今回は大好きなマーク50の最強とも言える性能と、それでもなぜ勝てなかったのか?を語りたい。
【ムービー・マスターピース DIECAST】1/6スケールフィギュア アイアンマン・マーク50
◆劇中での活躍と恐るべき性能
初のナノテクスーツ・マーク50は、これまでのアイアンマンの弱点をほぼ全てカバーした画期的な大発明であった。
アタッシュケース型のマーク5に始まり、飛行ポッド型のマーク7、自動キャッチ機能を搭載したマーク42・43と、「スーツ持ち運び問題」についてはずっと試行錯誤が続けられてきた。しかしマーク50の場合、胸部のナノマシンハウジングユニット一つを身に着けておくだけでこの問題を一挙に解決。
◆装着シーンの衝撃
印象的だったのはその装着シーン。胸部リアクターをタップするだけでまるで液体金属のように全身を覆うスーツ。その間わずか5〜6秒!印象的なテーマ曲のファンファーレと共に強烈なインパクトを残した(ちなみにサングラスって吸収された?)
そして自分より二回り以上は大柄のカル・オブシディアンにすかさずパンチを入れてからの、大型リパルサー増幅ビーム!
このナノウェポンがなかなか立体化に恵まれないのが実に歯痒い!いつかMAFEX辺りでやってくれませんかね?
しかし、それまで「ガチャガチャ感」が魅力だったアイアンマンにとって、あまりにもあっさりしたマーク50の装着シーンはやや物足りないという感想も目立った当時。
↑確かに、大がかりな装置で装着、というより組み立てをしていた頃がもはや懐かしいレベル。
マーク46等と同様、フェイスオープン機構は見られず、トニーが顔を出すときは頭部が丸出しになる方式。
だが、そんなこと以上にナノテクスーツが見せる華麗で変幻自在な武装の数々に魅せられたが最後、その価値観はひっくり返ってしまう。いつしか私も「あ、これはこれでアリかも」に変わっていった。
◆激変した戦闘スタイル
アイアンマンの装備は、事前に想定した作戦行動に合わせて武装が決まるため、想定外の事態に弱い。潜入用スーツでは攻撃力が下がり、攻撃力に特化すればスピードが低下する。間をとればどこかで不都合が生じる…という風に、毎度スーツのアップグレードが必要なのもこれが原因であった。しかしマーク50の場合、トニーの思考を元に装備を一瞬で具現化。
防御にはシールドを、飛行スピードを上げるためにジェットスラスターを、攻撃力を高めるために巨大クランプやハンマー、巨大ブラスターを、と武器を自在に換装することでこの問題を解決。
サノスがガントレットを使う際に必ず「拳を握っている」というところに目をつけた「ガントレット封じ」のように、ナノマシンを独立稼働させて相手の動きを拘束することも可能。更には宇宙船の穴を塞いだり、自身の傷口の応急処置を行う等、その汎用性の高さは凄まじい。
ちなみに武器生成の直前、ヘルメット内部のディスプレイ左下に、トニーが思考した武器のグラフィックが先行して登場している。トニーの思考とスーツが完全にシンクロしていることが確認できる。気になる方は是非見直して見てほしい。
更に、戦闘スタイルの変化で目覚ましいのが剣型武器の登場である。これまでは、スーツの構造上ヴィブラニウムブレードのような小型の仕込み刀が限界だったが、変幻自在のナノマシンを応用すれば近接戦闘用武器も瞬時に生成可能。
剣だけでも都合三種が確認され、加えて丸型や大型のシールドも登場。おそらくマーク50があれば、シビル・ウォーでもスティーブに圧勝できたのではなかろうか(という妄想も楽しい)。
更に、歴代類を見ない柔軟性の高さも忘れてはならない。
それまでのスーツはあくまでも「金属部品の組み合わせ」であったため、フレキシブルな動きへの対応に、どうしてもストレスが発生していた(その解決を目指して流線型となっていった)。
しかし、マーク50の体表はメタルの質感を持ちながらも関節機構がほとんど見当たらないシームレススキン、或いはメタルスキン。即ち金属の皮膚の様相を呈しており、トニーの動きに応じて各部の固さをナノマシンが随時変えているとしか思えない。
つまりマーク50とは、スポーツウェアのような柔軟な身軽さと、重金属の剛健さを同時に兼ね備えた恐ろしい大発明だったのである。
◆マーク50の弱点
そんなマーク50にもやはり弱点がある。それは、ナノマシンの有限性だ。
タイタンでのサノスとの決戦では、あらゆるナノウェポンを駆使しての総力戦で挑んだが、かすり傷ひとつが関の山。
スーツそのものを犠牲にしながらフルパワーのリパルサー攻撃に全てを賭けるも敗北。
スーツを維持することすらままならないまでにエネルギーを消費したところを見るに、さすがのナノマシンにも有限性があったようだ。
その後、宇宙を漂流するトニーの手元には、半壊したヘルメットのみが残されていた。
一体どのようなチャージが行われるのかは不明であったが、「スパイダーマン ファーフロムホーム」にて、同じナノテクスーツのアイアンスパイダーの充電器が登場。水槽の中を漂うようなスーツの映像が確認できる。
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おそらく同様の構造で、長時間のチャージが必要だと考えられる。
しかしながら、本来はこれだけの持久力・耐久力さえあればほとんどの戦線を勝ち越すことができるはずであり、劇中露呈した弱点など本来は弱点でも何でもないはずのものだった。それだけ、サノスの強さが規格外だった、ということである。
◆負ける運命の最強スーツ
「アイアンマン3」にてスーツという名の繭を脱ぎ捨て、胸に埋め込まれたアークリアクターも摘出し海に捨てたトニー。
しかし、「インフィニティウォー」で再び我々の前に帰ってきたトニーは、またもや胸にリアクターらしきものを着けていた。ペッパーにもそのことを咎められる姿はまるで「3」の冒頭、スーツ依存を指摘されていたあの頃のよう。
キャラクターが辿るべき成長過程を逆行するこの現象。トニーに一体何があったのか?
それは、キャプテンアメリカ、スティーブ・ロジャースの喪失、これがトニーを決定的に追い込むこととなったに違いない。
最も信頼していた戦友の裏切り-シビル・ウォー-。あれ以来トニーは「自分1人でなんとかするしかない」と再びスーツの繭に閉じこもってしまった。マーク50とは、1人で戦って勝つためのスーツだったのだ。
そして、一人地球を守る重責に苦しみ続けたトニーが生み出した最強の繭であり、しかし繭であるが故に敗北が運命付けられていた孤独で悲しいスーツでもあった。
◆ナノマシンが描くSFと現実の絶妙な境界線
ちなみに私がマーク50を愛好してやまないのは、アッセンブル映画でありながら主役級の大活躍を見せたスーツだったから。
別記事でも触れたように、アベンジャーズなどの集合作品になると不遇な扱いとなることも多いアイアンマン。
しかしマーク50に関しては、スローでじっくり魅せる装着シーンに始まり、最新のナノテク装備の数々を惜しげもなく披露しまくっての大活躍。「チームのサポート止まり」っぽかったマーク43や45等と違って、全力で挑まなければ死ぬレベルのまさに死闘となったからこそ、スーツの全性能が堪能できた。
確かに初期アイアンマンが持っていたDIYの魅力やガチャガチャ感からは遠くかけ離れてしまったかもしれない。そのテクノロジーはもはや魔法にも近い。
しかし、アイアンマンの進化の系譜を知っているからこそ、あくまでも科学技術の延長戦上にあるものとして、もしかしたら実現できるのかも?という領域でとらえられることこそがアイアンマン本来の魅力だ。
「◯◯ストーンの力」って言われたらどんな現象でも飲み込まされてしまうほど何でもアリになってしまったMCUにおいて、それでもきっちり「ナノマシン」という言葉で現実とSFの架け橋となってくれるアイアンマンが、やっぱり大好きだ。
高騰する前に買っておいて良かった…。
次回はいよいよラスト!マーク85を扱いたい。