ADAMOMANのこだわりブログ

特撮ヒーロー、アメコミヒーローを中心にこだわりを語るストライクゾーンの狭すぎるブログ

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ワンダの変化について「ワンダヴィジョン」〜「ドクター・ストレンジ マルチバース・オブ・マッドネス」感想と考察

※※※ネタバレ含みます※※※

 

つい先日「ドクター・ストレンジ マルチバース・オブ・マッドネス」(以後MoM)を視聴。

その後、慌てるようにして「ワンダ・ヴィジョン」(以後WV)を全話視聴(笑)

順序が逆なのだろうが、改めてWVを鑑賞したことでMoMの理解もより一層深まったと思う。

ところで以前からネット上でも

「(MoMでの)ワンダがああなったことが悲しすぎて受け入れられない、納得できない」

という声をちらほら見聞きしていたがその意味もようやくわかった。が、

「そりゃそうなるやろ」

とも思った。個人的には様々な劇中描写に納得がいったので、WV〜MoMにかけてのワンダの変化を中心に二作まとめて感想と考察を記しておきたい。

※※ネタバレ含みます※※

 

◆トニーとサノスのように

ワンダは、WVでウエストビューの人々を洗脳してシットコムを演じさせていた自身の蛮行について

「彼らを守っていた」

なんて正当化していたが、彼女のこの言動、実は「シビル・ウォー」のときのトニーとよく似ている。

ソコヴィア協定締結か否かの微妙なタイミング、トニーはヴィジョンを使ってワンダをアベンジャーズ本部に軟禁していた。それを知ってキャプテンが激怒、トニーとスティーブの交渉は決裂してしまった訳だが、このときのトニーも

「プールとシアタールームもある。彼女を守るためだ」

と言っていた。「相手のためを思って」と言いながら自分の都合の良いように相手を操ろうとする。このときのトニーの言動を一方的に否定するのは難しいが、おそらくワンダがされて一番いやだったことを、彼女は無意識の内に他者に強いていた。

そして、続くMoMでカマー・タージを襲撃したワンダは、サノスそのものだった。

アメリカ・チャベスを守るため、カマー・タージに籠城し建物全面にバリアを展開させたウォンの判断と戦略は、ヴィジョンを守るため、ワカンダに籠城したあのときのアベンジャーズとよく似ている。

そしてそのバリアを突破し次々と人間を殺しながらアメリカ・チャベスに迫るワンダは、ヴィジョンのマインドストーンを狙うサノス軍と全く同じだった。今やワンダは、一人のためにみんなで団結したアベンジャーズではなく、自分一人の欲望のためには犠牲を厭わないスーパー・ヴィランになってしまったのだ。

無意識のうちに自分を痛めつけたものと同じ言動を繰り返してしまうというのも実に皮肉な話だが、彼女をそこまで追い込んだのはアベンジャーズだとも言える。

 

◆薄幸ヤンデレ女子ワンダ

テレビ・マスターピース ワンダヴィジョン スカーレット・ウィッチ 1/6スケールフィギュア 赤

テレビ・マスターピース ワンダヴィジョン スカーレット・ウィッチ 1/6スケールフィギュア 赤

WVを見て改めて気付かされたが、ワンダほどMCUで不幸なキャラクターはいない。

ソコヴィアで両親を失い、ヒドラに加入して人体実験の被験者になり超人に。ヒドラ壊滅と同時にアベンジャーズという生きる道を得た矢先、ピエトロをウルトロンに殺される。その後、ヴィジョンとの愛を育むがサノスの侵攻に巻き込まれ自らの手でヴィジョンを破壊。しかしタイムストーンの力で蘇生させられ再び彼女の眼前でヴィジョンは破壊、自身も指パッチンの影響で消滅…。

そりゃあ、他にも悲劇的な人生を歩んでいるヒーローはたくさんいる。しかしWVでの彼女を見るに、エンドゲーム後の彼女を支える存在がアベンジャーズに全くいなかったことが問題だったように思う。というか、エンドゲーム後のアベンジャーズは実質解散状態だ。

キャプテンアメリカ…おじいちゃん

アイアンマン…死亡

ソー…ガーディアンズと宇宙へ

ブラックウィドウ…死亡

ハルク…片腕負傷

ホークアイ…モヒカン

キャプテンマーベル…宇宙警備隊

みたいな感じで、実質動けるのがドクターストレンジ、スパイダーマン、アントマン、ウォーマシン、新キャプテン…といったあたり?だが、ほとんどみんな自分のことで手一杯かチームをまとめるようなリーダーも不在。つまり、これだけ悲惨な目に遭ったワンダを、誰もかえりみる余裕がないのだ。

それはアベンジャーズだけでなく、一般の人々においても同様で、指パッチンで消えた人々が突如戻ってきたことでまた新たな混乱が生じていることは「ファルコン&ウィンターソルジャー」でも描かれていた。

要は何が言いたいかというと、指パッチンで消えた人たちを戻しておいて死にやがったトニーと、勝手に自分の余生を楽しんでひとり歳食って引退したスティーブ、お前ら無責任だなと(笑)

本当は「シビル・ウォー」のときみたいに、スティーブがいたらワンダのそばにいてくれただろうに…。それか、空白の5年間、必死に地球を守る任務に逃避していたナターシャのように仕事があれば彼女も違っただろうけど…。

要はワンダ、家族を全て失くしたってだけじゃなくて、最初から「友達」といえる存在がいなかったのも良くなかったんだろうな。

しかし極めつけはS.W.O.R.D.にバラッバラにされたヴィジョンの死体か。あれは酷い。トランスフォーマーで顔をぐちゃぐちゃにされてたラチェット思い出した(泣)

てかなんだ、S.W.O.R.D.にしてもダメージコントロールにしても、どうしてMCUに登場する組織はどいつもこいつも外道のクズばっかりなんだ?

また、MoMでワンダとストレンジが対立するようになった経緯についても、同じ魔法使いという属性上の理由以上に、「お前がタイムストーン渡したせいで私が払った犠牲が全て無駄になったの」と、エンドゲームでの決断が間接的とはいえ絶妙に対立する理由になっているのが面白い。もはやこうなったらシールドをオープンさせたティ・チャラのことすら恨んでそうだが(笑)

 

◆未亡人は魔女に

だからワンダの闇堕ちは現在のMCUを見事に象徴した皮肉だと思う。なぜなら、エンドゲームでサノスに勝って、5年前に消えた人たちがみんな元に戻ってハッピーエンド!のはずだったのに、勝ったはずのワンダに残されたのは「深い孤独だけ」だったからだ。

他所でも、「ワンダには以前から闇堕ちしかねない危ういところがあった」みたいな考察を見かけたがそれを言い出したらアベンジャーズは全員そんなやつばっかりだと思う。本当に根っからのお人好しってソーとスパイディくらいじゃないか?(笑)

その証拠に、マルチバースを覗いてみればストレンジなんて悪人ばっかり(笑)しかし現在のストレンジが闇堕ちしなかったのは実はアメリカ・チャベスのおかげだと私は思っている。救ったはずの人間の存在が、実はストレンジを救っている。

※ストレンジにフォーカスした感想と考察は別記事にて扱う予定。

まぁ何はともあれ、「ワンダもスーパーヒーローでアベンジャーズの一員✨」という先入観を取っ払い、「超能力を与えられてしまった戦争孤児」として、或いは「家族を一度に奪われた未亡人」として見れば、WV以降もダークホールドを用いて魔女にその身を堕とした事実には何の違和感もない。

ちなみに、公式設定としても「ダークホールドの魔力に魅入られてしまった」ということらしいが、それはもちろん要因としてはあるものの、それもそこに手を伸ばした彼女の選択の結果だと思う。やはり彼女は自らの意志で闇堕ちしたと見て良いだろう。

 

◆嬉しい小ネタ

最後に、見てて嬉しかった細かい小ネタ部分をザッと列挙して終わろうと思う。

まずはWVより

  • 毎回のシットコムパロディのクォリティが本当に高くて面白かった。特に吹き替え版でちゃんと日本語版が収録されているので、字幕版と併せて二度楽しめる。

    ※主人公たちがシットコム世界に巻き込まれる演出そのものは「スーパー・ナチュラル」が先駆け。何事もなくシットコム演出で物語が始まり、徐々に明かされる黒幕の存在...という展開は本作とよく似ている(ベースはホラーだし)。


    www.youtube.com

  • そんなシットコムの明るい雰囲気が「洗脳されている一般市民」によって演じられている恐怖演出は素晴らしくてほぼサスペンスホラー。
  • 特にハロウィン回で機械のように同じ動きを繰り返させられながら涙を流す人々の姿はトラウマもの。
  • 中でもアガサが本性を現したときの歌が頭から離れない
  • ウー捜査官の登場シーンで、「アントマン&ワスプ」で覚えたカードマジックを一瞬披露してくれるのが芸コマで嬉しい
  • しかし大きくなったモニカ・ランボーが登場するとは思わんでしょう
  • でお前もスーパーパワー身につけんのかい!
  • 加えてダーシーが登場するとは!めっちゃ好きなキャラだから超嬉しい...特にソーシリーズは1作目が一番好きなので実に嬉しい再登場。当然名前は覚えてなかったけどw(ムニョムニョの人)
  • 確かにピエトロの登場はちょっと肩透かしだったかな?(でも本作全体の評価には全く響かない)
  • ヴィジョンが今までで一番まともにヒーローしてたように見えたよ、もっとそういうヴィジョン見たかったよ!

 

そしてMoMからもワンダ周りでいくつか

  • ワンダいくら何でも嘘つくの下手すぎ(まだ名前を知らないはずのアメリカの名前を口にしたシーン)
  • 「もし子どもが病気になってもマルチバース中を探せば治療できる」とか過保護な毒親にも程があるわ
  • イルミナティ、男性二人は秒殺したのに女性二人には手心を加えているように見えたのは僅かに残された彼女の良心かな?
  • 特に別宇宙のキャプテン・マーベルがモニカの母親(もちろんこれも別宇宙だが)ってことには気づいていたのだろうか?彼女の死だけは不確定に見えたが...