今回は、何を今更なちょっと古めの曲を扱います。
和訳しようと思ったのは、中2から聴いてるこの歌が大好きだからだし、ネット上の和訳に納得できなかったから(なんなら国内盤の和訳にも)。
以前から言っているように、私は直訳が大嫌いです。言葉を訳すのではなく心を訳す、そんなポリシーで私は意訳を続けています。
…けどやっぱり語数少なければ少ないほと和訳むっずかしいわ!(語数多い方が解釈絞れるから簡単)
結果、英詞が持っていた押韻のリズム感と言葉遊びを和訳にも踏襲させた多分誰もやってない和訳になりました。
賛否割れると思うので普通の和訳が良い方は検索すればいくらでもよそに転がってるのでそちらへ。一応下に解説つけてます。
◆和訳
In my place, in my place
*1 こもって こもって
Were lines that I couldn't change
変われないまま
I was lost, oh yeah
迷い続けて…
I was lost, I was lost
迷って 彷徨って
Crossed lines I shouldn't have crossed
はみ出したまま
I was lost, oh yeah
彷徨い続けて…
*
Yeah, how long must you wait for it?
待っていてほしい ずっと
Yeah, how long must you pay for it?
*2 構っていてほしい ずっと
Yeah, how long must you wait for it,
待っていてほしい ずっと
oh, for it?
ずっと…
I was scared, I was scared
怖くて 怖くて
Tired and under-prepared
*3 殻を閉じてしまったんだ
But I'll wait for it
でもいつかきっと
If you go, if you go
サヨナラ サヨナラ
Leave me down here on my own
ひとりぼっちになっても
Then I'll wait for you, yeah.
きっと待ってる きっと
(*repeat)
Singing
ねえ
Please, please, please
聞かせてほしい
Come back and sing to me
ここで声を
To me, to me
今すぐ
Come on and sing it out, now, now
*4 ここで声を 今
Come on and sing it out to me, me
ここで声を すぐ
Come back and sing it
耳元で…
In my place, in my place
ここでは 何も
Were lines that I couldn't change
変えられないまま
I was lost, oh yeah
*5 ここはどこ…
◆解説
*1
In my place, in my place
こもって こもって
英語で言う"my place"という言葉は、直訳した「自分の場所」ではなくて、ほぼ「自分のすみか」=家を表します。なので、自分が今住んでいるこの場所、あるいはこの歌だと「自分のいる部屋」を指しているように思われます。
そのニュアンスと歌詞全体の世界観を汲み取り、薄暗い四畳一間でうなだれている男性をイメージ。部屋から出られずこもっている精神状態を表現することにしました。
*2
Yeah, how long must you pay for it?
構っていてほしい ずっと
直訳は、「どれだけ償ってくれるの?」という感じでしょうか?ここでいう"pay"が何を指すのかは解釈が分かれるところかと思いますが、後半での詩の展開から、「彼を置き去りにしたこと」と解釈しています。
そのことを指した上で「償え」なんて重すぎる感じしますが、本来はもっとラフな内容だと思われます。要は、かまってほしいんだろうなと。
*3
Tired and under-prepared But I'll wait for it
殻を閉じてしまったんだ でもいつかきっと
直訳は、「疲れて準備不足だった」という内容ですが、その後の「でも待っているよ」という内容も含め、2番からは前向きな希望が感じられます。
だから冒頭の「こもって」という内容を内省的・客観的に振り返る言葉として「殻を閉じてしまったんだ(あの時の僕は)」という表現にしています。
*4
Come on and sing it out, now, now
ここで声を 今
後半に登場する"sing"には全て「歌」という訳を当てていません。「歌」という言葉を当てるとどうしても底抜けに明るく前向きなイメージが(日本語の場合)付与されてしまうからです。なので、「歌」の代わりに「声」(叫び声)というイメージに置き換えました。
一緒に歌を歌おうというよりも、もう一度ここに帰ってきて、声を聞かせて欲しいというメッセージに置き換えた方が、日本語にしたときに本来英詞が持っていたニュアンスが活きるのではないかと考えています。
もちろん「ここで」のここは"my place"を指しています。
ちなみに今回も、「私」とか「あなた」といった人称代名詞は一切使っていません。その方がより幅広く抽象化されて日本人の感覚にマッチするように思うからです(ぶっちゃけ個人的な趣味嗜好です)。
だって英語だと"I" or "you"って人称代名詞、日本語だと「私」「僕」「俺」「アタシ」、「あなた」「君」「お前」...訳が多すぎるしどれかを選ぶと世界観を限定しすぎるような気がします。
*5
I was lost, oh yeah
ここはどこ…
"I was lost"直訳は「迷子になった」ということ。だから冒頭では「迷って 彷徨って」と訳しましたが、最後は少し変えています。もはや自分が今いる場所すら分からないほどに塞ぎ込んでしまった結果込み上げる悲しさ・切なさ・虚しさを表現したかったところです。
ちなみに"was"を「ワス」と発音するところも好き。これは彼らがUKバンドだということの証明。イギリス英語の方が聞きやすいし個人的には好みだが、学校英語がアメリカ英語を教えるのにはやはり違和感。やっぱり日本はアメリカの植民地だからでしょうか?