Spider-Man: No Way Home (Original Motion Picture Soundtrack)
見てきました、「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」。
まず、ネタバレにならない範囲で言うなら私も3回くらい泣きました。
その理由も含めて、ここからはタイトル通り感想とちょこっと考察そしてバリバリの
ネタバレ全開で行きます。
ここから先は自己責任でお願いします。
あと、感動に浸っている人ほど、他人の感想を読んでそれが冷めてしまったりそれに振り回されてしまう面もあると思います。まだまだ浸りたい人は特に読まない方が良いです。
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◆泣いたところ①
やっぱり、ショックだったしきつかったのはメイおばさんかな。
あのグライダー衝突ではそりゃただごとじゃ済まないだろうとは思ったし、なんとか立ち上がって喋ってたけど手は震えてるしやっぱり様子おかしい?ってハラハラしてたら...やっぱり倒れました。
でも、彼女の死が本作にもたらしたものは本当に大きかった。(詳しくは後述)
いやしかしそれに気づくまでは
「そりゃピーターお前自業自得だわ」
って思ってしまったね。
だってそうそうたる顔ぶれのスーパーヴィランズをノコノコのんきに家に上げまくるし(笑)。そりゃそうなるよとこっちとしては思ってしまうわけですが、ポイントは、メイおばさんだけは彼らを救おうとしたこと。
◆泣いたところ②
ここではトビー・ワグワイア演じたサム・ライミ監督手がけた3部作を便宜上「トビスパ」と呼ばせてもらいます。そしてアンドリュー・ガーフィールド演じた「アメイジング・スパイダーマン」シリーズを「アメスパ」と呼ばせて下さい。劇中準拠で「ピーター1」「ピーター2」でもいいけどややこしいからね。
そもそもトビスパやアメスパのヴィランたちがゾロゾロ出てくる時点で、2人のスパイディが登場するのはほぼ間違いなかったからそれ自体にはさほど驚かなかったんですが、それでも、かっこいいおじさんになったトビー・マグワイア見たらもうほろほろ涙が出てきてしまいました。
なにせ私、思いっきりトビスパ世代なんです。
年輪を重ねた彼の表情の奥に、高校の廊下を歩いていたあの頃の少年の面影を残したピーターの顔がうっすら透けて見えてしまうんです。
だって私にとって、人生で最初のスパイダーマンは、トビー・マグワイアでしたから。
大親友と同窓会で再会を果たしたような、そんな懐かしさにも似た感慨に胸が締め付けられて、思わず泣いてしまいました。
◆泣いたところ③
で、そんな先輩スパイディ2人が高所で傷心中のピーターの元へ駆けつけます。
ピーターは別アースから来た人間に敵意を剥き出しにしてしまい、早く帰ってくれと追い返そうとしますが、トビスパもアメスパも、メイおばさんの死を悼みながら、彼女の遺志を継ぐべきだと語るのです。
これは、考えれば考えるほどしみじみさせられる展開で、と言うのも、スパイダーマンのヴィランたちってみんなかわいそうなやつばっかりだったんですよね。(いやー揃いも揃ってマッドばっかり...wほいでどいつもこいつも実験失敗しすぎなw)
みんな、なりたくて悪党になったわけじゃない。だけど、その多くはスパイダーマンとの戦いの中で命を落としてしまう。
そしておそらくトビスパもアメスパもそのことに胸を痛めてきたはずで、だからこそメイおばさんの想いに共感したんだと思います。救えるなら、悪党だって救いたい、それがスパイダーマン…。
でも、やっぱり一番グッときたのは、トビスパがベンおじさんの死について語り始めたとき。もう顔ぐしゃぐしゃにして泣いてました。
まさか20年以上経ってから全く同じキャラクターの同じセリフを、しかも自分の可愛い後輩に聞かせるために語られるシーンが見られるなんて思ってないですから!
アメスパもグェンの死について話し始め、そして語られるベンおじさんの遺言、「大いなる力には大いなる責任が伴う」。
スパイダーマンって、贖罪と救済の物語なんです。特に本作はそれが顕著。
◆スパイダーマンの贖罪
本作の終盤、怒りに任せてグリーン・ゴブリンをボッコボコにするピーター。その様子を心配した先輩2人が駆け寄るが、まず真っ先に2人の間に立ったのはトビスパ。しかしその直後、トビスパは背後からゴブリンに貫かれる。
死んだ?!と思ったけどなんとか致命傷は避けた?ようですが、ここでなぜ彼が刺される必要があったのか?
終わった後もなんか気になってモヤモヤしていたんですが、ふと気付きました。
あのシーンはやっぱりトビスパ1作目のノーマンの死亡シーンと、3作目のハリーの死亡シーンと完全に対になっていて、あれはオズボーン父子を死なせてしまったことへの贖罪になっていると思います。
そしてそれはおそらく、ノーマン・オズボーンを前にしながらも実際には、ピーターの親友でもあったハリー・オズボーンへの贖罪です。
1作目のラストでノーマンの死に立ち会ったトビスパは、その後「3」までずっとそのことが原因でハリーとの間に大きな溝を作ることとなりました。
そして最終的にハリーまでもが…。
ノーマンに背後から刺されたトビスパは、その後なんとかアメスパに支えられ「相当痛むだろ?」と問われていましたが今思えばそれは、直接的な痛みを通して、ノーマンの死の苦しみと、それに伴うハリーの苦しみを味わっていたのだと思います。
本作は、哀れなヴィランの救済だけでなく、スパイダーマンの罪の浄化も行っていたように感じます。
実は私「アメスパシリーズ」一つも見てなくて(でもグェンが死ぬことだけ知ってるw)、それでもアメスパが高所から落下したMJを救助したシーン、あれが彼にとっての贖罪になっていることぐらいは分かりましたよ。(アメスパ見てないくせにウルっときたもん)
あーアメスパも全部見てたらここでも号泣できたろうになー!ってやっぱり見とくべきだったとこっそり後悔もしました。
そしてピーターは世界を救うためみんなの記憶から自らを消す決断をする。それがメイおばさんまで失ってしまったピーターの贖罪だった...。
◆小ネタや気になる伏線色々
ここからは他に気付いた小ネタとか気になる伏線等を箇条書きで...
- エンドゲームの失われた5年の間にウォンが至高の魔術師襲名しとったんか、大出世やな
- 満月のなんとかの宴??ちょっと忘れたけど、ウォンも消されてる記憶が気になるw
- タイムストーンは無くても、アガモットの目らしきペンダントは下げていたストレンジ。からっぽのフェイクなのかそれとも何か別のものが入ってる…?
- ゴブリン初登場時のグリーンスーツ姿、やけにCG合成の出来が悪かったなw
- ドクターオクトパスのアームをナノスーツで乗っ取りは面白かった。Bluetoothみたいな感じで奪えんのかw さすがスターク製品の品質はマルチバースの壁をも超越するw
- 冒頭でスパイダースーツを脱いだピーターに着せたTシャツがまたあの「I survived from school trip」で笑った。あのTシャツ売ってないかな。
- あとフラッシュ!お前の本のタイトル「フラッシュポイント」てお前!w
- てかあの弁護士デアデビル?!マードックさんでしたよね?!
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予告編見る限りストレンジのミスが今回の事件の主因だと思っていたが、実際はピーターが魔術の邪魔をしてしまったようで、しかも記憶を消す術を途中で中断していたことも意外だった。やっぱりMCUの予告は嘘予告だらけだなw
- ブラック&ゴールドスーツって、ペンキがついた布地を剥がした基盤剥き出しスーツってことだったのかな?
- 自由の女神にキャプテンの盾がついてるあのセンスない改築工事はなんで?最近マーベルドラマ全部追えてないからどっかで描写されてたかな?
- トムスパトリロジーは3作全部でキャプテンアメリカをイジってるよね。今回は自由の女神、前作は最終決戦での盾とハンマー、1作目はあの更生ビデオ...。
- ダメージコントロールってならず者と化したヒーローか特殊犯罪者の取締りもやってんのか?現在の立ち位置と活動内容が気になったところ。
- アストラル体を抜き取られてもピーターが抵抗できたのは、スパイダーセンスによるものなのだろうか?
- ネッドがスリングリングでポータルを展開できたのは結構重要。「ドクター・ストレンジ」ではヒマラヤの山頂に放り出され、「死ぬような目に遭って」ようやくストレンジもポータル展開に成功。ネッドも実はそれと同じで、ピーターに会えない辛さは「死ぬほどの辛さ」だったわけで、決して誰でも使いこなせるものではないと思ったし、ネッドがMCUキャラの1人として一段階レベルが上がったことの証明でもあると思う。
- トビスパとアメスパは、それぞれの映画作品終了後の世界における10〜20年後の時間軸から来たのかな?
- 「ピーター?」で3人とも反応すんのはド定番だけど笑いました。
- トビスパだけウェブシューター使ってないのやっぱりいじられましたね。
- アベンジャーズいないの?!には笑った。
- ゴブリンのマスクぶっ壊れたけど結果的にコミックスver.みたいなゴーグル&フード姿に!
- 終盤のヴィランズ大集合時はまさにユニバのスパイダーマン・ザ・ライド状態!(いい意味で)そりゃあテンション上がりますよ。
- トビスパがドック・オクに「反省してます」って言ってたけど、これって何のことだろう?最近「2」見直したのにわかんないからもう一度見直したい。
- ヴィランズを治してあげたのは良いことだが、それがマルチバースに与える影響は?ストレンジもよくわからん言うてるし、今後本件がMCU全体に大きな影響を与えそうな予感。
- みんなの記憶からピーター・パーカーが消えたってことは、アベンジャーズからも一旦脱退?再スカウトの流れになるでしょうか?
- んでエンドクレジット、ヴェノムが登場。マルチバースの扉が開いた余波といったところか?彼も元々はピーターやスパイディと無関係なはずだから。
- 更にエンドロール後の映像、それまでならシンプルなテキストメッセージで「ドクターストレンジは帰ってくる」てだけだったのが、モロに「マルチバース・オブ・マッドネス」の予告編流してきて笑いました。そりゃあ天下のMCUだってこのコロナ禍では劇場に足を運んでくれる人をもう一度呼び込むことに必死だわな。
もちろん観に行きますよ。ストレンジ先生大好きなので。あじゃあ「ワンダヴィジョン」見なあかんわ...。
◆総評
SNS上でも盛り上がりが凄まじい本作ですが、良心的な人々によって「ネタバレ禁止」は相当高いレベルで徹底されています。
ですがそのおかげで迂闊に感想を語り合うことができず、結果的に「語りたい難民」も溢れ返ってもいる状態w
そのうち公式予告が少しずつ情報出していくと思うのでそれに合わせて解禁され始めるとは思いますが、現段階では、みんな本作のどこにそんなに感動したのか?エキサイトしたのか?がわからない。
というのも、本作の感動ポイントって多分人によってそれぞれ異なると思うからです。
多分私のような30〜40代は、トビー・マグワイア版のスパイダーマン復活が嬉しいし、少しくだった20〜30代は、アンドリュー・ガーフィールド版のスパイダーマンに熱狂した世代だろうと思う。
それでいて、トムホ版スパイダーマンの3作目としても勿論めちゃくちゃ楽しめる訳で、特にピーター、MJ、ネッドの3人を愛しているファンは多いと思うし、彼らの物語の一旦の決着としても、ドラマティックで素晴らしい幕引きだったと思う。
そこに加えてMCU全作を追いかけているMCUフリークもいる。つまり、
- トビスパファン
- アメスパファン
- トムホファン
- MCUファン
の四者全てを一気に集客したわけだから、それぞれで感動ポイントが違うはずなのだ。
ちなみに私の感動の比重は上から
- トビスパ復活
- トムスパトリロジーの完結
- MCUの更なる拡張
という感じでした。
あいや、と言うより、アメスパも含めて、ヒーローとしてのプライドや辛さを吐露して男同士肩を組み合う姿に一番泣いたのかもしれません。スパイダーマンって、全員本当に孤独な存在だったから。
皆さんはどうでしょう?世代間格差もあるだろうとは思いますが、本作が世代を越えて家族で楽しめるスパイダーマン映画の決定版となったのは間違いないと思います。ヴィランも誰も死なないしね。
私個人の視点としてもう一点語りたいのは、過去作ヒーローの客演描写が非常に丁寧で好感が持てたこと。某国における仮面ヒーローの客演が軒並みリスペクトに欠けたゴミ映画を量産していた過去を知る者としては、本当に見習ってほしいなと思う部分です。ちゃんと見せ場があるんだけど、主役をちゃんと引き立てているこの絶妙な匙加減も素晴らしかった。
あと、トビスパピーターにもアメスパピーターにも贖罪の機会が与えられていたことは上でも述べたけど、それ以上に本作を通じて、この2大スパイダーマンシリーズ作品そのものを救済したように見えました。だってどっちも興収が振るわなくて最後尻切れトンボに終わったシリーズだったから。
ただ、やっぱり本作を楽しむには予習は必須ですね。
何も知らなくても楽しめるって声もありますしそれも勿論わかりますが、全シーン全演出を理解したい私としてはやっぱり全部履修しきってから観たい作品ですね。
特に私はアメスパシリーズひとつも見てないので、そこの穴を埋めてアメスパをしっかり咀嚼した上で、少し寝かそうかなと思います。
何回も観に行くってのもいいんですけど、自分で自分に感動を安売りしたくないので、次はソフト化のタイミングでもう一度観てまた泣きたいなぁと思います。
(了)