久しぶりに見直したら名作すぎて泣きました。
いやー久しぶりに見たらマジで面白かった!!やっぱり傑作ですねコレ。公開当時ももちろんどハマりしたわけですが大人になった今見るとまた新たな発見もあって非常に楽しめました。円盤持ってて良かった。。。
水野美紀さんのこの動画みて、「あー久しぶりにもっかい見たいなぁー」と思ったわけですが、水野さんのトークも普通に面白くて特撮関連の話題抜きにしても楽しい動画でした。未見の方は是非。ガメラリバースとやらも制作されるみたいですしそれに向けて予習復習も兼ねて。
公開された「あの頃」
まず、結構驚いたのが地下鉄のシーンです。レギオンの群体が地下鉄を襲撃して占拠しちゃうシーンで自衛隊がガスマスクつけて突入していくんですけど、これ確か96年の作品でしたよね?
あの「地下鉄サリン事件」が95年だからわずか1年足らずでしょ...。当時、溢れかえる担架とブルーシートの映像とかは毎日ニュースで見てましたから脳裏に焼き付いてます。そのことも含めて色々思い出しました。
東日本大震災から5年後に公開された「シン・ゴジラ」も相当インパクトありましたけどこれ当時の人間にとってかなりインパクトあったでしょうね。
特に当時ってやっぱり「ノストラダムスの大予言」に代表されるような世紀末への漠然とした不安とか恐怖みたいなものがずっしり心のどっかにのしかかってるかのようなそういうちょっと暗い時代だったと思うんです。それがモロに出たのが続編の「ガメラ3」か...。
実際、90年代当時の重大事件って結構凄まじいものが立て続けに発生してるんですよね。地下鉄サリン事件含むオウム真理教関連事件、神戸連続児童殺傷事件、自然災害としての阪神・淡路大震災...。本当に希望のある新世紀を迎えられるのか?という漠然とした不安の中を生きていた時代でした。
でも、そんな時代だからこそガメラの存在は本当に勇気をくれたと思います。
怪獣映画のウソはひとつだけ
怪獣映画って「怪獣が出てくる」こと以外はウソついちゃダメなんですよね。
「ガメラ2」はそれが非常にうまく出来た映画だったと思います。
いやいや、宇宙から隕石に乗って怪獣が飛んでくるわ、それを地球の守護怪獣ガメラが迎え撃つわってウソだらけじゃん!って思うかもしれないんですけど、そこんとこ、本作は「2」だから、ガメラの説明は前作で終わってるってのが有利に働いてんですよ。
結果、SF描写の力点をほぼレギオンにのみ割くことができたからめっちゃ面白い映画になったんだと思うんです。
傑作の続編、2作目ってハードルが上がるから面白くするの難しいんですけど、「ガメラ2」は続編だからこそ面白くなったんだと思いますね。
んで、もうこれは随所で言われてることだとは思いますがレギオンの設定とその描写が本当に素晴らしい。ワクワクするしゾクゾクする。これぞ一流のSFエンタメ映画です。
まず、草体が出てくるのが本当びっくりでした。当時小学生だった私でもわかりましたよ。「おいこれマンモスフラワーやんけ!」とw(どんな小学生だ)
そこからハキリアリの話。NHKの虫の番組大好きだから知ってましたけど嬉しかったな〜、自分の持ってる虫の知識が怪獣映画でも役に立つ感覚。
レギオンは土を分解してシリコンを主食としているんですが、その過程で発生する高濃度の酸素で草体が育つ→草体は大爆発を起こしてレギオンの卵が産みつけられた種子を宇宙へ打ち上げる→共にまた様々な土地、星で繁殖を繰り返す…という宇宙規模の共生関係にあるんですね。
まずここが、宇宙怪獣という大嘘をついてるのに「実在しそうな生物としてのリアルさ」があって良いんです。フィクションだからこそフィクションは巧妙じゃないとダメですよね。
一流の怪獣映画
んで、その設定の種明かしの手順とか描写がこの映画は本当に巧い。
断片的に描かれる「異常事態」が、間接的なところから段々直接的になってあっという間にトンデモ事件に発展していく過程は本当に何度見ても引き込まれます。
制動がかかったような軌道を残して消えた隕石、電波の異常、燃え上がるライターの炎、光ファイバーケーブルの消失、ビール工場襲撃事件、そしてレギオンによる地下鉄占拠とマンモスフラワー…。それはさながらハリウッドのモンスターパニック映画です。
小型レギオンの解剖シーンなんか「インデペンデンスデイ」思い出しますよね。
怪獣映画って、実は巨大怪獣が出てからはアボーンアボーンの繰り返しで単調になりがちなんですが、そこを等身大の小型レギオンが見事補っています。怪獣って実は等身大くらいが一番怖いんですよ。
それは「空の大怪獣ラドン」のメガヌロン、「ゴジラ(1984)」のショッキラス、「ゴジラvsデストロイア」のデストロイア、少しスケールは違いますが「シンゴジラ」の蒲田くんなんかもそうですよね。中途半端にデカイ方が怖いんです。
地下鉄運転士の死亡シーンはみんなのトラウマですからね。
ガメラを援護せよ!
本作って怪獣映画の皮をかぶった戦争映画なんですよね実は。それを一番感じたのが、レギオン討伐の作戦本部の師団長の姿です。もう完全に戦国武将ですよね。かっこよすぎです痺れます本当。怪獣映画史上最もかっこいい自衛隊が見れますよ。
特に師団長の「火力をレギオンの頭部に集中しガメラを援護せよ!」は何度聞いても鳥肌が立つ名台詞ですよね。
いやしかし、ここに至るまでの作り込みがこの映画はすごいんです...。
前作を見ている我々はガメラが地球の守護神でギャオスから地球を守ってくれたことをよく知っています。そしてこの世界に住む人々の多くもそれを目撃しているので、漠然とではありますがガメラは人類の味方に違いないと信じられています。その代表が、仙台で倒れたガメラの元に集まった子供達です。
しかし一方で、ガメラを人類の味方と断定するのは危険だと言う考え方も当然存在するんですよね。さらにはガメラと交信した少女・草薙浅黄の話がインターネットにも掲載されているようですが、ちょっとアングラなヨタ話みたいな扱いになっているようにも見えます。
要は、「人類全てがまだガメラを信頼しきっているわけではない」状態の揺れ動く世論がちゃんと描かれてるんです。
だからガメラの援護を進言した自衛隊員も一度は師団長に「なぜ怪獣を援護しなければならんのだ!?」と一喝されてしまいます。
それに対して、「それは、ガメラが...」と口ごもる様も良い。自衛隊員なのに子どもっぽい。でも彼の気持ちがスクリーンの前の我々には痛いほどわかる。そしてこの映画は、そんな子どもっぽさを肯定している。だから、子ども達の祈りを受けてガメラは復活するのです。
だってこれは、子どもの味方・ガメラが主役のガメラ映画だから。何よりも子どもの目線を大事にしてる。
昭和のガメラ映画を全て愛好してきた私のようなオールドファンにとってもこの作品は泣けるほど誠実にガメラ映画なんですよ。だから...泣けるんですよね。
でも昭和ガメラと違って、ガメラの正しさを代弁する人はたくさんいても、言葉だけでは信頼されません。そんな中でもガメラはレギオンの進行を全力で阻止しようとします。その報告を受けて師団長の心が動くんです。ガメラは、行動で自分の正しさを証明している。その姿がカッコ良すぎました...😭
熱き男たち
師団長だけではなく、本作には魅力的なかっこいい男たちがたくさん出てきます。主人公の渡良瀬はもちろん、レギオンの名付け親の花谷、NTTの帯津さん(花谷が帯津さんを飲みに誘うシーンが熱い✨)、あと地味に好きなのが銭湯で風呂上がりに牛乳飲んでた親子(?)です。
少年の不安げな「怪獣来るの?」という問いかけに対する彼(演:田口浩正)の返答が個人的にはパーフェクト。短いシーンですが日本人の強さみたいなものを感じる、心に残る名シーンですね。気になる方是非もう一度見て下さい。
それと、「いざとなったら逃げれば良い。ガメラでさえ敵わなかった相手だ」のあの自衛隊員、我らが仮面ライダースーパー1だったんですね!
そして忘れてはならないのが僕らの心の親父さん・小林昭二氏の最後の熱演です。「今度は絶対守ろうや」というこのセリフに、彼と日本の深く長い歴史を感じます。
これら熱い男たちの姿から、自衛隊を中心に国民一丸となってレギオンと決着をつけるぞという決意を感じるわけですね。だからこれは怪獣映画のテイで作られた戦争映画なんです。そして怪獣映画=戦争映画というのは、初代ゴジラ直系の日本怪獣映画の正統な血脈とも言えます。
男前な主役・ガメラ
ガメラって、明確に「地球(及び人類)の守護神」と設定されている非常に珍しい怪獣です。だからなのか、ボロボロになればなるほどその健気さに感情移入できてカッコよく見えてくる。
特に本作の敵レギオンはとてつもなく強い。群れに襲われて血まみれになるわ、ガメラの甲羅は一部破壊されるわ、腹ぶち抜かれて大量出血するわ、種子の発射を全身で受け止めて半死半生状態になるわ、赤い触手で全身蜂の巣にされるわ、とにかく本作のガメラは過去一でボッコボコにされます。
もう本当「どうやったら倒せるん?」と何度も絶望しかけたドラゴンボールのフリーザ、セル、魔人ブウを見ている気分です。
が、ガメラは絶対に諦めない。その実直さが頼もしくてストレートにかっこいい。めちゃくちゃ王道なヒーロー怪獣です。その姿が師団長をも突き動かし、前代未聞の怪獣と人類の共同戦線が実現しレギオンを打倒。
それが最後の自衛隊員たちの敬礼シーンにつながるわけですよね。いやぁもう本当に熱い。熱すぎる。
ガメラの敵にはなりたくないよね
いやー、もうこのセリフに全て集約されてますね。ガメラの強さ、頼もしさ、そして人類が進むべき未来。名作です。
だってこの直前にあのレギオンを一撃で葬り去るガメラ見てますからね。本当に思いましたもん。ガメラの敵にはなりたくないなって。
そしてそこからの「そら」(ウルフルズ)ですよ!
当時2万回くらい読んだ映画のパンフレットにも載ってましたが、トータス松本のトータスは亀好きが故に付けられた名前なんだとか。
歌詞もメロディもガメラの強さや優しさを見事表現してくれてて...。そして子ども達の歌唱で終わる。なんて完璧な映画なんだ...!
とまぁ言いたいことはまだ山ほどあるんですが一旦ここまで。一作目の大怪獣空中決戦も見直したのでイリス戦も含めてまたまとめようと思います。
(了)