ADAMOMANのこだわりブログ

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「トランスフォーマー ビースト覚醒」感想レビュー〜胸熱サイコーのヒーロー映画!〜

トランスフォーマー/ビースト覚醒 PERFECT BOOK (TJMOOK)

 

「そうそう、こういうのでいいんだよ」を最後まで貫き切った120分って感じでした。サイコーの映画だったと思います。少なくとも個人的にはここ1〜2年見た中で最高の映画でした。

なんか特に最近変というか不真面目というかアレなヒーロー映画ばっかりだったせいか

「上質な王道ヒーロー映画」が見られてめっちゃくちゃ嬉しくてソッコーで感想書いちゃいました。だから全然まとまってなくてごめんなさいな雑記事ですがとりあえず書きます。

最高の劇伴

まず、音楽がいい。ちゃんと時代設定に合わせて90年代を中心にチョイス。それに、なんといっても90年代はアメリカヒップホップの黄金期!サイコーにクールなトランスフォーマーたちのカーチェイスやバトルアクションにノリッノリのHIPHOPやラップを合わせるのはもう反則でしょう…。カッコ良すぎるんですよ。

「映画を見る」というより「トランスフォーマーのライブに行く」という感覚の方が近いかもしれません。そういう「観た人にしかわからない高揚感」があるから「映画館で見る価値がめちゃくちゃ高い映画」だと思いますコレ。音響設備の整ったドルビー・アトモスかIMAXシアターが激推しです。

ミラージュとパトカーのカーチェイスなんかもうサイコーすぎて脳汁溢れまくりですよ...ナニコレカッコヨスギデショ👍


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やはり白眉はバンブルビーの復活かな!あんなにかっこいいビーは見たことないわ。ていうかまさかLL COOL Jを歌いながら敵をバッタバッタと薙ぎ倒すバンブルビーが見られるなんて...。


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マイケル・ベイ時代の作品は時にはパンクに、時にはメロウにハードロックと融合した映像が魅力でした(リンキン・パークがメインテーマを担当してましたね)。

What I've Done

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  • LINKIN PARK
  • サウンドトラック
  • ¥255
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そんな旧シリーズとの差別化にもなってるし、更にはトランスフォーマーの新たな魅力を引き出すことにも成功していますよね。

それにラップミュージックって本作の主人公のノアの人種的な部分ともリンクしているし、ちょっとこじつけになるかもしれないけど「ビーストウォーズ」のOPが当時にしても珍しかったバリバリのラップだったことも思い出させてくれるようです。


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シンプルな物語

実は本作って登場キャラも多いし、物語もウン万年?ウン千年前の地球でどうこうとか、星を食うユニクロンと故郷に帰れないオートボットに新キャラのマクシマルとか、実はもう話がぐっちゃぐちゃというかめっちゃくちゃで「真面目に考えたら負け」なくらいに出自やバックボーンがバラバラのキャラクターが複雑に入り組んだ群像劇なんですよね。

だけど、そこにのめり込ませるんじゃなくて、映像とBGMでカッコよく魅せるっていう当たり前だけど案外最近の「ヒーロー映画」がサボってることをクソ真面目にやり切ってるからスカッとするし楽しいしワクワクするし燃えるんです。だから設定的にも色々気になる部分はあるにはあるんですけど結構「どーでもよくなれる」んですよねw

物語そのものはすごく単純です。大昔、星を食う悪いトランスフォーマー・ユニクロン(率いるテラーコンという悪いロボットたち)と戦ったゴリラのコンボイ(オプティマス・プライマル)とその仲間たち(マクシマル)が、金色のバナナ(宇宙を自由にワープできる装置のキー)を持って地球に逃亡。それが再びユニクロンに見つかっちゃって、たまたま帰れなくて地球に居残りになってたオプティマス・プライム(オートボット)たちと共にユニクロンを追い返そうというお話です。

あいや、もっともっとシンプルに言えばこうです。

死ぬほど強大で絶対に勝てっこない敵に、マイノリティの異種族が力を合わせて立ち向かうお話です。これが一番しっくりくる。

そしてこの「弱者が世の中をひっくり返す」って筋書きが、ラップミュージックとピッタリ合うんですよ。

多分裏側は設定も含めて相当作り込んでると思うんですけど、そこをゴリ押しするんじゃなくてその場のテンションと映像的なカッコ良さとキャラクターを大切にしている作り方をしてるからいい意味で大味に楽しめるんですよね。説明的な描写はなるべく少なくして、なるべくわかりやすく、「人類とオートボットとマクシマルの三者が手を取り合うまで」を熱く熱く、かつ丁寧に描いています。

 

主人公ノア

んで、人類側の物語を主に担うのがノアです。彼は本作における「人類代表」ではあるけど、社会の隅っこに追いやられた「社会的弱者」です。これは多分本作においてめちゃくちゃ重要な設定です。

いわゆる童貞高校生が地球救って美女をゲットする話ではないですからねこの映画。

家は貧しくて弟の病気の治療費もツケが溜まって診てもらえない。仕事も決まらない。追い込まれて悪友の誘いに乗り盗みに手を出す...って感じで社会の荒波の中でもがいているリアルな若者です。んで彼のバックボーンの描写は非常に丁寧かつ地に足ついた形で積み上げられていくからシンプルに感情移入しやすい。そして全て終盤で回収されていく伏線にもなっています。

あと弟との物語は本当に泣けます。ノアとノアの弟とミラージュの会話は、所々もちろんユーモアも交えながらだけど、ちゃんと真面目に描かれてるから良い。それが最後の最後まできっちり伏線として活きてる。全てのシーンに当たり前だけど無駄がない。

意味のないつまらないギャグとか見せられるのに辟易してたからか本当にこの映画のワンシーンワンシーンの活かし方は気持ちいいくらいに王道で大好き。

だから最後の「G.I.ジョー」関連の登場はもちろん今後の展開に向けたカメオなんだろうけど、それ以上に地球を救うために命懸けで戦ったノアがちゃんと報われるっていう、ポスクレがただのポスクレじゃなくて、ちゃんと本作のドラマのオチになってるからめっちゃ好きなんですこのシーン。綺麗に1本の映画としてまとまってる。だから最後の最後まで「ごちそうさまでした!」って元気に叫びたくなる映画です。

見習えよ誰とは言わないけど最近のどこそこのスタジオの映画よ!(笑)

 

オートボット

めっちゃ好きよミラージュ。何よりノアとのバディ関係がサイコーでした。腕に装着できる武器を渡してあげたのも終盤に向けた伏線ではあるんですが、あの最後のノアの「トランスフォーム」には既視感あるんですよね。

そうそう、これですこれ↑。これって言わば、人類とオートボットの絆の象徴ですよね。しかもオートボットが「人類を守ってあげる」んじゃなくてオートボットと「共に戦う」ための姿です。

そもそも本作におけるオートボットってまだ人類を信頼してないんです(特にオプティマス)。だから良い意味で歴代で一番オートボットが頼りない(笑)

例えば過去作のバンブルビーなら、サムがやばくなったらどこからともなく現れて絶対に助けてくれたし、たとえビルから落ちたとしても絶対オプティマスが飛んできてヒョイっと助けてくれたじゃないですか。

でも本作のオートボットは人間を助けることにあんまり興味がない(チームとして多分ルール化されてない)からミラージュも「まだ生きてたの?」とか言うんで本気で自分でなんとかしないと生き残れないってハラハラが過去作の比じゃないんですよね。

だからこそ、ミラージュがノアの弟の言葉を大切にしてノアを守り抜いて最後に自分の体を託す展開に深みが出るんです。単に「オートボットはいいもんだから」って設定にあぐらをかいた物語じゃなくて、ミラージュもオプティマスもそれぞれの想いや葛藤を乗り越えて個々の意志で地球人を守ろうとする。そのドラマにこそ共感できるし感動できる。だからヒーローがカッコよく見える(←コレ大事)。

それに説得力を持たせてるのがノアの人間的魅力です。やっぱりノアがかっこいい。まじでイイ男ですよこいつ。

あとはアーシーがアニメからそのまんま出てきた感じだけどめちゃくちゃカッコよかったしなんか可愛かった(本作のヒロイン枠?)ことと、ホイルジャックのスペイン訛りの英語とそれを突っ込まれた際に「人種差別的だ」と返したことが妙に印象に残ってます。コイツらまだ人類と仲良くなれてないくせに過去一人間臭いんだよwwドライブインシアターで映画見てんじゃねえよwwコイツらの勇敢さの8割はハリウッド映画の影響だろw

加えて、バンブルビーの扱いがピカイチにうまかったなと思います。

今やオプティマスに次いでアイドル級の人気を誇るバンブルビーを、あえてノアの相棒ポジションから外して早めに戦死させた「ビーのキャラ人気に頼らない作劇」がお見事。それでいてちゃんと復活してから世界中のビーファンも感涙モノの完璧な見せ場を用意。この映画はキャラの扱いが本当に上手い。

そんでもって、いやいやバンブルビーが生き返れたんならミラージュも...?って疑問にもちゃんと答える最後のポスクレシーン。本当脚本が丁寧で、キャラクターを大切にしていて非常に好感が持てますよね。だから繰り返しになりますけど、最後の最後まで「ごちそうさまでした!」って元気に叫びたくなる映画です。うん、気持ち良い。

 

マクシマル

【 メーカー特典つき 】トランスフォーマー ビースト覚醒 覚醒オプティマスプライマル

【 メーカー特典つき 】トランスフォーマー ビースト覚醒 覚醒オプティマスプライマル

のっけから金色のバナナの争奪戦しててモノマネ合戦始まらないかハラハラしたビーストウォーズ世代です。

いやしかしマクシマルって何者なんだ?ってのがやっぱりよくわかんないんですよね。地球にそっくりな星にいたように思えるし地球と同じ生物をモチーフにしたトランスフォーマーだしなんでオプティマス・プライムのことを知ってたのかもよくわかんないし(単に私が設定をよくわかってないだけかもしれませんが)、考えれば考えるほどわからないことだらけなんですが、上述の通り別にどうでもいいっちゃいいんですよね。だってトランスフォーマーだから

そんなことより、死ぬほどかっこいいこのゴリラから目を離すなよって迫力が映像にあるので考えなくていいんだと思います多分。

あとこの映画って単純に「ユニクロンから地球を守る」ってお話なんで「マクシマルいなくても成立するんじゃね?」って思っちゃうんですが、やっぱりどう考えてもマクシマルがいないとこの映画成立しないんですよね。

繰り返しますがこの映画は「隅っこに追いやられた弱者たちが最大最強の敵に打ち勝つお話」です。

オートボットは故郷に帰れなくなって地球でずーっと隠れて窮屈な生活を余儀なくされている「流浪者」だし、ノアは上述の通り金も仕事もない「社会的弱者」です。そしてマクシマルもまた、故郷を滅ぼされ地球に逃げ隠れた「難民」です。この三者が手を取り合うまでにはかなり多くの障壁があったと思います。この映画が素晴らしいのは、ややこしい設定の説明を映像でぱぱっと片付けて、彼らの葛藤だけをドラマティックに描くことに注力していることです。

で、オプティマスは自分のせいで巻き込んでしまった仲間たちをちゃんと地球に連れ帰ることを自分の責務だと考えて常にピリピリしてる。故郷に帰ることが絶対だと思ってかなりイラついてますよね。そんな彼にとって、マクシマルの生き方:たとえ故郷を失っても、地球で人類と調和して生きるオプティマス・プライマルたちの生き方は、彼の人生観をひっくり返すほどの強烈なインパクトを与えたんだと思います。頑なだった彼を変えられたのはノアでも誰でもなくマクシマルなんですよね。

ノアはオプティマスを出し抜いてワープキーを破壊しようとしてたし(そんなノアを懐柔したのはエレーナです。彼女も非常に良い役回りを演じてました。)、人類とオプティマスの間にはもうどうしようもない溝があったんですけど、その間にプライマルがいたからこそこの三者は手を取り合って史上最大の敵を追い払うことができた。だからオプティマスが死を覚悟でワープキーを破壊したときにノアとプライマルが彼の手を握ったシーンはもう本当に胸熱でした。出自も利害も異なる3種族がそれらを乗り越えて信義で一つになるんです。こんなに熱いヒーロー映画だとは思いませんでした。

いや他にもめっちゃちょうど良いカタさの宿敵・スカージのこととかまだ語りたいことはたくさんあるんですけど初見だしとりあえずこんなところで!

次は吹替で行こうかしら!

(了)