ADAMOMANのこだわりブログ

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駄作と呼ばれた傑作「仮面ライダー剣(ブレイド)」②元々はレスキューポリス路線だった?

②元々はレスキューポリス路線だった?

前記事「①自ら破壊しまくった設定」はこちら

◆仲間割れさせる気などなかったのでは?

の記憶の片隅にあるホビー雑誌の特写。ブレイドとギャレンが握手している写真だ。仮面ライダーブレイド放送開始前の特集記事だったのだが、今考えれば「嘘予告」みたいなもので、実際には1話からギャレンは裏切り者と呼ばれ、その後、この特写のように手を組んで共闘するまでには実に約2クールも必要とすることになろうとは、当時の私も全く想像だにしていなかった。

最初からその構想があったのなら、そもそも握手をした写真など存在しないはず。実は元々は、ライダー同士が協力して悪と戦う番組が構想されていたのではないか?そう思って本作を振り返ってみた。

 

◆注目すべき初期設定

回の記事でも紹介したように、仮面ライダーブレイドは明らかに過去作との大胆な差別化を図ろうとしていた節がある。

 

その一つが、「職業ライダー」という設定。クウガもアギトも龍騎もファイズも、みなプライベートな時間を戦いに充てた「個人ヒーロー」だったわけだが、そこの刷新に目をつけたブレイドはなかなかに鋭かった。

特定の組織に所属し、組織の指令を受けて戦うヒーロー。職業ヒーローと言えば、実社会で言う警察官や消防士に近いイメージだったのかもしれない。

結局BOARDの壊滅でブレイドもまた「個人ヒーロー」化してしまうわけだが、「了解!」とか「私情を挟まないで!」とか「これが俺の仕事だ!」といったちょっとした台詞の中にその片鱗は垣間見える。

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組織所属のヒーローと言えば、それこそ往年のメタルヒーローやレスキューポリス系の再来をイメージした方が良いのかもしれない。

そう考えると、「目の前で火事に巻き込まれた両親を救えなかった」という剣崎の設定にも合点が行く。

更には、過去「はみだし刑事」などを執筆してきた今井詔二氏を前半のメインライターに据えたのも何となく理解できる。(それまでの)平成ライダー特有の重苦しい雰囲気を脱し、人情味溢れるドラマを描こうとしたのかもしれない。

加えてプロデューサーは、多くのメタルヒーローシリーズも手掛けた日笠淳氏。実は、仮面ライダーブレイドが当初志向していたのは、90年代のレスキューポリスシリーズに近いものだったのではないだろうか?総じて、「人情レスキューポリス路線」(仮称)とでもしておこう。

そう考えると、4人のライダーの中にあらかじめ人外のモンスターが潜んでいるところ(カリス)にも、「人と人ならざるものの交流」というテーマがより際立って見えてくる(カリス周りのドラマはほぼ予定通り展開されたとみるべきか?)。

 

◆原点回帰とも言えるデザイン

りわけ龍騎以降は、かなり奇抜なデザインのライダーが多く登場。これって仮面ライダーなの?と言われてしまう程、挑戦的なものが多かった。その流れの中にあって、ブレイドシリーズのそれは至って落ち着いている。

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確かにトランプのスートをデザインに落とし込むアイデアは奇抜と言えるかもしれないが、赤い垂れ目の大きな複眼があるだけで、誰の目にも「あ、仮面ライダーだ」と判別しやすいものになっている。ギャレンのデザインなんかはモロにV3カラー、ヒロイックでカッコいい。カリスのハート型の単眼は非常にインパクトがあるとは言え、ザビタンを彷彿とさせるスタイリッシュなデザインに落ち着き、総じて昭和っぽい姿をしているのがブレイドライダーズと言えよう。

そう考えれば、レンゲルの登場が遅れたのも「追加戦士」ポジションとしての想定があったのかもしれない。そして彼もまた、蜘蛛を身に纏いながらも大きな複眼の「仮面ライダーらしい」姿をしていた。

トランプデザインといえばやはり「ジャッカー電撃隊」が思い浮かぶが、昭和テイストの古風なデザインラインは、ブレイドシリーズの特徴であり、個人的には非常に嬉しかった点でもある。

 

◆詰め込まれた平成ライダーっぽさ

成ライダーもファイズまでに4作が続き、良くも悪くも「平成ライダーらしさ」というものが形成されつつあった。

①ライダー同士は戦え

これは、そもそもそういう設定であった龍騎はもちろん、アギトにおいても、3人のライダーが共闘するまで非常に時間がかかったことが象徴的(そこに至るまでのドラマがあったから面白かったのだが)。ファイズでも、巧の不器用な性格と草加の異常性が相まってしょっちゅうライダーバトルをやっていたし、デルタは敵に利用されるなど、3人の共闘は終盤まで待たねばならなかった。

第14話

第14話

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実はこれは製作側にとっても都合の良い展開なのかもしれない。怪人を倒さずに(=スーツを新造せずに)戦闘の見せ場が作れる(=販促ができる)からだ。

しかしその反面、ヒーロー側であるはずのライダーたちの人間関係が常にギスギスしたものとなり、一部の視聴者(及び子ども達)にとっては結構なストレスでもあった。

何より、ライダーが複数登場すれば、共闘シーンに燃えたいというのは誰しも期待するところではあるが、その沸点が中々に訪れないのはモヤモヤもしてしまう(程よい焦らしは楽しいが)。

②謎は終盤まで引っ張れ

アギトのあかつき号事件然り、ファイズの同窓会然り、とにかく縦軸の謎を引っ張りに引っ張るのが初期平成ライダーに多く見られた作風でもあった。それに引き込まれたのも事実、毎週欠かさず視聴してきたが、製作側としては、実はオチを考えずに引っ張っていたケースも多いということは付記しておきたい。

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しかし、これら①②の特徴は、作劇の展開上「結果的に」そうなったまでの話であり、わざわざそこを掬い上げて、「狙って」までやる必要はないのだが、それをやってしまったのが序盤のブレイドだった。製作当時の情報は限られたものしか見当たらず、またソースが不確定なものも多いためここに明記はしないが、ブレイドがわざと上記「平成ライダーらしさ」を突っ込むよう指示を受けて、いわば歪められてしまったのはほぼ確からしい。

想像してみてほしい。例えばレスキューポリスシリーズのどの作品でも構わないがあの王道作品群に、仲間割れや謎引っ張りを後付けで突っ込まれたとしたら。カオスな作品になるのも当然だろう。

しかしながら、職業ライダーという設定や、ライダー同士の共闘路線など、明らかに前作を意識して差別化を狙い誕生したはずのブレイドを、また前作までの作風に戻すという指示に誰も抵抗を示さなかったのだろうか?そもそも今井詔二ほどの大ベテランを呼んでおいて、全然タイプと違った作劇を要求するとは、これほどの失礼があるだろうか?

もう無理な話かもしれないが、「人情レスキューポリス路線」のブレイド、ちょっと見てみたかった気もするのだ。

◆次第に見えてくるブレイドらしさ

序盤に詰め込まれた「平成ライダーっぽさ」を具体的に挙げれば、ギャレンの裏切り、烏丸の失踪、カリスの存在、アンデッドの行動原理、ライダーシステムの弊害、ととにかく謎だらけの展開と、険悪な人間関係。序盤にして大量の謎に振り回される主人公。

第6話

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再会したギャレンとは共闘どころかろくすっぽ会話もなく早速ライダーバトル。しかし、序盤のブレイドはまだまだ弱いし、ギャレンは病気(恐怖心)で能力低下。正直この2人のバトルは見応えがない(横でカリスが天音を救うために戦っている分、メイン2人の情けなさが際立つ)。

ファイズでもライダーバトルはあったが、やりきれない仕方なさというか、バトルに発展する前の各キャラクターの描き込みがあったから、一応納得して見られたし、手に汗握って見守った。

しかし序盤のブレイドにはそれがない。だから、情緒不安定な大人の集まりに見えて、ついていくのにかなり疲れる。

第7話

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そんなブレイドだが、魅力的な悪役・伊坂の登場と、闇堕ちギャレンvsカリス、接近する始と剣崎、小夜子の死とギャレンの復活など、どんどん熱い展開が続き、レンゲルの登場以後、更に盛り上がってゆく

よく「ブレイドは後半(31話以降?)から面白くなる」と言われるが、なんのことはない、10話も過ぎた頃には十分見応えのある快作となり始めていた。

第21話

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やはり睦月のカテゴリーA(一時)制覇前後、夏頃のブレイドは楽しかった

戦闘力をどんどん上げつつ、生来の人の良さが光り始め、頼れる存在になってきた剣崎。睦月を育て上げることに生き甲斐を見出す橘。そして、そもそもの正体について少しずつ謎が明らかになってゆく始。見習い戦士ながら、未熟さゆえの危険を孕んでいる睦月。そして暗躍する様々な上級アンデッドたち

 

中でも特筆すべきは22、23話(奇しくも後半のメインライター會川氏初登板エピソード)。レンゲルが初めて自らの力でアンデッドを倒し、封印するエピソードと、カリス=相川始とカメラマン神丘令の交流を描いたエピソードだ。

第22話

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という訳でこの続きは次回!

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