ADAMOMANのこだわりブログ

特撮ヒーロー、アメコミヒーローを中心にこだわりを語るストライクゾーンの狭すぎるブログ

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スネオヘアーを語ろう①トークバック

突如始めることにしました「スネオヘアーを語ろう」というシリーズ。

自己紹介でも書いてたっけかな?当ブログでは洋楽の和訳なんかもちょこちょこやってますけど邦楽で言えばスネオヘアーが一番好きなんですよね。

でも残念ながら最近の若い人でスネオヘアーを知ってる人はまずいないだろうし、「HEY!HEY!HEY!」に出てダウンタウンと最高なトークを見せてた00年代初頭の一瞬のブームを知っている人がちょこっと記憶の片隅にあるくらいの感じなんだろうなと思います。

しかも1stアルバム「スネスタイル」、2ndアルバム「a watercolor」くらいまでは聴いてたよって人はまぁまぁいるんですがだんだんロックな感じからPOPな感じに変遷していってから更にファンが離れちゃった印象もあって、今もずっと追いかけ続けている人ってほんの一握りだと勝手に思ってます。

a watercolor

a watercolor

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私生活も相当にやんちゃな方で、3回くらい離婚してたかな?しかも2回は同じ人と離婚再婚を繰り返しているし、そんなこんなでライブでも「車も売って何も残ってない」とか言ってたしw

で、全然新曲も出さないしで「そろそろレコード会社からシュレッディングされそう」とかも言ってた記憶が...w

でも、私やっぱりスネオヘアーが好きです。生き方も曲も歌詞も全部やっぱり好きです。なのでそれが少しでも広まれば...というより、深まれば、と思って気まぐれに好きな一曲をセレクトして語ろうかなぁと思います。

 

んで、その記念すべき第一回目の曲が「ワルツ」でも「ウグイス」でもなく「トークバック」ですから、それだけでこのシリーズのコンセプトが伝わるのではないかと思いますw


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トークバック

トークバック

  • スネオヘアー
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

この歌、本当にメロディが好きなんです。

楽曲自体は「共犯者」のカップリングで、確かに「いかにもカップリング」って感じの派手さのない地味な部類の曲ですが、スネオさんの曲の中で一番好きなのこれかもしれません。

フラットな感じの、曇り空っぽい、明るくも暗くもないグレーなタッチ。これぞスネオソングの真髄です。

しかしこの曲、歌詞の完成度が恐ろしく高いような気がします。

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凄まじいのが冒頭です。

例えば目の前に続いてる

見慣れた国道どこまでも走って

子供みたいに笑えたら

 

とっくに僕達は気づいてる

どんなに飛ばしても明日は見えない事と

 

それから

昨日のことを振り切れやしないこと

詞(詩)ってすごいなぁと思うのは、「子供みたいに笑えたら」ってフレーズを入れるだけで、子供ではいられないってことを暗示させていること。そして「明日は見えない」と「昨日のことを振り切れない」というフレーズを通して、過去と現在と未来を一直線に貫く先行き不透明な現状への不安を見事表現していること。

子供みたいに何も考えずにはしゃぎたい=そうもしてられないし、

どんなに飛ばしても明日は見えない=本当は国道を飛ばして忘れてしまいたい、

といった切なすぎる感情を、「とっくに僕達は気づいてる」というフレーズを頭に置いた倒置法で少しずつ明らかにしていく文体。。。プロだから当然かもしれませんが本当に一流の文学のようだなぁと思います。

更に主語が「僕達」であることから、勝手に男女の関係の終焉を想像してしまいます。

 

こんなにも静かな

朝が消えてなくなるなんてね

まだ何ひとつ始まってやしないのに

とっても好きなフレーズです。

「静かな朝」っていう表現が本当に美しい。しかもそれが消えてなくなるという切なさ。しかも当人たちは始まった実感すらなく、気がついたら終わったことになっている。大切な人との大切な時間って、なんでだろう、無かったことみたいにされますよね。あんなに仲良しだったのに、関係が終わったらまるで綺麗さっぱり消え去ってしまう。

 

好きだった映画も色褪せた

中途半端なヒロインとエンディング

時間返せよ 頼むから

ここ本当面白い歌詞。個人的には「ダークナイト」とか想起しちゃいましたが(中途半端なヒロインとエンディング、そして長い上映時間)wいや好きですよ「ダークナイト」はw

ダークナイト (吹替版)

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  • クリスチャン・ベール
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でも、続く歌詞にもある通り記憶って嘘つきなんですよね。そのことに気づいてしまうほど別離からは時間が過ぎてしまったことを自覚するシーンを描くのに映画を見返した感想を引き合いに出すのはうま過ぎでょう

 

こんなにも静かな

こんなにも優しい

夜がいつか終わってしまうなんてね

まだ何ひとつあきらめてやしないのに

1番の「静かな朝」に続いて「優しい夜」ってのも本当に美しい表現ですね。なんででしょう、スネオ曲の登場人物って、カーテン閉め切った四畳半みたいなところで悶々としてるイメージがぴったり。

自分も、まだ何ひとつ始まってもいないのに、まだ何ひとつあきらめてもいなかったのに、大切な人との静かな朝が、優しい夜が終わってしまった経験があります。だからでしょうかずーっとこの曲だけは浸りながらリピートしてしまいます。

本当はつまらないはずの映画だって、その人とだったら面白いと思えたし、先のことなんて何も考えず、あの時連れ出せばよかったなって、バイクで国道飛ばせば良かったのになって思うけど、それをしたって彼女とのあの夜のことも先の見えない明日のことも振り切れやしないってわかってはいたからしなかった。でも、何もしなかったから、気がついたら終わっていた。

感情を爆発させるタイプの歌ってどうも苦手で。でも、こんな風にただ悶々とする気持ちを静かに歌ってくれるスネオさんの曲は好きです。実際には売れ線の曲のように気持ちをはっきり表現することができる人なんてほとんどいないし。

こんな風に、忘れられなくても何もせず、かといってきれいさっぱり忘れられるわけでもなく、そういう中途半端さを許容する懐の大きさみたいなあったかみがあるから好きなのかもしれないですね。

共犯者

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  • Sony Music Direct(Japan)Inc.
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