ウルトラコンバーターの能力
ウルトラマンエースの第五話、「大蟻超獣対ウルトラ兄弟」において、ギロン人の罠によって地下に捕えられたエースを救出するべく飛来したゾフィーの腕に装着されていた十時型の腕輪が、ウルトラコンバーターでした。
ウルトラコンバーターは、装着したウルトラ戦士に活動エネルギーを与える腕輪であることが公式でも説明されていて、実際、ウルトラコンバーターを装着したエースのカラータイマーは即座に青に戻っていました。
ただ、劇中にはそれ以外の使い方も推定できそうな描写が存在します。
まず、地下に到着したゾフィーはウルトラコンバーターをかざすだけでエースを閉じ込めていた地下牢を破壊しています。
また、ゾフィーはウルトラコンバーターをエースに託す際、
「お前はこれを使って早く地上へ行け」
と言っています。この「これを使って」が意味するものは何でしょう?実は二通りの解釈ができるのではないか?と思っています。
一つは、上述の通りの「ウルトラコンバーターでエネルギーを回復して地上へ行け」という意味、そしてもう一つは、「ウルトラコンバーターを使って地殻を掘り進め」という意味です。
どうやって地上へ?
というのも、同話で説明されていますがこのときのエースには地下を掘り進む能力が無かったそうなんです。ウルトラ戦士であれば当たり前にできそうな地中への潜航ですが、当時最も若かったエースにはまだその技術が身についていなかったようです。
ですから、夕子を囮にした決死の作戦に出る以外に、アリブンタを追う手段が無かったのですが、そうであればエースは地下から地上へ戻ることもできなかったはずです。
但し、これにも至極当然とも言える反論が存在していまして、ゾフィーが掘り進んだ穴を辿れば潜航能力が無くても簡単に地上へ行くことができた、とも考えられますし、その方が自然です。
事実、ゾフィーが地上を目指す際には陽光差し込む穴の中を飛行していました。
だとしたら、ゾフィーはなぜあんな言い方(「これを使って」)をしたのでしょうか?
それは、ゾフィー自身がウルトラコンバーターの力を使って地中を掘り進んできたからだと思われます。
ウルトラ戦士が地下を掘り進むときと言えば、どんな映像が浮かぶでしょうか?おそらくシリーズを愛好している人は大半が「高速で回転するウルトラマン」を思い浮かべるはずです。実際、ルナチクス戦でのエースは高速スピンで地殻を掘り進んでいます。
しかし、このときのゾフィーはゆっくりと回転さえしていたものの、高速スピンはしていませんでした。あのスピードで掘り進むことができたとは思えません。おそらく、ウルトラコンバーターの力を使って地殻を砕きながらエースの元へやってきたのでしょう。
なぜ譲渡しなかったのか?
ウルトラコンバーターは、おそらく使い捨てか充電式、もしくは非戦闘用のあくまで人命救助用の装置であると見た方が良いかもしれません。
地殻や地下牢といった障害物を破壊する光波を発するだけでなく、装着者にエネルギーを補給できるその能力は、どう考えても人命救助に特化しているようにしか見えません。
人命救助特化型アイテムだからこそ、汎用的な戦闘に使えるわけではないので、エースはこれをゾフィーに返却したのでしょう。もしくは、エースが地上に到着した頃には完全にバッテリー切れだった可能性もありますね。
ただ、帰ってきたウルトラマンにはウルトラブレスレットという使用無制限の最強武器が手渡されたんですが、なぜゾフィーはあのときのセブンのようにウルトラコンバーター(もしくはそれに準じた機能を持つ超兵器)をプレゼントしなかったのでしょうか?
その答えは、すぐ翌週のエピソードで確認することができます。
ブロッケンに苦戦するエースにウルトラギロチンの使用許可を出すエピソードです。ウルトラ兄弟は、帰ってきたウルトラマンに与えたウルトラブレスレットのような外部的なアップデートを避け、エースには内部ソフトのアップデートをさせました。
ウルトラブレスレットのような能力=南夕子を、エースは始めから内包していたのです。
詳細は↑の記事にて。
それはおそらく、ゼラン星人戦でブレスレットが奪われてしまったことへの反省があったのだと思われます。
だからゾフィーはウルトラコンバーターを安易にエースに譲渡しなかったのでしょう。
「コンバーター」という言葉にはそもそも「変換器」のような意味があります。ゾフィーにもエースにもエネルギーを与え得る装置ですから、他の宇宙人にも悪用され得る可能性は十分考えられます。
特に、緻密な策略でエースを何度も罠にかけてきたヤプールとその一味です。もしもエースがウルトラブレスレットを持っていたら、ほぼ確実に狙われていたと思います。
(了)