ADAMOMANのこだわりブログ

特撮ヒーロー、アメコミヒーローを中心にこだわりを語るストライクゾーンの狭すぎるブログ

MENU

実写ドラマ版「幽☆遊☆白書」(NETFLIX)評価感想〜なぜ序盤の勢いを保てなかったのか〜

www.netflix.com

NETFLIXで最近配信開始されました「幽☆遊☆白書」(実写ドラマ版)!

小馬鹿にするつもりで見始めたらなんとまぁ案外面白くて最後まで見てしまったので感想書きます!

基本的に人気マンガ・アニメの実写化っていうのはあんまりうまくいかないものです。んで、今作は全話見た上で「なぜアニメ実写が難しいのか?」という業界が抱える闇(?)の本質も一部垣間見えた気がします。

感想を一言で言うなら、「面白いのは2話まで、3話以降はダメ」です。その理由を語っていきます。もちろん、ネタバレ上等で行きますよ!

 

 

 

ほどよい改変①魔回虫

第2話 『霊界のコエンマ!復活への試練』

第2話 『霊界のコエンマ!復活への試練』

まず、初っ端から魔回虫が暗躍=魔界につながる穴が開き始めていて、浦飯の死の原因となった交通事故にも魔回虫が関わっているという展開は見事な改変でした。そしてその魔界の穴は左京が莫大な資金を投じて開けようとしているもので、これが後の戸愚呂兄弟たちとの決闘にもつながる伏線にもなっているわけですから、ネトフリドラマという短い尺で戸愚呂編まで行こうと思うなら結構これは綺麗なまとめ方だと感心しましたね。

また、最初からバトル漫画路線ではなかった原作の序盤の「ゆるさ」を吹き飛ばす第1話のバトルは本当にお見事でした。「学校のいじめられっ子が魔界の虫に取り憑かれて大暴れする」なんて展開、原作にはないですからね。

てか魔回虫、人間のネガティブな感情に引き寄せられるならあのクソみたいなイジメっこの方に取り憑けよ、ってとこだけは胸糞悪いんですけど。

ですが、復活した直後で霊ガンの使い方も何も知らない幽助が持ち前のケンカスキルで戦うアクションは本当迫力があって、継続視聴を決めさせてくれるものでした。

 

ほどよい改変②霊丸

野望を粉砕!光の洗礼

野望を粉砕!光の洗礼

幽助が強くなれば霊ガンも強くなるのは当然のこととはいえ、そこまで修行や成長過程を描写できないので、霊ガンを最初っから超強力な「奥の手」と位置付けていたのはうまいなと思いました。これまた尺が短い中でのやり方です。

「一日四発まで」という縛りもなくなってましたが、その代わりチャージに時間がかかるというリスクがちゃんと映像から伝わってくるので、それがマイナス要素には働きません。というか、発射のスキがリスクになるって説明抜きで伝わるのは、アクションにスピード感と緊迫感が出せている証拠です。アクションの見せ方は結構好きでしたね。

んで、一日四発の縛りがなくなったからこそ、連射だったり、移動スピードを高めるための小型霊ガンの発射だったりがあるのは本作ならではで、最後の戸愚呂戦は見応えがあったと思います。

最後の最後でレイガーン!って叫んでくれたのも個人的にはかなり嬉しかったですよ(笑)

 

ほどよい改変③桑原のキャラ

第3話 『追いつめられた桑原!男の誓い』

第3話 『追いつめられた桑原!男の誓い』

桑原周りの描写もかなり好きですね。

幽助のケンカ仲間としての位置付けは原作通りなんですが、そこをとことん貫き通したのが良かった。んで、なんでケンカに強くなりたいかって男としてのプライドももちろんなんですが、仲間を守りたいという熱い想いがあるから。

それが、「後輩たちに大怪我をさせてしまって悔しい表情を浮かべる桑原」って形でちゃんと描かれているからキャラクターに厚みがありましたよね。これも原作にはないシーンなんですが、短い尺の中でちゃんと「漢・桑原」を思わせる良い展開でした。

あと、細かいけどめっちゃ好きなシーンがあります。町中をふらついている桑原が通りがかりの近所のおばちゃんに挨拶するシーンです。こんなのも原作にはないんですが、短時間で「人情味のある不良」と印象付ける、非常に良い演出です。

カツアゲされていた生徒を助ける幽助然り、ただの不良ではないことを印象付ける描写がちゃんと挟まれているのがめちゃくちゃ好きですね。

桑原といえば、姉が登場しなかったのは残念ではありますがこれも尺の都合と考えれば当然の良い判断だと思います。

 

全体的に良かったトコロ

他、全体的に良い!と思えたところを列挙しておきます。

  • 特筆してなかったけど、幽助めっちゃかっこいいです。良い俳優だと思います。原作設定通りの子どもっぽさもあるけど芯の強さもある幽助らしさはよく出てたと思います。タバコめっちゃ似合う。
  • 螢子は声だけでキャスティングしたんちゃう?と思うくらい、アニメの雰囲気に合ってたというか寄せてたというか良い感じでした👍
  • ぼたん、最初は「ん?」と思ったけど見れば見るほどにハマり役というか、ぼたんという役をモノにしていることに感心させられましたね。一言で言えば「死ぬほどかわいい!」
  • 岩本(学校の先生)の再現度の高さだけ群を抜いているぞ(垂金はそこそこ)
  • 全体的にCGのクォリティ良かったです!戸愚呂以外は(笑)。特に1話の霊界の三途の川とかめっちゃ綺麗で感動しました。剛鬼も小さめのハルクって感じでCGよくできてたと思いますよ。
  • 蔵馬のローズウィップ使ったアクションがほぼスパイダーマンで良かった
  • とりあえず総じて、幽助と桑原の2人に関してはかなり丁寧に現代風に「リライト」(再構成)されていると感じられました。だからこの作品好きなんです。2話までは(笑)

 

ダメだったトコロ:名シーンのバーゲンセール

第64話 『死闘決着!最後のフルパワー』

第64話 『死闘決着!最後のフルパワー』

さてここからはネガティブも書いていきますね。

3話、もしくは4話以降が特にそうなんですが、とにかく名シーンがあれもこれもと詰め込まれまくっててまさしくバーゲンセール状態です。これはダメ実写化シリーズと同じ轍を踏んでしまっていますね。

名シーンのバーゲンセールと化しているな、と思ったのは具体的には以下です。

  • 霊光玉あっさりあげるのな婆さん
  • 鴉の「トリートメントはしているか」はその直前の武威の壁ゴンがあってこそなんだけどなぁ〜。あれはセリフそのもの以上に、ものすごいスピードで相手に忍び寄れるっていう戸愚呂チームの怖さを描くための描写だのに。
  • でも本当にトリートメントして欲しいくらい蔵馬の髪(ウィッグ)は傷んでたと思う(笑)
  • まさかと思ったけど黒龍波撃てるのな。唐突すぎるだろ(笑)
  • めっちゃかっこいいはずの妖狐がほぼどん兵衛の吉岡里帆だった件
  • 「お前、もしかしてまだ自分が死なないとでも思ってるんじゃないかね?」はそのままお前に返したい台詞だよ戸愚呂、お前が100%超えて死ぬこと全員知ってるから
  • どうリアクションしたら良いかわからない幻海婆さんの死

 

なぜ名シーンは名シーンなのか

名シーンとか名バトルって、そこに行き着くまでの過程が面白いから伝説になってるわけで、切り抜いて貼りけてもダメですよね。

例えば蔵馬の妖狐化だって、裏浦島戦という前フリがあっていかにすごいことかっていう丁寧な説明描写があった上での切り札でしたし、実際めっちゃくちゃ強くなれるけど制限時間つき、しかもその制限時間が更に短くなるっていう本人にもわからないような「多用するリスク」がちゃんと描かれてました。

黒龍波もそうです。使用者に相当なダメージがいくめちゃくちゃリスクの高い技なので多用できない。そのことが全く説明されないままスルスル包帯ほどいて「巻き方忘れちまったぜ」って言われてもただの厨二ですよね。

幻海の、霊光玉の伝授だってそうです。受け取った後にデコから出血までは映像化しなくても良いとはいえ(笑)、なんでついこの間までただのチンピラだった幽助にそんな大事な究極奥義を授けることになったのか、ってところが丸すっぽ抜けてるから、その凄さが全然伝わらない。

幽遊白書のキャラがみんな強くてかっこいいのは、強くなるリスクを受け入れて葛藤しているからなんです。そのリスクや葛藤を一切描かないから、学芸会とかヒーローショーか年末の営業みたいな安っぽい映像になっちゃうんだよなぁ...。

www.adamokodawari.com

 

実は不要なキャラ

第62話 『戸愚呂100%の恐怖!』

第62話 『戸愚呂100%の恐怖!』

まぁなんでこうなるかはハッキリしていて、たったドラマ5話分しかない尺の中に、アニメ版でいうところの66話分を詰め込もうとしてんだから、そりゃ無理な話ですよ。

欲を言えば、せいぜい四聖獣戦くらいで終わるくらいがちょうど良かったはずなんですよ。朱雀に辛うじて勝てましたねくらいで終わればまぁまだ見れたかなと。

でもそりゃやっぱり「幽遊白書といえば戸愚呂!」なわけですよね。そこまで描かなくちゃ誰も見てくんない。だから多分企画段階で「戸愚呂との決戦まで描く」は必達事項だったんでしょう。その時点で、監督やら脚本やらキャストやらCGやら衣装やらにいくら金をかけたってもう無理なわけですよ。もうこれは仕方ない。許してやってくれ(誰)。

ただ、よくよく考えると戸愚呂とほぼ無関係なキャラクターが存在していて、それが実は、蔵馬と飛影です。

もっと言えば桑原もそうなんですが、まぁ彼は幽助の親友として2話までで十分描写できていたのでまぁ良しとしましょう。

この2人を登場させ、ちゃんと見せ場を用意するためには鴉と武威も出さなくちゃいけない。となると妖狐にもなるし、黒龍波も出さなきゃならない。雪菜にも、飛影の妹としての描写が必要になります。

実は「幽助と戸愚呂の決戦」を描こうと思うだけなら、究極飛影と蔵馬はカットしても良いんです。...でも、ファンの多くはそれを許してはくれないですよね。

どうしても飛影と蔵馬も出したいってことなら戸愚呂を諦めて、上で言ったように四聖獣戦までで断念すべきです。それか、もう間の色々をすっ飛ばして、アニメ序盤みたくあらすじの説明ナレーションだけで50話分くらいを片付けていきなり暗黒武術会編までぶっ飛んじゃうかですね(笑)

でもそういうわけにもいかず、飛影と蔵馬も出すし、戸愚呂とも戦う!って突っ切っちゃったんだからもうバーゲンセール覚悟ってことですよコレは。

ただ、なんでわざわざこんなわかりきったことを書いてるかっていうと、今回の実写化スタッフ・キャストであれば、戸愚呂抜きでも十分面白い「幽遊白書」が描けたはずだと思えたからなんですよ。要は、もったいないことしたなー!と。それは、第2話まで見ればわかります。ほんと、もったいないことしてますよ。

 

その他気になったトコロ

  • コエンマは子役使えよ(笑)
  • コエンマはいざという時に突然大人になるところが面白いのになぁ。
  • 桑原の霊剣はやっぱり黄色がよかったかなー。
  • 戸愚呂、一回くらい兄者を武器にして戦ってやれよ(笑)
  • 桑原だけ戸愚呂兄戦では逃げ回ってただけってどうなの?せめて霊剣変形させて潰して欲しかった...。
  • 幻海婆さんとの修行シーン、桑原に負けたくないって意地だけで幽助が頑張るのはなんかちょっとペラいと感じてしまった。そこは螢子とか絡めて欲しかった。
  • 幻海婆さんとの修行もまぁあれくらい短くせざるを得ないから、なんか婆さんに懐いてる幽助ってところがピンとこなくてここの師弟関係にも感情移入しにくいのよな。
  • 幻海が幽助に霊光玉(奥義)を託すという判断をするに至るまでの過程がすっ飛ばされてるから、それがどれくらいすごいことかが全然伝わってこない、これは本当にダメ。
  • 戸愚呂の筋肉操作って技は、作品全体のレベルが今どこにあるかをめっちゃわかりやすく描写してくれる便利設定でもあったんだけど、本作でいえば30%からいきなり100%に飛んだ感じ?やっぱり駆け足気味で飲み込み辛かった
  • 繰り返すけど、妖狐化も黒龍波も全然ダメ。究極の技にはリスクがないと面白くない。それが全然描けてない。ただ見せただけ。
  • 兄者を砕く戸愚呂弟、やっぱりって感じなんだけど、せめて砕く前に「兄者!」って一言咎めるくらいしてやれよ(笑)
  • 「暗黒武術会」という体裁をカットしたから発生する「戸愚呂対複数」のバトルは原作になかった展開なので面白いけどちょっとどうかと思う。幽助には「手を出すな」って言って欲しかったかも。
  • もはや幻海と戸愚呂の因縁とかカットした方が良かったんじゃないかとすら思う。死後の世界での2人の会話とか見てられなかったなぁ茶番っぽくて。

他にも原作ファンでこれ見た人いっぱいいたと思うんだけどどう思ったんだろ。

思うことはまだまだあると思うんで思い出したら随時追記します。とりあえずここまで(了)