プレバン限定 仮面ライダークウガ グロンギ~ゲゲルの掟セット~
◆グロンギ211体の内訳
まずは、劇中存在が確認されたグロンギの総数211体の内訳を整理してみよう。
- べ・ズ集団…ゲゲルを行ったズが13体、これにダグバに殺害された(おそらく)ズとべの残党162体を加え、合計175体。
- メ集団…設定のみの個体も含め合計22体。
- ゴ集団…実質の最強集団。全てその存在が映像化されており、合計10体。
- ラ・ヌ集団…ゲゲルの審判や備品管理を担当。バルバ、ドルド、ザジオの3体が確認されている。
- ン…究極の存在、ダグバにのみ与えられた称号、そのため1人しか存在しない(ガミオは一旦スルー)。
これらを合計して本編で存在が確認されたのが211体となる。そしてこの部族ごとの人数比率を図にすると以下のようになる。
◆超古代のべ・ズの活躍
現代のゲゲルを振り返ったときに、劇中で見られた様々な事実から、超古代のゲゲルの実態がおぼろげながら見えてくる。
特に、ズのゲゲルが途中で強制終了させられた背景にある以下の事実は見逃せない。
- ズのゲゲルが、リーダーであるザインを残して強制終了
- 上位集団(メやゴ)がゲゲルの順番を待ちきれず痺れを切らした模様
- バルバの方でも、ズのレベルでは現代のクウガと警察には勝てないと判断(成功者がガルメのみという勝率の低さや爆死したネズマの例も含め)
- そもそもゴオマはゴウラムを知らない模様(「ソンナニスゴイモノナノカ」と劇中語っている)→飛翔能力を有するゴオマですら知らないのだから、大半のズが知らない可能性が高い
以上より、ズ集団は古代においてクウガにほとんど邪魔されることなくゲゲルをクリアし、容易にズに昇格できたと考えられる。つまり、戦士クウガの登場までに、既にべの代表選手(=後のズ)によるゲゲルで相当数のリントが無抵抗に殺されていたのだ。
これは中間層であるメ集団にも同様のことが言えるだろう。おそらく彼らの階級がほぼ劇中と同じレベルに達した段階でクウガが登場し、彼らは次々に封印されたと考えられる。
◆超古代のゲゲルの被害者数予想
それでは、現代のゲゲルの結果を元に、2000年前のゲゲル被害者数を概算してみたい。
※ちなみに、現代のゲゲルの被害者総数は約3万5000人。但し約3万人がダグバ1人に殺害された人数である。
初のゲゲル挑戦者、バヅーのゲゲルのクリア条件が81人。他のプレイヤーの殺害人数は明確にされていないものが多いのだが、ザックリ言えば、ズ集団は80〜100人程度、メ集団が80〜200人程度、ゴ集団は200人以上であることが多い(勿論例外はある)。
このことから、べの場合は概ね50人未満だったと考えて良いだろう。加えて、クウガと警察の邪魔が無かったことを加味すれば、大半のグロンギがゲゲルをクリアしていったと考えられる。
(元べ1人あたりの殺害平均人数)×(現ズの予想人数)
30×30=900
(元ズ1人あたりの殺害予想人数)×(現メの人数)
100×22=2200
(元メ1人あたりの殺害予想人数)×(現ゴの人数)
200×10=2000
合計すると5100人となる。そしてこれは、現代のゲゲルの被害者総数がダグバ抜きで5000人程度であったこととピッタリ重なる。
この被害者数を多いと捉えるか少ないと捉えるか。それを考えるためには、超古代の日本の人口を調べなければならない。
◆◯人に1人はグロンギの被害者⁈
約2000年前、超古代文明が栄えた当時の日本の人口は約30万人と予想されており、これは現在の日本人口の400分の1にしか満たない。加えて現代の東京のように人口が密集していないことを勘案すると、実は超古代のゲゲルにおいては獲物を見つけること自体が相当困難だったと考えられる。
とは言えリントは農耕部族であるため、一つの集落に数百人が身を寄せ合って暮らしていたに違いない。そのため、一つの集落がグロンギに見つかればそれこそ集落丸ごと全滅させられていたのだろう。そして次なる集落=獲物を求めて再び長距離の移動を始める。そういった血塗られたゲゲルの旅が続けられてきたと考えられる。
ここで一つの謎が解けた。個人的に、ゴ・バダー・バってそんなに強いの?とかねてから思っていたのだが、古代のゲゲルにおいては、機動力こそがその成績を左右していたに違いない。バギブソン(当時は馬)を駆るバダーは他のグロンギを差し置いてより速く次々とリントの集落を移動しながら獲物を狩っていたのだろう。そりゃあゴ集団でも一目置かれるわけだ。
話を元に戻して、超古代においても5000人以上が犠牲になっていたとすれば、これは当時の人口30万人の約1.6%となる。
そう聞くと少ないように思うかもしれないが、この比率を現代人口に置き換えるとなんと約190万人となり、これは現代日本の年間死者数(約110万人)をも上回っている。
これは凄まじい数字で、日本で死ぬ人間の3人に2人がグロンギによって殺されたという計算になる。
但しこれはあくまで現代日本に置き換えたら、の話であり、2000年前の方が年間死者数の割合は相当高かったはずである(特に乳児死亡率はとてつもなく高かった)。正確な数を算出することは困難だが、その点を差し引いても、年間死亡者の2人に1人はグロンギの被害者だった可能性は高い。
◆先代クウガの迷いと五代の覚悟
超古代のゲゲルの実態がぼんやりと見えてきた。
- 当初、べやズ集団のゲゲルはやり放題で、多くのリントが犠牲となっていた。
- 現代の400分の1の人口しかない日本で、より広範に渡ってゲゲルが行われていた。
- そのため、グロンギにもクウガにも高い機動力が求められ、馬やゴウラムが現代以上に活躍していた→飛翔能力を有したドルドが審判なのも納得。
- 超古代のゲゲルの被害者約5000人は、全国の年間死者数の半数近くを占めるほどだった。
現代のクウガと違い、超古代のクウガはその登場に時間がかかってしまったこともなんとなく理解できる。それはリントの技術的な問題などではなく、おそらく戦士クウガ自身の「戦う覚悟」の問題だ。
現代のクウガ=五代雄介は、第2話にて夏目実加の涙を見て戦う覚悟を決め、赤いクウガに変身したのに対し、先代クウガは5000人死ぬまで戦う覚悟が決まらなかったのである。そもそも「戦う」という概念すらなかったリントであればそれも仕方ないのかもしれない。
しかし、ゴ・バベル・ダが「今度のクウガは骨があるなぁ」とつぶやいたのも納得で、先代クウガがグロンギ殺害を良しとせず、あくまで「封印」にこだわり続けたのに対し、「封印という名の爆殺」を続けている現代のクウガのパンチは、それはそれは重かったに違いない。
「これ(拳)でしかやり取りできないなんて、悲しすぎるから」
五代がそう語った通り、クウガとグロンギは超古代より、拳を通じてお互いの信念をぶつけ合ってきたのかもしれない。
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