前回に引き続き、「アイアンマン3」に登場したマーク8以降の大量の試作機=通称アイアンレギオンの中から、特に個性派揃いのマーク31〜41までを扱う。
設定面の記述は「アイアンマン マニュアル」を参考に、私なりに「なぜその仕様や性能が求められたのか?」をMCUの時系列とも繋げて考察(妄想)を交えながら紹介。
- ◆マーク31(ピストン:高速飛行型)
- ◆マーク32(ロミオ:ユニビーム強化軽量型)
- ◆マーク33(シルバーセンチュリオン)
- ◆マーク34(サウスポー:人命救助用試作機)
- ◆マーク35(レッドスナッパー:人命救助用)
- ◆マーク36(ピースメーカー:暴動鎮圧用)
- ◆マーク37(ハンマーヘッド:深海作業用)
- ◆マーク38(イゴール:重量物運搬用)
- ◆マーク39(スターブースト:宇宙開発用)
- ◆マーク40(ショットガン:超高速飛行型)
- ◆マーク41(ボーンズ:分離飛行試作型)
◆マーク31(ピストン:高速飛行型)
マーク30(ブルースティール)より採用された高出力の新リパルサーを装備。とりわけ飛行スピードを更に上げたスーツ。最高速度はマッハ5にも迫る。マーク40(ショットガン)が誕生するまでは最速の機体であった(おそらくそれがニックネームの由来)。
劇中では真っ先に敵に立ち向かい、真っ先に爆散した機体と言えば分かりやすいだろうか。エクストリミス兵3人に頭をもがれ、羽交い締めにされつつも、敵数名を巻き込んで大爆発を起こしていた。
◆マーク32(ロミオ:ユニビーム強化軽量型)
大型の胸部リパルサーユニットをハートに見立て、「ロミオ」と名付けられたマーク32は、マーク17から続くユニビーム特化シリーズの軽量化に成功した機体。これまでの試行錯誤も存分に活かされ、軽量ながらも耐久性はしっかりと維持されている。アーマーのデザインや機構はマーク29が最も近そうだが、ほぼ黒ずくめとも言えるカラーリングが独特なオーラを放っている。
ニックネームの由来だが、ハートブレイカーに続き、胸部周りの形状がハート型に見えることから、恋する青年のイメージとして「ロミオ&ジュリエット」から取られたのだろう。
◆マーク33(シルバーセンチュリオン)
マーク30から続く新リパルサーによる高出力型スーツの決定版。アイアンレギオン全体で見ても(マーク8〜41)、スタンダードな戦闘用スーツの決定版とも言える一体。
トニーもその仕上がりを信頼or気に入っているのか、ホームパーティープロトコルでも真っ先に装着(意図的にかアトランダムかは不明だが)、ペッパーの救出に向かった。
しかしキリアンの不意打ちをくらい、肝心の胸部リアクターを破壊され、窮地に追い込まれる。そんな時、起死回生の一手として発動したのが、手甲に隠されたヴィブラニウムブレード。
※あのキャプテンアメリカの盾の素材でもあり、トニーの新リアクターの動力源たる新元素、超希少金属ヴィブラニウム。武装にできるほどの量が安定して生成されているようだ。
数あるスーツの中でも特に印象的な活躍が多いのは、原作でも非常に有名なスーツだったからかもしれない。
原作シリーズでも長きに渡りトニーが愛用したスーツとして知られ、逆三角形のフォルムと、お馴染みの赤にシルバーをあしらったカラーリングが人気を博した。
33という数字も、三角形のフォルムから選ばれた数字のような気がしてならない。
◆マーク34(サウスポー:人命救助用試作機)
左腕に装着された大型の特殊アームから「左利き」を意味するニックネームがつけられた、災害時の人命救助用スーツのプロトタイプ。
地震やハリケーン等、甚大な自然災害を想定しており、レフトアームを使って瓦礫を撤去することが可能。
ボディアーマーも、危険地帯で活動するために強度を上げている。
◆マーク35(レッドスナッパー:人命救助用)
人命救助に特化したマーク34の発展型完成形。
※なぜ非戦闘スーツが必要になったかについては、マーク21〜30詳説記事内の「マーク25(ストライカー)」にて仮説を述べた通り。
マーク34にて開発された独特のアームは両腕に装備され、ボディ全体の形状も新造。より大きな瓦礫撤去にも適した大柄の体躯は、通常のスーツよりあえて重量を上げて設計されている。
実はアイアンマンスーツは、そのパワーと戦闘力の割に一度に救える人数が少ないことは、「アイアンマン3」の大統領機墜落シーンにて明らかになった通り。だからこそ、人命救助用にはスーツの作りそのものを一から見直す必要があったのだろう。過去のスーツとはシルエットからして全くの別物と化している。
全身の至る所に剥き出しになったスプリングパーツは、「巨人の星」の大リーグボール養成ギブスを彷彿とさせる(要は見た目がパワフル)。
そしてこの成果が、後のマーク38・重量物運搬スーツ(イゴール)誕生の契機ともなったと推察できよう。
3Dポリゴンのようなマスクデザインも個性的で、ユニークな全身のシルエットと合わせてどこか愛嬌があるスーツ。
劇中では敵兵数名に飛びかかられ、トニーの指示で飛来したハートブレイカーの援護も虚しく爆散。フェイスパーツを剥がされることで、全スーツが無人であることを説明する役割も担っていた。
◆マーク36(ピースメーカー:暴動鎮圧用)
マーク35をベースに暴動鎮圧用に改造されたスーツ。やはり多面体を組み合わせたデザインはそれまでのスーツよりも親和性が高いのか、暴徒と化した民衆相手の非戦闘スーツとしても向いていたのかもしれない。
「ソニックリパルサー」とやらを装備。通常のスーツと違い、音響弾のような効果を発揮する模様。「シビルウォー」でバッキーに向けて使用した特殊グローブがそれに近いかもしれない。
特記されてはいないが、その他にもガス弾やスタンバトンのような非殺傷系武器も体内に隠されているかもしれない。
その後のアベンジャーズシリーズでも活躍が見てみたかった所。
◆マーク37(ハンマーヘッド:深海作業用)
トニーがこれまで長きに渡って強度や材質の研究を塗り重ねてきたのはご存知の通り。その成果を活かせば、強力な水圧にも耐えられる深海活動用スーツも開発可能。
マスクと体色が独特なので気付きにくいが、ボディアーマーはマーク10と同型のものが使われており、胸部に複数備え付けられたリパルサーが深海での強力な推進力を生み出している。
劇中でも見られたように、赤外線スキャナーを装備。深海では強力なヘッドライトを使った目視の他、赤外線スキャナーによる暗視が可能。
ヘルメットが浸水してしまったマーク42を見ても分かる通り、案外水中での活動には弱いアイアンマンスーツ。そんな中にあって、ハンマーヘッドもまた革新的なスーツの一つだ。
◆マーク38(イゴール:重量物運搬用)
多くのスーツがその性能を発揮し切れずに爆散していく中、その個性を遺憾無く発揮してくれたのがマーク38・イゴールだ。
相次ぐ爆発の中、トニーの指示を受け一身に足場を支える姿は献身的で頼もしくもありどこか愛らしい。
そのアーマーは通常の5倍という史上最強の強度を誇り、100トンもの重量を持ち上げることが可能。超パワーの秘密は背骨の圧力サポーター。かけられた圧力と同じだけの圧力で押し返す特殊機構が背骨に内蔵されている。
面白いのは二つ名の由来。「フランケンシュタイン」を題材にした創作物によく登場する、マッドサイエンティストの傍らにいる背の曲がった助手の名前から来ているそう。
トニー自身、不眠症と不安神経症に悩まされながらここまで一気に大量のスーツを作ってしまった自分を自分で「マッド」だと皮肉っているところが何とも笑えない。
◆マーク39(スターブースト:宇宙開発用)
これまで、耐熱、耐ガンマ線、耐放射線…と様々な極限環境におけるスーツ耐性を研究してきたアイアンマンは、いよいよ宇宙へ飛び立つ。
マーク39にしてようやくトニーの念願が叶ったのではないかとも思う。そもそも、トニーにとって最大の恐怖=スーツ制作の最大のモチベーションは、「おっきな空の穴」=死にかけたNYでの体験と、宇宙からの侵略者の存在である。
いつまた訪れるとも知れない彼らの存在。そしてひとたび地球を離れれば途端に非力な己(スーツ)の弱さこそが、とことんトニーを苦しめてきたのだ。そして後の「インフィニティウォー 」では、地球で彼らを迎え撃つのではなく、自ら出向いて奇襲をかけるべきだと主張。この頃からその想いはずっと抱いていたのかもしれない。
ちなみにこのマーク39・通称スターブーストは、当初双子座を意味する「ジェミニ」と呼ばれていた(ここでは「ジェミニ計画」を意図している可能性が高い)。版権の都合で改名せざるを得なかった模様。
それにしても驚きなのは、背面の特設スラスターで大気圏を突破できること。このスーツ1着で単身宇宙まで飛べてしまうのだ(マーク23シェイズの耐熱機能は大気圏突破のためだったのかもしれない)。
ちなみに、PS4版ゲームソフトの中にもスターブーストそっくりな白いスーツが単身宇宙に向けて飛び立つ映像が楽しめる。
◆マーク40(ショットガン:超高速飛行型)
宇宙へ飛び立つほどの推進力を得たトニー。これまで追求を重ねてきた飛行スピード特化系スーツもいよいよ完成の時を迎える。
マーク40ことショットガンは、マーク31の最速記録をぶち抜き、その名の如く爆速でマッハ5を超えた史上最速の飛行スーツだ(スーツ原型はマーク23・シェイズ)。
劇中でもその強化されたスラスターの推進力をキック力やパンチ力に転嫁。しかし最終的にはキリアンにパワーで押し負け、スッパリと唐竹割にされてしまう。
ところで、なぜトニーは高速飛行能力にもここまでこだわったのだろうか?
それはおそらく、地球全体の危機に対応するためだと思う。というのも、ロキはたまたまNYを舞台にチタウリを召喚したが、今後はこれが日本になるかもしれないし、アフリカになるかもしれない。地球のどこであれ、最速でことに当たらなければ状況はどんどん悪化する。
この問題に対してトニーが出した究極の答えが「ヴェロニカ」であった。
装備一式を人工衛星にしてしまうことで、いつ何時どんな場所でも即座に対応できるようにしたのだ(この続きは次回の記事【マーク42〜45】にて)。
◆マーク41(ボーンズ:分離飛行試作型)
その名の通り、骨組みだけが露出したかのような簡素な作りの超軽量スーツがマーク41、ボーンズだ。各パーツが分離・飛行可能な、マーク42のプロトタイプでもある。
劇中「Gentleman!」の掛け声と共にスピンしながら分離、奇襲をかけて再合体するボーンズは非常にクールだった。
ちなみにこのマーク41、マーク15(スニーキー)同様没になったデザイン画から掘り起こされたスーツ。
なんと元々は「アイアンマン2」のアタッシュケース型スーツ、マーク5になる予定だったそう。そしてこのボーンズにも熱狂的なファンが多いらしく、お馴染みのアイアンマンカラーで別バージョンが発売されるほど。
ここまでで、3回に渡ってマーク8〜41を詳説してきたが、より各スーツの個性が楽しめるよう、性能ごとに34体をまとめ直してみた。
最後までトニーの「息子たち」の姿を楽しんでもらいたい。
そして次回はいよいよ「アイアンマン3」のメインスーツ・マーク42について、扱いたい。個人的に大好きなスーツ、多分長くなりそうだ。