ラクーンシティで発生した未曾有の感染爆発の原因は一体なんだったのか?
「バイオハザードRe:2」では、その詳細がいくつかのファイルを読み込むことで判明していきます。今回は中でも最終ステージである地下研究施設NESTを中心に徹底分析していきます!
「ある人物」のメール
アネットの言う「何もかもアンブレラのせいよ」というのはバイオハザードをプレイした方なら誰でもわかる話なんですが、彼女のこの言葉の真意はもうちょっと複雑なようです。
おそらく、
「アンブレラ本社が夫のウィリアムとこの地下研究所を見捨てたせいよ」
ということなんだと思います。
実際、アネットがいた下水道内のコントロール室には彼女がプリントアウトしたであろう「ある人物」のメールが残されていました。
オーエンズ室長というのは、アンブレラ本社の幹部のことでしょう。そして、このメールの送り主はおそらく、NESTのバイロン・カートライト部長です。彼は後のファイルで何度も登場する悲劇の中間管理職の男です。
「そうか、あなたたちが」とは、一体NESTで何があったのでしょう…?
研究の打ち切り
↑NEST所長兼天才科学者兼ラスボスのウィリアム・バーキンさん
ここで、NESTの最奥、ウィリアム・バーキンの研究室で入手できる彼宛てのメールから、アンブレラ本社が当時何を考えていたか推測してみましょう。
どうやらGの研究は打ち切りとなってしまっていたようです。
ところで、ここでいう「今期」とはいつを指すのでしょう?一般的に企業では1年を3ヶ月ごとに区分しますが、「バイオ1」が7月24日〜25日にかけての出来事、「バイオ2」が9月29日の出来事ですから、4月〜6月期(または7月〜9月期?)を指している可能性が高いです。
いずれにせよ年度途中の出来事ですから、かなりイレギュラーな事態だと思われます。
しかし劇中であれほど強力な力を発揮し、エイダのようなスパイがつけ狙うほどの画期的なGウィルスの研究開発を、なぜアンブレラは急遽中止することにしたのでしょうか?
その事情は、ラクーン警察署長のブライアン・アイアンズとのやり取りに記録されています。
差出人の「W・B」とはもちろんウィリアム・バーキンのこと。アンブレラ本社はウィリアムの研究成果を「横取り」しようとしているそうです。ウィリアムとアンブレラ本社の間には、確執があったようですね。
B・Eとは誰か?
そこでウィリアムは、Gの研究を継続するために社外の人間とやりとりをしていたようです。
B・Eなる人物の正体は不明ですが、「合衆国で一番金持ちの"会社"」といえば「米軍」以外考えられません。実際、後のジェーン・ドイルからのメールでもそのことが指摘されています。
おそらくこの勧告も無視し続けた結果、U.S.S.が投入されることとなったのでしょう。
なお、リヒャルト・ケスラーなる人物もGを狙っていたようです。
おそらくこのケスラーという人物は「もうすでにアンブレラにはウィリアムの居場所がない」ことをわかった上で連絡を取っているのだと思われます。その上で「Gを引き継いでやる」=研究成果を奪うつもりのようですね。
洋館事件の影響
ほぼ同時期に進行していた洋館事件(バイオ1)の影響も無視できません。アンブレラにとっては、非人道的な研究と危険なウィルスの存在が明るみにされてしまいかねない未曾有の危機でした。
下水道モニター室にはこの事件に関連するアークレイ山地での行方不明事件の新聞記事が貼られており、社内でも警戒を強めていたことが窺えます。
見出しには「BODY FOUND IN WOOD」(森で死体見つかる)とあり、左下は一部判読困難だが「警察(署長?)が行方不明の少女を捜索中」っぽいことが書かれています。
また、洋館事件より5ヶ月以上も前にラクーン市内にゾンビが侵入する事態を招いてしまった「被験体628事件」も見逃せません。(揉み消しには成功していたようですがU.S.Sを使っている以上本社にも状況はバレているはず。詳細は前回記事)。
その後は、のちのNEST部長へのメールに書かれているように、スパイとの攻防が始まります。NESTに多くのスパイが入り込んできたことから、下水道の警備を任せているはずのアイアンズ署長に罵声を浴びせています。かなり憔悴していますね。「送金が止まっている」ということは、本社からウィリアムへの研究費も入らなくなっているのかもしれません。
また、洋館事件での「ウェスカーの裏切り」もまた、ウィリアムにとって非常に大きな出来事だったはずです(ウェスカーは10代の頃から成果を競い合ってきた同期のライバル)。ウィリアムが社外の人間と連絡を取り合う裏切りに手を染める契機となった可能性は否定できません。
NEST関係者まとめて相関図
ただ、ウィリアムが研究所でGの怪物に変貌すると同時に市内全域へのパンデミックが発生した、とするほど事は単純ではなかったと思われます。
そもそも、世界最高レベルに危険なウィルスを研究しているNESTでネズミが自由に出入り可能な時点でもうアウトというか「ウィリアム事変」がなくても時間の問題でしょ(笑)
一番最初に感染爆発を起こした研究施設・NESTで一体何があったのか?いくつかのファイルからその悲劇の要因が読み取れます。
複数のアンブレラ関係者たちが登場しますので、先に彼らを含めた相関図をご紹介します。
バイロン・カートライト
バイロン・カートライトは、先ほども本社とのやり取りにて登場したこの研究所全体を実質的に運営しているNESTの部長です。ただ、絶対的な権限を持っているわけでもなく、ウィリアムのメールにもある通り「前任者」は何らかの失態を犯したのか(628事件?)多分もうこの世にいないのだと思われます。辛い中間管理職ポジションですね。
スパイが頻出したことからウェストエリアは「上級職員」のみ出入り可能になったようですね。それはゲーム内でも確認できます。
そしてこの「上級職員」に該当するのはウィリアム・バーキンとアネット・バーキン、そしてこのバイロン・カートライトの3名のみだったと思われます。そして温室で亡くなっていた白衣の男性こそが、バイロン・カートライトです。
そんな中、U.S.S.部隊によってNESTが襲撃され、ウィリアムはGの怪物に変貌、NEST内でウィルスの漏洩が発生。その状況を認識した本社のオーエンズ室長が感染拡大を阻止するためNESTの一部エリアへの送電を停止し、全エリアの陸橋を封鎖。多数の研究員を残したままNESTを孤立させてしまったのでしょう。それが、バイロン・カートライトの最期の言葉「そうか あなたたちが」の意味するところです。
リック・メンドーサ
では、上級職員タグを握って亡くなっていた黄色の防護服の男性は誰か?それがリック・メンドーサです。そのことは、ウェイン・リー宛ての以下のメールの数々から読み取ることができます。
ウェイン・リーとリック・メンドーサは親しい関係にあったようですね。
…?ところでウェイン・リーはどこに行ってしまったのでしょう?
カートライト部長の持つ上級職員用のリストタグが無いために孤立してしまったイーストエリア。カートライトはそのとき既にプラント43によって殺害されていたのでした。
ウェイン・リーはプラント43の担当者のようです。
「黄色いドレス」とは当然あの防護服のことです。彼もまたプラント43によって惨殺されてしまいました。
しかしウェイン・リーは一体どこに行ったのでしょう?
なんとこいつ、仮眠室に引きこもっていたのです。
ウェイン・リーの逃亡
仮眠室から出てきたゾンビと言えば記憶に残っている人も多いでしょう。この男、仮眠室の中で壮絶な手記を残していました。
「白い脳漿が、真っ赤な血だまりを泳いでる。」というのはバイオシリーズでも屈指のグロ文章ですね。さすがと言うべきか、残酷にもU.S.S.部隊は無抵抗な研究所職員たちの脳幹をあのサブマシンガンで撃ち砕いたようです。
リーゾンビが出てくる前の仮眠室のベッドのシャッター。恐ろしいことに大量の弾丸が撃ち込まれた痕跡がありました。
とは言え、上のメールにもあったように、プラント43担当のリーが恐怖のあまり仮眠室シェルターに引きこもってしまったおかげで、イーストエリアのプラント43大繁殖を止めることができず、孤立した職員は打つ手もなくリック・メンドーサが特攻、残った職員も全員がゾンビ化してしまったようです。
しかし、リーのリストタグを持ったレオンorクレアが橋を再度開通させ枯死剤を散布するゲーム内の展開は、手遅れだったとはいえ生前のメンドーサの悲願が達成された瞬間だったのかもしれませんね。
仮眠室に引きこもってしまったウェイン・リーが本来果たすべきだった役割を主人公が引き継ぐこととなった…。
感染爆発が起きたNESTの状況を更に悪化させたのが、
- 本社によってNESTへの送電が一部断たれ封鎖状態にされてしまったこと
- 上級職員タグを持つカートライトが早々に死んで行方不明になってしまったこと
- プラント43の対処法を唯一知るリーが恐怖のあまり仮眠室にこもってしまったこと
だったようです。しかし、研究施設が下水道直結だったこともあり、結局ネズミによって市街地までウィルスが運ばれてしまうこととなりました。
孤児院の子どもたちを、U.S.S.を使って殺しまくったり、自分たちの研究成果のための実験材料にしていたNESTの人間たちが、最終的にはU.S.S.によって殺され、ゾンビになったりG繁殖の供物にされてしまったのは、皮肉という以外ありません。因果応報とはいえ、実に残酷すぎる物語でした...。
こんな裏側のドラマも作り込んでくれるから、このゲームやっぱり面白いんだよな〜。
(了)