口を叩き合いながら、「アイアンマン2」以来となる息の合ったコンビネーションを見せてくれる。

S.H.Figuarts ウォーマシン マーク2

S.H.Figuarts ウォーマシン マーク2

  • メディア: おもちゃ&ホビー
 

明るい2人の活躍が見られるのはこれが最後だなんて夢にも思わなかったが、一瞬「プライベートヒーロー」だった頃のトニーの顔が覗いた気がして、たまらなく嬉しかった。トニーの心休まる本当の仲間は、やっぱりローディなんだろうなと思える。

 

◆実物スーツの魅力

今回紹介したマーク42〜45は、トニーにとっては「プライベートヒーロー」から「パブリックヒーロー」へ、これまでと違う道を歩み始める分岐点とも重なるスーツ群だが、映像表現的にも大きな分岐点を迎えたと思う。

それは何かと言えば、実物のスーツによる撮影が激減してしまうことである。

その一つの象徴が、マーク45である。

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ムービー・マスターピース DIECASTアイアンマン・マーク45 1/6スケール

マーク45独特の流線型スーツについては上述の通りだが、そのほとんどがフルCGで描かれているが故の「浮いた感じ」はこれまで以上に強くなってしまった。何も「CGを使うな」なんてバカを言いたい訳ではなく、例えばこのマーク45の場合、ちょっと色気を出しすぎたのか頭が小さすぎる。要は、中に人間が入っているとは思えない頭身バランスになってしまっている。だからアイアンマンの存在だけがアニメっぽくなってしまうのだ。

そして、「CGの嘘っぽさ」と「リアル」の橋渡しをしていたのが「顔パカ(マスク開閉)」映像だったのだが、それすらなかったのは本当に残念で、中に「トニースタークが入って戦っている」感がどうしても薄れてしまうのだ(愛好家故の「重箱の隅」だと思ってもらって構わない)。

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クオーター・スケール アイアンマン・マーク42 

しかしそれも、大量のヒーローが同時にスクリーン狭しと暴れ回る「アベンジャーズ」シリーズではやむを得ない話で、上半身だけでもアップ用のスーツを作るよりもいっそ全身フルCGにしてしまった方が結局安上がりなのだろう(もっと言えば、RDJだけソコヴィア最終決戦の撮影スケジュールが合わなかったとしか考えられない。不自然なまでにトニーが顔を出さないのだ)。

その点、当たり前だが単独作品は予算もストーリーも全てヒーロー1人に充てられるからか、アイアンマンの場合、やっぱり「スーツの質」が違う。

勿論下半身など一部はCGでも、「寄り」になるとちゃんと実物のスーツが使われていたから、人とスーツの密着した芝居にも嘘がない。

スーツそのものが静物として佇む映像。嘘モノだけど、確かにそこにホンモノがあるから、映像はホンモノになる。

空を飛び回り、最新兵器で敵をズバズバ倒しまくるスーパーヒーロー、アイアンマン。そんな既存のイメージとは一味違った面白い絵が、例えば「アイアンマン3」にはたくさん登場する。

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©︎MARVEL

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あくまでスーツはモノだからこそ、それを着る中の人間がイキモノとして見えてくる。結果的に、特撮という嘘はホンモノっぽくなるのだ。

まぁ要は何が言いたいかというと、実物スーツもしっかり用意して、もう一度単独作品「アイアンマン4」が見たかったな、という、それだけと言えば、それだけの話。

近年、過去のMCU作品の4K ultra HD化が進み、家庭でも超高画質映像が楽しめるようになった。そんな超高画質だからこそ、素人にも嘘(CGか否か)は見抜きやすくなっている。

そんな時代だからこそ、今後のMCU含めヒーロー業界には、手間暇かけて作り上げた劇中プロップ=実物による撮影を少しでも増やしてほしいなと、個人的には思っている。 

(了)

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※過去のスーツ記事はこちら。 

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