その身を挺して悪と戦うヒーローたち。戦いが激しさを増すほどに、彼らのスーツや肉体も日を追うごとにボロボロになってゆく。しかし、その傷だらけの姿こそ男の浪漫!
いくらボロボロになっても戦いをやめない戦士たちの魅力をご紹介したい。
◆キャプテンアメリカ(IW版)
なんかひっさしぶりに帰ってきた!と思ったらボロボロだった!人の代表格。
でも普段の優等生感MAXなキャプテンより、犯罪者となって追われる身になったこっちの「やさぐれキャプテン」の方が圧倒的に大好き。
衣装もボロボロなのは、きっといつもの「盾」が無いからだろう。それは「組織」という名の「後ろ盾」すら失ったからかもしれない。この空白の数年間に一体どんな苦境を乗り越えてきたのか…。全く描かれなかったからこそワクワクと妄想が止まらない。そしてこのワケアリな姿に、ファンとしては興奮してしまう!
↑ええからはよ届けやMAFEX…何回延期すんねん…。
国を象徴するヒーローが国の叛逆者になるという皮肉も含めて、胸の星が剥がれ落ちたキャプテンのこの姿は非常にカッコいいと思う。
何より、ヒゲが良い。あの「インフィニティウォー」の予告が世界初公開されたときも、「キャプテンのヒゲ」がトレンド入りしたくらい、あの作品において最もインパクトが大きかったのは彼の髭面だったのだ。
優等生がワル面になることほどそそられるものはないと思うがいかがだろうか?
◆矢車さん(キックホッパー)
なんの説明もなしに帰ってきたと思ったらめっちゃ変わってた人代表、矢車さんを忘れてはいけない。
元々はスーツをビシッと決めたエリート社員だった矢車さん。勿論やさぐれ矢車さんの方が圧倒的に人気が高い。
劇中ではザビーの資格を後輩に奪われるという陵辱の後すっかりフェードアウトしていた彼だが、一体どんな地獄を見たというのだろう。
勿論弟の影山も忘れてはならないが、彼の転落ぶりは自業自得モノだったしそんなに感情移入できるものではなかった。それに、この地獄ブランド、地獄スタイルはあくまで矢車さんが作り上げたもの。
ガッチャガチャのブーツに片袖のない革のジャケット。これで街をうろつく時点で相当な変態。このスタイルを発明し、笑われ、蔑まれる自分を受け入れ肯定することで逆に活路を見出した彼の姿は、実に現代的でカッコ良かった。
失敗や敗北から立ち上がる方法は、何も前向きになることとは限らないのである。
◆未来悟飯
フリーザとの戦いを終えたZ戦士たちの前に現れた、未来から来た青年・トランクス。しかし、本来なら彼は現れず誰もが人造人間に襲撃される未来も知らず、安穏とした日々を送り、悟空は心臓病で亡くなるはずだった。
そんな本来のあるべき未来-トランクスによって改変されなかった時間軸-における悟飯を通称「未来悟飯」と呼んでいる。
一瞬にして仲間たちを惨殺されたが故に、己の非力を強く理解し孤独に修行を続けた彼は、本編における悟飯とはまるでキャラクターが違い、肚(ハラ)が決まっていて実にクールだ。それでいて生来の優しさ(甘さ)も健在。アニメ版の彼の最期のセリフは胸を熱くさせる。
少年時代からトランクスを鍛え上げ、戦士として兄貴肌な悟飯というのはこの時間軸でしか見られないキャラクターでかなり魅力的。
そして何より隻腕であることがこの世界における戦いの過酷さを痛々しく、生々しく伝えている。
その経緯は謎だが、未知なる空白の期間において失われた何かを感じさせる彼もまた、魅力的なボロボロヒーローの1人だ。
◆エレンイェーガー
マーレ編に突入してから久しぶりに登場したエレンは、まるで別人になっていた。マーレに潜入するため、負傷兵を装ったその姿はまさにボロボロ。髪は長く伸び切り、無精髭を生やしたその姿には、かつて純心だった頃の少年の面影はない。
巨人化した際の能力も格段に向上しており、その戦法にも迷いがなく残酷。かつて自分の街がそうされたように、マーレの街を、人々を平気で踏み荒らし蹂躙するその姿に多くの読者は度肝を抜かれ、まさに「一体何があったの⁈」と戸惑うしかなかった。
その後も、とてもあのエレンとは思えない言動の連続に振り回され続けるキャラクターたち。リヴァイ曰く、地下のクソダメで見てきた腐った目。しかし鈍く光る恐ろしい色をしたその目には、もう迷いはない。
◆バットマン(ベンアフレック)
ボロボロヒーローといえばやはり彼は外せない。
不殺のヒーローとして有名なバットマンだが、本作の彼は迷いなく犯罪者に引き金を引く。
そしてケイブに飾られた黒焦げのロビンスーツを眺める憂いを帯びた瞳。
悪夢に目覚める枕元には、空の酒瓶と薬と一夜限りの女。
バットマンとしての長年の生活が彼を生かし、同時に殺してもいる。その廃人手前のブルースから漂うアダルトヒーローの色香に、酔う。まさに世界を代表するボロボロヒーローだ。
◆桜島1号(仮面ライダー)
彼もまた、久々に姿を現したと思ったらなんか真っ黒になっていた人。
ボロボロとは少し違うかもしれないが、シルバーに彩られた2号ライダーに見慣れた当時の視聴者からすると、ダークグリーン及びブラックに包まれた彼の姿は異質に見えたに違いない。
しかし、そのカラーリングの渋さ故一部に熱狂的なファンを残し、初登場のロケ地に由来して「桜島1号」という名前が与えられている。
ダークな姿の理由は一切語られていないが、ヨーロッパでの激しい戦闘の結果そうなったのかもしれない。そんなシリーズの隙間を妄想させられるからこそ、説明ナシでも全然OK。
以上、一定期間を空けて再登場したらなんか様子が変わっていたボロボロヒーローをご紹介した。彼らは見た目はボロボロでも、その目の色は妙に鮮烈で力強い。どこか狂気さえ溢れる彼らの威容は、やはりいつも観るものを惹きつけてやまない。
ボロボロの理由は劇中では語られないのだが、その姿そのものが彼らの足跡を雄弁に物語っている。そんなキャラクターの描き方がきっと私の好物なのだろう。