アダモマンのこだわりブログ

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平成ライダーに見られる昭和ライダーオマージュの数々②555(ファイズ)、剣 (ブレイド)、響鬼

仮面ライダー一挙見Blu-ray X・アマゾン・ストロンガー編

仮面ライダー一挙見Blu-ray X・アマゾン・ストロンガー編

次々と斬新な設定や展開で新たな仮面ライダーの歴史を築き上げた通称「平成ライダーシリーズ」。こんなの仮面ライダーじゃないなんて揶揄される作品もいくつかあるが、その多くにはちゃっかり「昭和ライダーへのリスペクトとオマージュ」が詰め込まれている。

前回に引き続き、「555」、「剣」、「響鬼」よりその中のいくつかをご紹介したい。

◆仮面ライダー555(ファイズ)

仮面ライダー555(ファイズ) Blu-ray BOX1

・Xライダーの後輩?!

X.X.Xライダー誕生!!

平成ライダー4作目となった本作は、同じく昭和シリーズ4作目の「仮面ライダーX」同様のメカニックライダーとなるだけでなく、「X」へのオマージュがいくつか散りばめられることとなった。タイトルの「555」も「X」の没タイトルである「GO5号」が原案にあるそう。劇中怪人の「オルフェノク」の語源にはギリシャ神話が用いられ、「X」序盤の神話怪人をも彷彿とさせられる

・顔に浮かび上がる異形

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劇中登場する怪人たち、オルフェノクが人間から変身する際、その顔面にオルフェノクの顔の影が浮かび上がる。

これを見た瞬間、原作萬画版「仮面ライダー」の本郷猛や一文字隼人の改造手術痕を思い出した。人間の姿を残していたとしても、感情が昂ぶった瞬間、その顔に大きな傷が浮かび上がる。仮面ライダーは、その傷跡を隠すために仮面をつけるのだ。

オルフェノクもまた、感情の昂ぶりと共に顔に異形の痕跡が浮かび上がる。人の心を残しつつも、人でないものになってしまった悲しみが描かれた彼らは、怪人ポジションでありながら仮面ライダーに非常に近い存在だった。 

・特訓なんて...?!

第7話

序盤の第7話では、いよいよ2人の主人公、乾巧のファイズと木場勇治のホースオルフェノクが衝突!それまで戦ってきたオルフェノクとは比べ物にならない戦闘力を誇るホースオルフェノクには、必殺のクリムゾンスマッシュも効かず両者痛み分け。

そんな激しい戦闘を目の当たりにした啓太郎は、「特訓でもする?」と巧に問う。しかし巧は「そんな恥ずかしいことできるか」と一蹴。

敵との敗北を前に、必ずや特訓に向かっていた昭和ライダーとは違う、巧らしさ(及び平成ライダーらしさ)が描かれた面白い名シーンだったと思う。そしてそれを描いたのが、数多の昭和ライダーシリーズで脚本を手がけた伊上勝氏のご子息・井上敏樹氏であるのもまた興味深い。

・ハカイダー4人衆

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 オルフェノクの中でも「上の上」たるメンバーを集めた精鋭集団、ラッキークローバー。その初期メンバーのドラゴン、ムカデ、エビ、ワニと聞いてピンとくる人は少なくはないだろう。「キカイダー01」でおなじみハカイダー四人衆がそのベースにあるのは間違いない。

更には彼らを束ねるスマートブレイン社長・村上の正体・ローズオルフェノクのデザインはモロにハカイダー!なんでも、村上演じた村井克行氏がハカイダーの大ファンで、自分の怪人態は「是非ハカイダーでお願いします!」と頼み込んだんだとか。

・改造人間草加雅人

第37話

ぶっきらぼうでひねくれ者の乾巧、自分を好かない者は全て敵とみなすエゴイストの権化草加雅人、家に帰ることしか考えていない三原修二...。いろんな意味で「仮面ライダーらしくない仮面ライダー」が多数登場した本作だが、実は、草加雅人ほど設定的に仮面ライダーらしい仮面ライダーはいなかったんじゃないかと思っている

彼は流星塾の同窓会の日、一度はドラゴンオルフェノクによって殺害され、その後オルフェノクの記号を埋め込まれて蘇生。オルフェノクにはなれないが、カイザのベルトを扱えるだけの能力を獲得。つまり人間と怪物のハイブリッドな存在に生まれ変わった訳である。しかも、本人の意に反して、である。まさに彼は改造人間にされてしまった悲劇の存在だったのだ。

そして、自分自身と真理の仇討ちのため戦い続けた彼のその姿勢は、迷いに迷い続けた主人公とは対照的に、最後まで全くブレなかった

迷い続けた主人公については別記事を是非ご参照あれ。

 

◆仮面ライダー剣(ブレイド)

仮面ライダー剣 Blu-ray BOX 1

・久しぶりの昆虫モチーフ

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ブレイドライダーズのデザインは、トランプの各スートと昆虫のダブルモチーフとなっており、大きな垂れ目の複眼はストレートに仮面ライダーらしいデザインとなった。わかりやすく虫モチーフのライダーは案外クウガ以来と久しぶりだ。

更に、ハートモチーフのライダー・カリスはいかにもザビタン

昭和世代にとっても少しニヤリとさせられるなんとも懐かしいデザインラインがブレイドライダーズの魅力だ。 

・あのマシンモチーフ?

仮面ライダー剣 S.H.Figuarts グリンクローバーS.H.フィギュアーツ サイクロン号(改造Ver.) 約180mm ABS&PVC製 塗装済み可動フィギュア

「ブレイド」ではバイクアクションも重視された。特に変身前もそのままバイクが常用されたことで露出時間も多かったため、そのデザインが印象に残った視聴者も多い。

中でも、レンゲルのグリンクローバーは真正面にクローバーがあしらわれたインパクトの強いデザインだが、これは改造サイクロンをモチーフにしているとされている。言われてみれば丸っこい正面のカウルと丸いヘッドライトはよく似ている。

・ジャックフォーム=ちゅうかなぱいぱい?!

仮面ライダー剣 S.H.Figuarts 仮面ライダーギャレン ジャックフォーム魔法少女ちゅうかなぱいぱい! VOL.1 [DVD]

他にも本作のあらゆるところに昭和作品へのオマージュは散りばめられており、ブレイドジャックフォーム腹部のイーグルアンデッドの紋章は、ショッカーのベルトがモチーフ。ギャレンジャックフォーム腹部のピーコックの紋章は、なんとちゅうかなぱいぱいの不死鳥の紋様がモチーフ

・桐生さんの生き様

第18話第46話「ライダーマンよどこへゆく?」

 

18話より登場した橘の先輩・桐生豪。彼はギャレンの適合者として変身実験の最中に事故で右腕を失う。失った右腕の代わりにメカ義手を装着。やり場のない正義感をぶつけるため犯罪者を見つけては義手で私刑を下す犯罪者に成り下がっていた。

失った右腕と義手...そしてネイキッドを乗り回す姿からはやはりライダーマンこと結城丈二が想起させられる

・人類のために戦う

第49話

「人類の自由のため、平和のため」なんて大仰なセリフが不似合いになった平成ライダーシリーズ。

みんなの笑顔のために、みんなの居場所を守るために、夢を守るために…仮面ライダーの戦う動機は、時代に合わせてどんどん身近で親和性の高い言葉に置き換えられていった。

だが、こと「ブレイド」においては、あえて再び「人類のために戦うのが仮面ライダーだ」といったニュアンスの台詞がとりわけ中盤以降急増。そんな青臭い感じにも違和感がさほどないくらいに主人公たちが真っ直ぐで頼もしい存在へと成長。昭和シリーズを彷彿とさせる少し懐かしい熱さがかえって新しさにも感じられる本作独特のカラーを生み出している。

・トライアルシリーズの秘密

SHODO-O 仮面ライダー [4.ゲルショッカー首領](単品)

本作中盤〜終盤に登場した封印できない人造アンデッド、トライアルシリーズ。彼らは実は歴代の首領や怪人たちがモチーフになっていた。

銀に緑が映えるトライアルEはシャドームーン。黄色い手足が印象的なトライアルFはショッカーライダー。白い頭部に不気味な一つ目トライアルBはゲルショッカー首領。骸骨頭に紫ボディのトライアルGはブラックサタンの首領がモチーフだ。

・人ならざる者への変化

アートワークスモンスターズ 仮面ライダー剣 ジョーカー

剣崎のキングフォームが想定外の危険なフォームであると判明し、彼がもう1人のジョーカーになるという恐ろしいシナリオが明らかになってから本作は更に加速していく。

人が人ならざる者へと転落してゆく悲運と、しかしそれを自ら選び人類を救う主人公の自己犠牲。そしてブルースペイダーが残す一本の轍が暗示する、彼のあまりにも過酷で孤独な運命。 そんな彼の見えない背中は、間違いなく仮面ライダーのそれであった。

 

◆仮面ライダー響鬼

仮面ライダー響鬼 Blu-ray BOX 1

・やっぱりクモ

一之巻「響く鬼」

1話登場最初の敵は、やっぱりクモ。それでいて、主人公である響鬼=太鼓使い専門の敵である点も、設定とちゃんと繋がっていて良かった。脚を折って身動きできない状態から馬乗りになって清めの音で魔物を鎮める。

仮面ライダー1話の法則に則りつつ、新たな演出で新たなライダーを魅せることに成功している。

・アマゾンの後輩?!

人か野獣か?!密林から来た凄い奴!

本作については、「異形度合いで言えば平成のアマゾンである」ということが新番組告知が始まった頃ぐらいからずーっと言われていた。

鬼であるという設定、口から火を吐くバケモノっぽさ、手の甲から飛び出す鬼爪、敵は怪人というより妖怪であることなど、とにかく異形、異色。加えて、ベルトで変身しない(ベルトは武器である)ことや、「変身」と発声しない点などもアマゾン同様異色だった。

しかしそこに、心温まる少年との交流があるという点こそ、それぞれに共通した名作ポイントかもしれない。

・カッコいい大人

二之巻「咆える蜘蛛」

しかし本作がある意味最も昭和シリーズにも近いと言えるのは、子どもの身近に「カッコいい大人たちがいる」ということかもしれない。

過去のライダーたちも、子どもが憧れる、強くて優しくて頼りになるカッコいい大人たちばかりだった。変身した後に強くてカッコいいから憧れたのではない。彼らは変身する前から憧れの存在だったのだ

そして「響鬼」に出てくる大人たちもまた、そんなカッコいい大人ばかりだった。みんな、変身しなくても仮面ライダーだったのだ。

・たちばな

東映レトロソフビコレクション 立花藤兵衛 (ワンフェス開催記念モデル)

本作にもおやっさんが登場。しかも名前が立花勢次郎。「立花」と名のつくおやっさんと言えばもう「あの人」オマージュなのは間違いない。

しかし下條アトム氏演じたおやっさんもまた本当に味があって、実に響鬼の世界にぴったりな「おやっさん」だった。

加えて鬼たちを支えるサポート組織の名前が「猛士」なのも、1号ライダーへのリスペクトだろうか。

・特訓するライダー

二十三之巻「鍛える夏」

二十三之巻「鍛える夏」

響鬼といえば平成ライダーでは死語になりつつあった特訓、もとい修行を映像化した点も画期的だった。それも、昭和ライダー同様強敵を倒すための特訓はもとより、鬼になる能力を失わないための=仮面ライダーであり続けるために修行が継続的に必要、というのが新しく面白いポイントだったように思う。

加えてこれもアマゾンライダー同様、当初はバイクの運転もままならなかったが「鍛えて」クリア。アマゾンが野生児の勘でバイクを乗り回したように、響鬼もまた天性の身体能力の高さと修行で乗り越えた。あんなに下手だったはずなのに気がついたらモトクロスを派手に乗り回していた時は驚いたものだ。

・やっぱり「同族殺し」?

第18話「サボる響鬼」

第18話「サボる響鬼」

後にリ・イマジネーションされたディケイド版響鬼の世界では、心を鬼に支配された響鬼が牛鬼という魔化魍になってしまうという驚きの展開が用意されていた。
あくまでパラレルとは言え、各作品が眠らせていた設定を掘り起こすことに定評のあるディケイド世界。オリジナルの響鬼にもそんな要素はあったように思えてならない。

現に、朱鬼が登場した頃の「響鬼」でも「鬼であるということは、心は鬼であってはならないということ」といった作品の根幹に近いテーマが語られており、やはり魔化魍と鬼の間にはなんらかの近似性があったのではないだろうか?だとすればやはり本作も、歴代ライダーシリーズに漏れず「同族殺しの物語」に近い要素を孕んでいたのかもしれない。


◆人知れず悪を討つ

九之巻「蠢く邪心」

響鬼たちは、NPO団体に偽装したサポート組織・猛士のおかげで情報収集から魔化魍退治までを完遂しており、現場は人里離れた山奥が基本。

魔化魍の被害も「神隠し」という形で上がってくる。そんな悪を人知れず退治する彼らの姿は、まさしく仮面ライダーだった。

ファイズたちも、街中で結構派手にオルフェノクとドンチャンやっているが、警察組織上層部にまで入り込んだスマートブレイン等「黒い大人たち」の力で、その情報は揉み消されてしまっている

「ブレイド」でもその存在は社会的に揉み消されていたが、人知れず怪物と戦う仮面のヒーローとして都市伝説化していた

誰にも褒められることもなく、ただ人知れず己の肉体を行使して悪と戦う。そのヒロイズムもまた、昭和ライダーから脈々と受け継がれる仮面ライダーの魂なのかもしれない。

 

次回は「カブト」、「電王」、「キバ」かな?