アダモマンのこだわりブログ

特撮ヒーロー、アメコミヒーローを中心にこだわりを語るストライクゾーンの狭すぎるブログ

仮面ライダー旧1号編感想と再考〜子供心にツマラナイと思ったのはなんでだろう?玄人ぶるのはやめて良いも悪いも本音で語る〜

別記事でも書いた通り、アマプラのマイ☆ヒーローを追加し、初代「仮面ライダー」を第1話から視聴中。

たしか小学生か中学生の頃だっただろうか。

「記念すべき仮面ライダーの第1話を見てみよう!」

と気合いを入れて「怪奇蜘蛛男」を視聴した後、

「なんだかなぁ...」

という感想を抱いたのをよく覚えている。自分がよく知っている仮面ライダーとあまりにも雰囲気が違いすぎて戸惑ったのだと思う。

しかしその後様々な書籍の中で旧1号編を激賞する言説に触れ、そうか、そう捉えればあれもすごい映像だったのか、なんて自分に言い聞かせて補正をかけたのもよく覚えている。そして「俺はあの良さが分かる立派なファンなんだ」なんて背伸びしていた。

そして今、この年齢になったからこそ、あの少年時代の違和感も、旧1号編を褒めちぎる大人の感覚も、その両方の立場から旧1号編について語れるような気がする

◆旧1号編とは?

第1話「怪奇蜘蛛男」

第1話「怪奇蜘蛛男」

旧1号編とは、1話〜13話までの、初期本郷ライダーのエピソード群を指す。

ライダーのマスクやスーツ同様、映像や作風もダークで、後の日本を代表するヒーロー活劇のフォーマットが完成する前というのもあり、非常にエキセントリックで独特の雰囲気を醸し出している。

その唯一無二の作風には熱烈なファンが多く、旧1号編こそ至高、とする声も多い。

しかし、主演の藤岡弘が9・10話の撮影中にバイク事故で重傷を負い、実質11〜13話に本郷猛は一切登場せず、過去フィルムの使い回しと納谷六朗の吹き替えによって急場を凌ぐこととなってしまった。

 

◆旧1号編のダメなところ

いきなりダメ出しで申し訳ないが、玄人マニアに気を遣って堂々とこういう話をする人、案外いなかったのであえてしてみたい。

①マスクがボロい

第9話「恐怖コブラ男」

第9話「恐怖コブラ男」

旧1号のマスクがとてつもなくカッコいいのは確かだ。本当にこれは初代にして至高だと思う。しかしそれは、アップ用マスクに限った話。

ライダーマスクには、寄りで撮影するとき用の通称アップ用マスクと、引きの画でかつ激しいアクションに用いられるラテックス製の通称アクション用マスクというのが存在する。

で、戦闘シーンの多い仮面ライダーだからこそ、アクション用マスクの出番の方が圧倒的に多くなるのだが、このアクション用マスクの状態が酷い

一部ベコベコに凹んでいて形状も歪んでおり、後頭部からの頭髪の露出も多く、複眼の大きさや形も歪。触覚はエノキみたいでとにかくブサイク。これは結構見ていてストレスだった。

②サイクロン時々ただの単車

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第11話「吸血怪人ゲバコンドル」

仮面ライダーの愛車・サイクロン号。流線型のデザインがこれまた非常にカッコいいのだが、基本的にオンロード用のバイクなので、実際の撮影現場となった荒れ地のような場所では非常に走りが悪かったらしく、また当然モトクロスのような激しいアクションにも耐えられず、時々変形前の常用形態(白いネイキッド)に差し替えられて撮影されている

その不自然さが最も際立ったのが第11話。強敵、ゲバコンドルを打倒するのにサイクロン号で直接体当たりする荒技・サイクロンクラッシャーを初披露する回だが、ゲバコンドルに向かって地上を走っている間はサイクロン、ジャンプするときは常用形態に、そして体当たりするときは再びサイクロンに、と違和感が凄まじく映像の完成度を著しく下げている

この課題を見事突破した改造サイクロンの登場は、2号ライダー編まで待たねばならなかった。

③シュールすぎるアクション

第3話「怪人さそり男」

第3話「怪人さそり男」

改造人間同士の戦闘という世界初の映像表現について模索途中だったのもあろう。致し方ないことなのだが、3話のさそり男と戦闘員たちの組体操とか砂漠を逆再生で転がり続けるシーンとか、戦闘中によくわからないシュールな動きが時折挟まれてリアクションに困る

怪人たちの死に方も、後の定番となる「爆死」はまだ定着しておらず溶けて消えるケースが多いのだが、ヒモがぴろぴろするだけの5話とか、必死に不気味演出しようとしてるのはわかるのだがイマイチ成功しているとは言えない。要は、エキセントリックすぎてわかりにくい

あくまで個人的な感想だが、これは幼少期に見た印象とも重なっており、なんだかよくわからないと思いながら見ていた記憶がある。

ざっと思いつくのはこの3点だが、結構これは見ていてストレスだった。視聴者の方で脳内補完しないと納得できない映像の連続だったからだ

 

◆旧1号編の素晴らしいところ

但し、誤解されたら困るので一応言っておくが、だからといって旧1号編が嫌いな訳ではない。改めて視聴して感じたのだが、この旧1号編にしか存在しない独特の魅力が、確かにそこにはあったからだ。

①怪人が本当に怖い

第11話「吸血怪人ゲバコンドル」

第11話「吸血怪人ゲバコンドル」

仮面ライダーという作品の最大の発明は、実は変身ポーズでもなんでもない。「怪人」というカテゴリーの確立にある。

第4話「人喰いサラセニアン」

第4話「人喰いサラセニアン」

特に個人的に秀逸だと思ったのは、第4話のサラセニアン。全身異形の葉っぱの怪物なのだが、瞳の輝きだけは間違いなく人間のそれなのだ

変な話、宵闇で怪物に出会った時、何が最も恐ろしいかと言うと多分「目が合った瞬間」だと思う。造形物としての目ではなく、中の人間の目が光っている=知性が宿っていることがわかるから余計に怖いのだ。同じ人間なのに、恐ろしい。同じ人間だから、恐ろしいのだ

造形物としてのクォリティも、後続の怪人たちよりこの旧1号編の方が高いと感じている。もしかするとナイトシーンが多かったから粗が目立たなかっただけなのかもしれないが、それでも序盤の怪人たちの姿には、独特の存在感があり、後続の様々な怪人たちのデザインの方向性を決定付けた言わば教科書的存在である。

②旧1号が本当にカッコいい

第10話「よみがえるコブラ男」

第10話「よみがえるコブラ男」

アクション用マスクがひどいことは上で述べたが、逆にアップ用マスクのかっこよさは凄まじい。もはや「美しい」とも言える次元に到達していると言って良いだろう

おそらく旧1号がもっている独特の威容は、その色合いからきている。ダークなトーンでまとめられたその姿は、後のブラックやダブルなど多くの仮面ライダーにリスペクトされている。

しかし、薄桃色の複眼に紺色にも近いマスクのカラーというのはほぼこの旧1号でしか見られないものであり、このなんとも言えない色合いこそが、旧1号の存在を唯一無二のものにしている。

ハッキリ言って、立っているだけでカッコいい。というより、多分旧1号って立ち姿が一番カッコよかったと思う。1話の初登場時や、3話の砂漠での登場シーン、10話の登場シーン等、痺れるほどカッコいいなと思う瞬間、ライダーはいつも高い所から我々を見下ろして立っている。

③ルリ子さんがかわいい

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後にも先にも昭和ライダーガールズヒストリーにおいてルリ子さんを超える美人はいないと思う。スタイルも良いし。ただ単にかわいいのではなくて、強さを含んだ美しさを兼ね備えた彼女の瞳は、他のライダー女優たちと比べものにならない。

ひたすら本郷猛の、仮面ライダーの役に立とうとバイクまで乗り回し、時にはライダーの命まで救う行動力。戦場に紛れても違和感のない強く凛々しく美しい乙女の姿は、暗くおどろおどろしい戦場に咲くまさに一輪の花だった。スタイルも良いし。

④映像から漂う気迫

第2話「恐怖蝙蝠男」

第2話「恐怖蝙蝠男」

冒頭では、エキセントリックすぎる映像の荒削りな印象を悪く言ってしまったが、実は同時にそこがもの凄く魅力的でもあった

新進気鋭の映像集団の個人製作映画のような、尖った試みが随所に見られて、時折胸が熱くもなる。「尖ってんな〜」というのが率直な感想だ。

要は、うまくいってるかどうか別にして、なんか凄いもん作ってやる!っていう気迫が、映像から溢れ出しているのだ。その気迫の結晶が、怪人の怖さだったり、ライダーのカッコ良さだったり、そういう部分に結実している。

 

◆「旧1号編」と言っても...

旧1号編と呼ばれる1〜13話だが、実は、全部が全部ダークな作風だったという訳ではない。13話までの間にも、テコ入れ、路線変更は着々と進められていた

◆ショッカーの怖さから怪人の強さへ

第6話「死神カメレオン」

第6話「死神カメレオン」

それまでは、「ショッカーという組織の怖さや残虐さ」の描写に注力していたが、次第に「強い怪人の登場」へと軸足を移していくのが感じられた。

その第一歩が、それまでの怪人の長所を集めて作られたというゲバコンドルの登場だろう。

主演の藤岡氏が、「第1話の放送を病室のベッドで見た」と後年語っていることから、テレビ放映後の改善措置がダイレクトに作品に反映され始めるのはおそらく大体11話前後、まさにゲバコンドル登場とタイミングが重なる。

第13話「トカゲロンと怪人大軍団」

第13話「トカゲロンと怪人大軍団」

そしてそれまでの怪人が総登場する13話。まずは夜空から舞い降りる蝙蝠男!そしてさそり男!壁に姿を隠した死神カメレオン!そして蜘蛛男!…と、続々と怪人が再登場する展開からは、子供たちを怖がらせようというよりも、「怪人が大好きな子供たちを喜ばせよう」というエンターテイメント性が強く感じられた

そしてそんな怪人軍団束ねる最強怪人トカゲロン登場とライダーの敗北。そして特訓によるリベンジマッチという熱い王道展開

そこにはもう既に、ダークだなんだと言われる旧1号編のカラーは存在していなかった

 (なんだかんだこの13話が私は旧1号編の中では一番好きだ。)

 

◆鮮やかなアクション

第5話「怪人かまきり男」

第5話「怪人かまきり男」

まず、ナイトシーンでの決闘は、4話を最後にほぼ見られなくなり、暗がりでの戦闘そのものはあってもライダーと怪人の決闘は白昼堂々描かれることが多くなった。その結果、画面の明度は序盤に比べてかなり明るくなっていく

また、アクション用マスクとアップ用マスクの使い分けも、エピソードによる落差は大きいものの、10話の再生コブラ男との決闘や13話のトカゲロンとの決闘のように、かなり細かく調整され違和感は減っていったように感じられる

おそらく撮影スタッフがコツを掴み始めたのだろう。この番組の強みは細かいカット割で見せる空中戦だ!ということに気づいたのか、鮮やかで華麗なジャンプ技の数々がテンポ良く展開される、まさに「仮面ライダーらしい映像手法」もほぼ完成。序盤に見られた実験的映像表現もそこに収斂されていった。

 

◆それでもエグい殺し方

第12話「殺人ヤモゲラス」

第12話「殺人ヤモゲラス」

ショッカーのおどろおどろしい怖さは、次第に怪人の強さや個性に置き換えられていったが、相変わらず殺し方はストレートでエグい

個人的にすごいと思ったのは、10話「よみがえるコブラ男」で事件を嗅ぎつけた古賀刑事を焼き殺そうとするシーン。命からがら助かったとはいえ脚や腕は大火傷でただれてしまう。これが結構痛々しい...。ナイトシーンが減ったからこそ白昼堂々荒れ地の真ん中で人を焼き殺すシュールな映像のせいでサイコパス具合が際立って、かえって怖い。

あとは11話のヤモゲラス。通りがかりにトレーニング中のボクサーを襲撃、口から吐く白い粘液で相手を石膏のように固めた後は、なんとそれを川まで運んで落として殺害

特殊能力はあれど、結局トドメの刺し方は普通の犯罪者と変わらないのがまたシュールで怖い。更にヤモゲラスの飛び出た眼球がイッちゃっててこれまた怖い。ぶっちゃけヤモゲラスって、デンジャーライト持ってるだけの不審者だからな…。

真っ昼間から実験と称して容赦なく人を殺しまくる怪人の恐怖は、そのまま2号編にも引き継がれた要素だ。

 

こういった段階的な変化を経て、仮面ライダーは痛快なエンタメ作品へと進化を重ねていく。「旧1号編」とひと口に言っても、本当に尖りすぎてて独特なのはせいぜい1〜4話くらいまでのもので、10話を過ぎた頃あたりからは、もうお馴染みの仮面ライダーらしい作風(明るいヒーローエンタメ活劇)へと脱皮しようとしていた。

逆に言えば、本当に序盤の序盤にのみ光る独特のカラーは、花火のように強烈なインパクトを残して消えていった。それこそが真(シン)の仮面ライダーらしさだ、という気持ちもわからなくはないがそれって実際は結構ニッチな捉え方である。要はちょっと珍味だよなぁと。

けど、だからこそたまーにそんな珍味が恋しくなる、そんなツウな楽しみ方も分かるようになって少しだけ自分も大人の仲間入りができたのかなぁ...

なんて思った次第である。 以上。

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