※2019年7月記事の再掲。
バンダイから発売されている長寿フィギュアブランド、「S.H.フィギュアーツ」。
人型キャラであれば1/12スケール、15センチ前後の大きさというコレクション性の高さと驚異の可動範囲、リアルで緻密な造形を売りに、アクションフィギュア界で確固たる地位を築いている。
かく言う私も元々はフィギュアーツコレクターで、一番最初に発売された仮面ライダーカブトを始め、結構な数を集めてきた。
◆フィギュアーツの進化と魅力
小さい頃からアクションフィギュアの類はよく買って集めてきたが、ずーっと実現されずもやもやしてきたことが1つあった。
それは、
こんなに脚、長くない。
こんなに頭、ちっちゃくない。
似てるけど、似てない。
という、ホンモノ感の欠如についてだ。
事実、初期に発売された仮面ライダー新1号は、同スケールのサイクロンとセットでよく飾って遊んだものの、そんな「コレジャナイ感」をずーっと心に抱えていた。確かに1号なんだけど、菊池俊輔氏の戦闘BGMが聞こえてくるようなこみ上げる感動はなかった。
可動は現在の目で見ても非常に優秀だが、手足が細長く、とても中に中屋敷さんがいるとは思えない。実写作品のフィギュアなのに「アニメ的」な造形。
しかしそれを打破してみせたのが、フィギュアーツブランドの中から生まれた「真骨彫シリーズ」だ。
見てもらうのが一番早い。
大きめの頭、ほぼない首、肩周りの厚み、…やっとホンモノっぽくなった。約10年を経てようやくここまで進化した。私が幼少期からずっと待ち望んでいた、「テレビからそのままでてきたようなフィギュア」にようやく近づいたのだ。
この進化は、ウルトラシリーズで特に顕著だ。過去ブランド「ULTRA-ACT」を切ってまでしてフィギュアーツに統合したのは英断だったと思う。私の大好きな帰ってきたウルトラマンを見れば、その判断が正しかったと確信できる。
スーツのテカリも気になるが手足が長過ぎてこれもアニメ的造形。「昔読んだ内山まもるの漫画版ウルトラシリーズを彷彿とさせる」なんて声もあったが、そんな需要どこにあんねん?
↑見ての通り、アクターのきくち英一さんが中にいる、そう思わせられる新フィギュアーツ版の帰ってきたウルトラマン。
さすがバンダイ。ガンダム、仮面ライダー、ウルトラマンを作らせたらこの地球で右に出るものはいないだろう。
ところが、だ。
◆実写キャラフィギュアーツ化への苦言
バンダイの弱点は、実写キャラクターの顔造形にあると思っている(アニメフィギュアも弱点だったが、フィギュアーツZEROで克服しつつある)。
うん、似ていない。どう贔屓目に見ても、似てないと思う。
めちゃくちゃ顔濃いオッサンみたいな青年って先入観で作ってないか?!
いや、でも嬉しい。実写キャラクターのフィギュア化需要は、私個人で言えば555にどハマりした2002年頃から(可動のついた巧や草加のフィギュアが本気で欲しかった)、いや、より正確にはライジングビートゴウラムにバイクにまたがった五代雄介フィギュアが付属して興奮したあの頃から、確かにあったのだ。
だからバンダイには、とことん実写キャラのフィギュアーツ化を追求してほしい。
◆アメコミヒーローのフィギュアーツ化
忘れてはならないのが、昨今のアベンジャーズブームである。
アベンジャーズと言えば顔出しで活動するヒーローも多いため、必然的に実写キャラ造形が求められる。
最近は「魂のデジタル造形」でかなりクオリティも塗装レベルも上がっている。
しかし、今ひとつな感は否めない。
私がとりわけ大好きなインフィニティウォー版のキャプテンアメリカ。
S.H.フィギュアーツ アベンジャーズ キャプテン・アメリカ(アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー) 約155mm PVC・ABS製 塗装済み可動フィギュア
いや、誰だよ似てねーよ。
しかもワカンダの盾がつかない?!
ついてる槍も非常にしょっぱい造形。と、フィギュアーツはたまにこういう大ポカをしでかす。
メカニックに関しては、ガンダムで培ったノウハウが生かせるため、アイアンマンは安心。
…というわけでもない。
というのも、付属品や武器の造形が、実際に劇中に登場したものとデザインが違うのである。
↑フィギュアーツのナノウェポンセットだが、背中のウィングはデザインが違うし、劇中で両手にあんな刀はつけていない。
キャプテンのワカンダ盾や槍の問題と同様、海外の映画では、設定画と実際に劇中で登場したデザインとが変わる、ということがよくあるらしい(トランスフォーマーのジェットウィングオプティマス然り)。
劇場公開のタイミングに合わせようとすると、おそらく設定画の情報だけで作るしかないのだろう。だから仕方ないとも言えるのだが…(それでもナノウェポンセットは公開から半年以上経っての発表だぞ)。
〜肝心のMAFEXとの比較は後編へ〜