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S.I.C.とは?衝撃的な出会い
まぁこの記事を見ている方はS.I.C.のことはよくご存知だとは思うので今更言うまでもないことですが、各商品にもそのコンセプトと由来が記載されているように
ということで、本来の映像作品(または漫画作品)のキャラクターを新解釈でアレンジしたフィギュアシリーズを指します。かなり売れたシリーズだとは思うんですが、2020年12月に限定販売された「仮面ライダーフォーゼ ロケットステイツ」以降、2024年現在まで新作のリリースが途絶えており、ほぼ終了しているものと思われます。
その歴史についてはwikiが詳しいのでそちらをご参照いただきつつ、
私個人の思い出と共に少し振り返ってみようと思います。
それを初めて目にしたのは、某ショッピングセンターの玩具売り場。あの仮面ライダーが、そしてV3が、見たこともないとてつもない異形アレンジで視界に飛び込んできたのです...!もうこのときの衝撃ったら忘れられません。
小6か中1くらいだった当時の私は、PS版「仮面ライダー」の格闘ゲーム(伝説の傑作)にハマり、幼少期に見ていた初代仮面ライダーの再放送の思い出を再確認する「ひとりリバイバルブーム」真っ只中。
さらにそこへ「仮面ライダークウガ」放送開始と「仮面ライダーSPIRITS」の連載開始...と毎日脳内「仮面ライダー一色」状態の中、確かこのS.I.C.のフィギュアに出会ったのだと思います。
その開発経緯も何も知らなかった私でも、S.I.C.がちょっと「スポーンっぽい」ことはすぐにわかりました。「スポーン」が映画やフィギュアを中心に海外発ですごいブームになっていたことは見聞きして知っていましたからすぐに脳内で結びついたのだと思います。ただ、私個人としてはスポーンに対して特段魅力を感じていなかったのでフィギュアを買ったことはなかったです。それでもよく玩具売り場では目にしてその独特のテイストを熟知していましたから、S.I.C.の中によく似た空気感を見出すことは容易でした。
それは多分、子供を相手にしていないことが一目でわかる「グロさ」とか「不気味さ」とか「怖さ」とか「暗さ」とかそういった「大人向けの空気感」だと思います。
そしてそれらはいずれも、石ノ森ワールドの住人たる仮面ライダーとの相性が抜群に良かったのだと思います。いやー、痺れましたね!
スポーンのフィギュアが高値で取引されているというニュースが話題になり始めた90年代後半。この頃から、「フィギュアは大切に置いておけばいつか高く売れるかもしれない」という考え方が浸透し始めた記憶があります。あの「ダイ・ハード4.0」にもある登場人物の大切なスポーンフィギュアをジョンマクレーンが壊すシーンがあります。
見たことないディテール
店頭にはvol.1の「キカイダー」の他に「仮面ライダー」、「仮面ライダーV3」が並んでいました。正直どれも欲しかったんですがお年玉をやりくりしていた当時の自分には買えるのはせいぜい一つが限度。パッケージと何度も睨めっこして悩みました。。。
箱裏の写真にはテンション上がりましたね!何よりまず最初に目を引いたのがコンバーターラングと人工骨の取り外しです。この「グロさ」に惹かれました。グロいんだけど見てみたいんですこういうの。改造人間の内部構造が覗けるフィギュアなんて過去ありましたか?!
けどこういう内部構造の大解剖って幼少期慣れ親しんだ雑誌の特集でよく見てきたやつですよね。そんなあの日の思い出も蘇る、面白いギミックだと思います。
そしてマスクの中の顔が見えるところ、これが私にとっては初期S.I.C.の最強のプレイバリューでした。仮面の下の変身者の顔が見えるなんて、あぁなんてロマン溢れる玩具でしょう✨✨見てみたいんです、戦ってるときの本郷猛や一文字隼人や風見志郎の御尊顔が!
繰り返しますけど、こういう内部構造が作り込まれたフィギュアってのにたまらなく惹かれますよね。
同様の理由で、変身シークエンスが再現できる装着変身にも夢中になりました。
あとは台座です。それぞれのキャラクターに馴染みのある宿敵があしらわれた台座もまた実に魅力的なアイテムでした。正直、どれだけ精巧なフィギュアがあってもその世界観を表現した背景やジオラマまであれば言うことなし。ただ、そんなもの用意できる訳ないんですが、足元の台座だけでもあるとグッと世界観が広がりますよね。
宿敵の屍体、というのがまた良い。テレビ作品ではただ平地の火薬爆破シーンだけで片付けられた彼らの「死」を直視させられるその体験は、幼少期に慣れ親しんだ子供番組を「今を生きる大人」向けに再解釈したものでした。
換装というプレイバリュー
S.I.C.といえばやっぱり「換装」です。このV3では帰ってきたV3というキカイダーのようにボディが半透明になったver.が再現できます。
ただ、こうなるとなんとマスクの下の人間の顔がなくなっています。これにはどうやら意味があるようで...。
加えて両手共握り拳に換装することができます。後のシリーズを知っている身からすれば、手首だけでなく肘から下を丸ごと差し替えられる仕様なのが実にありがたい(笑)
武装もたっぷり。V3ホッパーも全部で3本ついてきます。
そしてライダーマンのロープアームがついたショットガン。これがまためちゃくちゃ意味深で痺れましたね。なんでV3がライダーマンのロープアームを持ってるの?!ライダーマンはどこに行ったの?!とかめちゃくちゃいろんなことが気になっちゃう訳ですよ。
それで箱をよく見ると小説の一部を読むことができます。
箱がボロくてすみません。買ったときから上曲がってたんです。
「脳以外は全て機械に換えてしまった」というセリフが凄まじい。荒廃した世界の中でV3とキカイダー00が邂逅する物語とその世界観にまた痺れます。
換装機能は後のほとんどのS.I.C.に継承されたシステムですが、やっぱり自分はこの初期の非可動タイプの方が好みですね。関節がない分スタイルが美しく立ち姿が綺麗にまとまっています。
「キカイダー00」で描かれているような、荒廃した世界を生きる哀愁漂うそのキャラクター性がフィギュアとしての「立ち姿」だけで見事に表現されていると私は思います。
そしてそれが、私のイメージする「仮面ライダーの本質」と見事オーバーラップしました。だから、S.I.C.に惹かれたんです。
S.I.C.の栄光と凋落
その後、数々のヒット商品を生み出し、中には超プレミアム価格がついている商品もある本シリーズですが、現在では新作のリリースも止まっており、実質の「生産終了」と言えると思います。
その要因は様々ですが、あくまで私個人の考えとしては「可動化」こそがS.I.C.最大の過ちだったのではないかと思っています。
そのきっかけとなったのが、バイクの商品化です。
サイドマシーンの造形は凄まじく、現代の目で見ても「神商品」な訳ですが、バイクがあればもちろんヒーローをまたがらせない訳にはいきません。となると、固定フィギュアではディスプレイの幅がグッと狭まってしまいます。そこでS.I.C.はここから可動フィギュア化の道を突き進み始めます。ただ、バイクに搭乗できる可動フィギュアにはかなりの可動範囲が求められます。とはいえ技術が未成熟だった初期の商品ではいずれも「ギリギリ乗れる」程度の可動範囲しか確保できなかったようです。
また、大型のバイクとのセット商品は高額になりやすくディスプレイ時の場所も大きく取られるため、バイク抜きで可動フィギュアとなったS.I.C.が連続してリリースされていくことになります。
そんな中でも継承され続けたのが換装システムです。何度遊んだかわからない超傑作アイテム「Vol.13 仮面ライダークウガ」ではなんとライジングマイティがアルティメットフォームとグローイングフォームに換装することができました。換装パーツはいずれも軟質で付け替えもしやすかった印象があります。
ただ、この換装システムにもだんだん無理が出始めてきます。「Vol.23 仮面ライダー龍騎」では、通常の龍騎から龍騎サバイブへの換装が再現できましたが、そもそもアンダースーツの色が全く異なるこの二者の換装は正直微妙でした。
そして私のS.I.C.愛が尽きるきっかけとなった商品が「Vol.28 仮面ライダーファイズ」でした。なんとこの商品では、ファイズがウルフオルフェノクに換装できました!...けどこの二者ってそもそもパワードスーツ装着のヒーローと怪人という、(同一人物だとしても)あまりにもかけ離れた存在です。
20分くらいかけてファイズのパーツを全部外したとき、ふと気づきました。頭と手足をもがれたボールジョイントの露出したただの黒い胴体パーツを見て、
「いや、換装とかじゃなくて、二体セットにしてよ面倒くさい」
ウルフオルフェノクが完成して、しばらく眺めたらまたファイズに戻すんですけど、パーツが固い。ウルフの背中の金属の棘とか痛くて抜けない。何より、手首が固い。
そんな意味不明な換装システム入れるくらいなら、ファイズマスクの下にオルフェノクの影が浮かんでる変身者の生身の顔でも造形してくれてる方が何倍も嬉しかったかな。
後続の威吹鬼と斬鬼のセットなんかも造形がめちゃくちゃかっこよかったのと細かいDAとかの付属品に惹かれて買ったのに、手首が硬すぎて換えられない。あと、斬鬼の腕の関節が突然折れました。そういうことが続いて、もう買わなくなりましたかね。
あとは、これが致命的だったと思うんですけど、「イマジネイティブ」をあまり感じられなくなっていきました。平成ライダーってそもそも最初っからスタイリッシュなデザインになってることが多いんで、あんまりアレンジの余地がないんですよね。あれを弄ろうとしても、あんまり初期の頃のようなインパクトは出せなかったと思います。
それから、これも完全に個人的な好みですけど、竹谷さん監修が一番好き。今も手元にあるV3がやっぱりかっこいいのは、プレイバリューとかもそうですけどやっぱり造形がかっこいいからなんです。蛇腹顔のタレ目マスクをよくぞここまでかっこよくできるなと本当感心します。
「スーパー・イマジネイティブ」で魅力を再発掘するためには、元がちょっとダサくないと面白くない。
あと、可動フィギュアとの相性が悪いからでしょう、「超合金」要素もどんどん薄まっていきましたよね。結果、ただ元のデザインをちょっとぐちゃぐちゃにしただけの可動フィギュアシリーズになったと私は思っています。
もちろん実際には他のいろいろな要因があるんだと思います。何より、フィギュアーツが売れていくのとS.I.C.が売れなくなっていった時期は重なっていますからね。同じ「可動フィギュア」というジャンルではS.I.C.はフィギュアーツには絶対に勝てません。リアルな造型と集めやすいサイズ感に豊富なラインナップ。
S.I.C.は「可動化」したときから負けが決まっていたんだと思います。そして可動化のきっかけって何だったのかな?って歴史を遡っていくとキカイダー&サイドマシーンに辿り着くわけです。バイクに手を出したことがきっかけだったんじゃないかな?と。
ただ、初期の商品群には当初の志というか尖った要素がそのまま残っていて本当かっこいいなと思います。そんなに高くなってないものも多いので、買えるならまた買って集めようかな...。
(了)