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仮面ライダー1号は本当に再改造されたのか?〜 シン・仮面ライダー予習〜

来る「シン・仮面ライダー」公開日に向けて、原典「仮面ライダー」で曖昧だった設定や謎に迫ります。

ご存知、仮面ライダー1号といえば藤岡弘氏の力強い変身ポーズが有名です

第89話「恐怖のペット作戦 ライダーを地獄へおとせ!」

第89話「恐怖のペット作戦 ライダーを地獄へおとせ!」

が、仮面ライダー1号が変身ポーズをとるようになったのは、実は2号ライダーよりも後の話です。元々はポーズによる変身ができなかったはずのライダー1号が、第53話より突如として変身ポーズを披露。一体本郷猛の肉体に何が起こったのでしょうか...?

(※厳密には本郷猛の変身ポーズは劇場版「仮面ライダー対ショッカー」が初出)

今回は、本編劇中世界における最も納得のいく解答を考察してみようと思います。

またその過程で「シン・仮面ライダー」に向けた予習も進めたいと思います!

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変な改造人間、仮面ライダー

やはり何度見ても第1話は面白い。


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YouTubeで視聴可能なので是非ご覧下さい。

ところで、この第1話を見ても明らかなように、仮面ライダーはポーズによる変身をしていません。ベルトの風車に風圧を受けることで彼の肉体にエネルギーが蓄積され、改造人間としての能力が発揮されるという仕組みになっています。変身するためには、バイクを走らせるか、高所から落下する等によって風車を回さなければ変身できなかったのです。この設定はそのままライダーの弱点にもなっており、これを利用した罠にはめられてしまうこともしばしばありました。

ところで、ショッカーの改造人間=怪人は、劇中で確認される順番を元に蜘蛛男を仮にも「第1号」とするならば、仮面ライダーはショッカー製改造人間第2号ということになります。

勿論それ以前にも多くの改造人間が誕生しているはずだとは思いますが初期型の改造人間であることは確かでしょう。

しかし、その後次々と開発されていく改造人間に比べて仮面ライダーはあまりにも特殊すぎます。他の改造人間には見られない特徴を列挙すると...

  • ベルトの形状が特殊(他の怪人はベルトなしorショッカーベルトを着用)
  • サイクロン号という乗り物とセット(専用マシンを操る怪人は他にはほぼ皆無)
  • マスク以外はバッタめいた生物的意匠が少ない(ボディはバッタ怪人というよりも「ライダー」のイメージの方が強い)
  • 赤いマフラーの着用(マフラーを着用している怪人も他にはいない)
  • 人間の姿でいる時間が長い(他の怪人には人間の姿にすらならない者も多い)

ここからは、これら不自然だった点をひとつひとつ紐解いていきます。

 

サイクロン号の開発者は誰?

例えば蜘蛛男はおそらく戦闘用に改造された怪人ではなく、諜報活動や誘拐活動専用の改造人間であったことは明らかです。口から発する毒針を受けたものは骨すら残さず溶かされてしまいますが、それもショッカーの徹底した秘匿主義ゆえの特殊能力でしょう。

それに対して仮面ライダーは、そういった諜報系任務とは別軸で開発された、風力発電型改造人間のプロトタイプだったと考えられます。風力を得る手段として、「バイクへの搭乗」もしくは「ジャンプ」の二通りの方法が想定された段階で、「オートバイを操るバッタの能力を持った改造人間」が設計されたのだと思われます。

そして、変身にも不可欠なスーパーマシン・サイクロン号の開発者は緑川博士、もしくはショッカー科学陣、あるいは立花藤兵衛等諸説あるようですが、私は緑川博士の指示でショッカーが開発したマシンだと考えています。

そうでなければ、第1話、改造直後の本郷猛がバイクに乗っている状況が説明できません。むしろ私は、緑川博士が仮面ライダーの性能を用いてショッカーからの脱出を念入りに計画していたのではないか?とさえ考えています。「風力エネルギーを源に活動する改造人間の開発」というのは半分方便で、実際にはショッカーからの脱出を手引きしてくれる存在が必要だったのではないでしょうか?だからこそ、人間的にも信頼できる本郷猛をショッカーに推薦した。

本編を見れば分かる通り、高いジャンプ力でアジトからまんまと脱出し、変身用のオートバイで逃走することにも成功。更にその強靭な戦闘力でショッカーの追っ手を見事撃退しています。

また、「ショッカーが開発したはずのサイクロン号に、立花レーシングチームのエンブレムが貼ってあるのはおかしい」との指摘もありますが、劇中で初めてサイクロン号が登場するのはアジトから脱出した後のことであり、その間に本郷猛自らエンブレムを貼ったと考えることもできます。

S.I.C. Vol. 14 サイクロン & ライダー1号

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(大きさや形状から考えて、元々はショッカーのエンブレムが貼付されていた可能性も高い。S.I.C.サイクロンではそれが再現できます。)

ただ、こんな感じの設定フォローができるのもたまたまであって、実際には設定と劇中描写が噛み合わないようなことが本作には多々あります。

そういう「粗さ」みたいな部分も「シン・仮面ライダー」ではある程度整理されるようです。

ショッカー|『シン・仮面ライダー』公式サイト

このマークも「シン〜」では「バッタオーグのエンブレム」として登場します。エンブレムそのものがショッカーによってデザインされたものだとすれば諸々の矛盾も解消される上、背面の「R」のマークが「ライダー」の頭文字だとすれば、やはりバッタオーグはバイクとセットで開発された改造人間であると考えるべきでしょう。

 

人間から変身する意味とは?

ショッカー科学陣の身になって仮面ライダーの変身能力を考えれば考えるほど、「そもそも変身能力自体不必要ではないか?」と思えてしまいます。

人間態に戻る機能をオミットすれば、改造手術はかなりシンプルなものになるはずです。もちろん、人間に変身する機能があった方が隠密行動には有利です。事実、多くの怪人が人間に化けて行動している姿が描かれてきました(第2話で蝙蝠男が早速披露しています)。

しかし中には、全く別の人間に憑依する能力を持つ者や、怪人の顔の上に人間の仮面をつけているというパターンもあり、そもそも人語を解さない怪人が少数ながら存在していることからも、変身能力が必須ではない、もしくは予算次第ではオミット可能なものであると解釈することができます。

その点、仮面ライダーの「変身」は比較的シンプルで、第1話の手術台でのシーンを見る限り、風力エネルギーを蓄えることで身体能力は向上すれど、見た目の身体的変化はほぼ無いようです。

つまり、見た目は本郷猛のままでも、身体能力の向上と同時にライダースーツとマスクを着用することを「変身」と呼んでいる訳です。

この設定の面白いところは、見た目は仮面ライダーでも、風力エネルギーが蓄えられていない=身体的変身が完了していない状態だってあり得るということです。

但し本編ではそんな描写は無く、「風力エネルギーが切れると同時に本郷猛の姿に戻ってしまう」という風に描かれていましたが、それはその方がテレビ的にはわかりやすかったからでしょう。

しかし「シン〜」では、特報映像から察するに、仮面ライダーの「不完全体」が存在しているように思われます。


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「シン〜」ではおそらくコートを羽織った状態が不完全体なのでしょう。仮面ライダーの姿をしているけれど、まだ風力エネルギーがチャージされ切っていない状態です。

また、緑川ルリ子と行動しているシーンの全てがマスクオフ状態であることから、ベルトも外せなければ胸のコンバータラングさえずっと露出しっぱなしで元の人間の姿に戻ることができないという設定である可能性が高いです。

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©︎石森プロ・東映/「シン・仮面ライダー」製作委員会

この設定は実に斬新でありながら現実的です。また、元来仮面ライダーが志向していた「改造人間としての悲哀」というテーマをより深掘りできそうな予感さえします。

 

仮面ライダーのような怪人?

このようにして考えると、我々のよく知るショッカー怪人に比べて、やはり仮面ライダーだけが非常に特殊な改造人間のように思えます。

その点、「シン〜」ではこの発想を逆転させて、ショッカー怪人の方を仮面ライダーの設定に寄せているようです。

これはあくまで推測ですが、仮面ライダーのスーツやマスクのデザインを起点として、クモオーグ(蜘蛛男)やハチオーグ(蜂女)がデザインされているようです。

クモオーグのスーツは、蜘蛛男のような毛が生えたタイツスーツではなく、ライダースーツのようなスタイリッシュな革ジャンです。マスクにも仮面ライダーのように発光可能な複眼が確認できます。

ハチオーグのマスクデザインには、ライダーマスクのクラッシャーにも似た構造やこれまた発光する複眼が見られ、デザインラインに一貫性が感じられます。

要は、「仮面ライダーを開発したショッカーが同じコンセプトに基づいて蜘蛛男や蜂女を開発したとしたら?」というごく自然な流れに沿ってリファインされている訳です。未公開ではありますが、おそらくサソリオーグも同様のコンセプトでデザインされていることでしょう。

かと思えばコウモリオーグには結構オリジナルの蝙蝠男に近い生々しい後頭部が確認されており、哺乳類ベースの改造人間の場合は少しデザインラインが異なるのでしょうか?正面のマスクデザインも非常に気になります。

 

赤いマフラーの意味

ここまで仮面ライダーと怪人を近い存在として描くのであれば、「シン〜」における「脳改造」とは一体どういうものなのか?というのもやはり気になります。

ただ、脳改造の有無=「魂の自由」を象徴するものとして「マフラーの有無」がかなり重要な要素になるであろうことは、先日公開された3枚目のポスターからも明白です。

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原典「仮面ライダー」第1話では、仮面をつけると同時にその首には赤いマフラーがしれっと巻かれていました。後に第92話から登場するショッカーライダーたちとの最大の差異としても、その真紅のマフラーは特別な存在感を放っていたと言えます。

「シン〜」のマフラーの有無が気になって特報映像を見返してみると、コートを羽織った本郷ライダーのシーンにも少なからず「マフラーなし」のシーンが存在しており、

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©︎石森プロ・東映/「シン・仮面ライダー」製作委員会

一文字ライダーに至っては、あの印象的なファイティングポーズを決めるシーンでもマフラーが巻かれていませんでした。

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©︎石森プロ・東映/「シン・仮面ライダー」製作委員会

もしかすると、我々人類の味方になる前のバッタオーグとしての姿もたっぷりと描かれるのかもしれません。

2号関連で言うと、サイクロン号の扱いも気になるポイントです。

オリジナルの「仮面ライダー」において2号のサイクロン号は「ヨーロッパに旅立った本郷から一文字に託されたもの」と設定されていました。ショッカー科学陣は、二人目のバッタ怪人にはサイクロン号を用意しなかったのです。それは、ポーズによる変身が可能となったことで、バイクが不要になったからだと考えられます。

ところが、「シン〜」においては2台のサイクロン号が登場します。

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©︎石森プロ・東映/「シン・仮面ライダー」製作委員会

仮面ライダー第2号にもサイクロン号が同時開発されているということは、2号ライダーもまた、バイクがなければ変身できない設計である可能性があります。

しかし、単純に裏切り者である本郷猛打倒の命を帯びて開発されたのだとすれば、本郷に対抗できるだけの戦力としてバイクが与えられたと考えることもできますし、より進化したバッタオーグとして、最大の弱点である変身方法が改善されている可能性も十分考えられます。

 

ポーズによる変身システム

第16話「悪魔のレスラーピラザウルス」

第16話「悪魔のレスラーピラザウルス」

おそらく仮面ライダーの戦闘力は、あくまでも「逃走用の改造人間」として緑川博士が想定していた以上のものだったに違いありません。

しかし一方で、より能動的な変身システムが求められていたのもまた事実です。加えて、体の正面から風を受ける必要からエネルギー変換炉に直結している風車が常に露出しているという致命的欠陥も大きな課題でした。

これらを改良するため、一文字隼人を被験者としたバッタ怪人第2号には、ポーズと連動して開くシャッターが付加され、ジャンプ上昇時の僅かな風圧でも変身が可能となるよう、エネルギー変換効率が大幅に改善されました。

ここで留意すべきは、2号ライダーのポーズによる変身システムは、ポーズと連動してダイナモが回るのではなく、あくまでシャッターの開閉をコントロールしているだけであって、結局のところジャンプによる風圧は相変わらず不可欠であるという点です。

しかし、通称新1号と呼ばれる、53話以降登場した新たな1号ライダーの変身システムはそれよりも更に進化しており、ポーズを取ることでダイナモが回転、ジャンプなしでも変身できるようになっていることが確認できます(基本的には毎回ポーズの後にジャンプしているのですが、簡略版としてジャンプなしの変身が度々見られました。後の新2号も同様の進化を遂げています)。

 

再改造?鍛錬?

さて、ここからが本記事の本題です(笑)

元々ポーズによるベルトのコントロール機能さえなかった1号ライダーが、2号ライダーをも凌ぐ機能的進化を遂げることができたのはなぜでしょうか?

驚くべきことに、この点に関しては劇中で一切説明がないため、現在に至るまでいくつかの仮説が提唱されるも、明確な答えが定まっていないのが現状です。

  1. わざと死神博士につかまって再改造され、再び脱走したとする説
  2. 自ら再改造したとする説
  3. 鍛錬によって肉体が変化したとする説

巷では1.か3.のどちらかが有力という雰囲気がありますが、1.に関しては既に劇中にて死神博士に捕獲されるという展開が頻発しており、

確かに劇中描写からも死神が本郷を味方に引き入れたがっていることは感じられるのですが、我々の知り得ないところでまたもや脳改造のチャンスを逃して脱走されていたなんて、あまりにショッカーが間抜けすぎます。ですから一旦1.は除外して…。

3.に関しても、ただの鍛錬だけで変身システムが変わるとは思えません。「家の古い洗濯機をしごきまくっていたら色も明るくなってドラム式に変わりました」なんてことあり得ないからです。

ですから私は2.の「本郷猛自らが自分を再改造した」という説を推したいと思っています。

その最大の根拠は、後にダブルライダーが自らの手でV3を改造している点にあります。

おそらく我々が想像する以上に、本郷猛と一文字隼人は自分の体の機械構造を熟知していたのでしょう。自身の変身システムに手を加えられるレベルの知識があれば、ゼロから新たな仮面ライダーを誕生させることもできそうです。

 

ショッカー内部の内通者??

但し、この仮説にも確かに無理な部分はあります。

単純に、どうやって自分で自分の体を手術するの?ということです。特に変身システムは腹部に集中しているはずで、自力で開腹して内部構造をイジるのはかなり難しそうです。

また、再改造のための設備や材料の入手が最も難しそうで、そうなると一旦は「あり得ない」と考えた1.の説(ショッカーにわざと捕まって再改造された後に脱走)がやはり再浮上してきます。

その場合、ショッカー内部にライダー(もしくは滝)と極秘裏にコネクションを持った内通者がいた、もしくはショッカーを脱走した優秀な科学者が協力者として存在していたと考えるべきでしょう。やはり本郷単独でショッカーの力を借りて再改造すると考えるのは無理があります。

後の事例でいえば、元ブラックサタンの科学者・正木博士によって再改造強化手術を受けたストロンガーのようなケースです。

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しかし、本編でそのような協力者が準レギュラーキャラとして特に登場しなかったところを見るに、仮にそんな人物がいたとしてもすぐに殺害されてしまっていることでしょう。

結論は判然としませんが、まとめると以下のような感じかと思います。

  • ショッカー内部にライダー側の内通者もしくは協力者(脱走者)が存在していた
  • その協力者の手引きによってショッカー内部の設備を用いて再改造、もしくは協力者が独自に用意した設備にて再改造、変身システムを大幅に改善させることに成功
  • その後協力者はショッカーに暗殺されてしまった可能性が高い
  • 本郷自身もライダーの変身システムを独自に研究、後に一文字隼人の変身システムもジャンプなしで変身可能な状態へと進化させる

そのようにして随時自身の肉体を独自にチューンナップしていた可能性も考えられます。

一方、「鍛錬の末に新たな能力を獲得した」とする説も、一概に否定できるものではありません。というのも、そっちの方が男らしくて仮面ライダーらしいからです。

わざと捕まって再改造されてから再脱走する、というのはなんだかコソ泥っぽくてあんまり男らしい戦い方じゃないとも言えます。多分だからこそずっと「鍛錬説」が消えずに支持され続けているのだろうと思います。

ちまちま再改造を続けてるってのは整形し続けてるアイドルみたいで日本人は多分あんまり好きじゃないはずです。それよりも、まめなスキンケアをコツコツ続けて美をキープしている女優とかの方がみんな好きでしょう(笑)

多分仮面ライダーにもそういう理想を重ねているところが、私たちにはあるのかもしれません。

 

しかし忘れてはいけないことが一つあります。それは、本郷猛は「いつか元の人間に戻れる日を心ひそかに願いながら戦い続けている」ということです。

鍛錬を重ねてパワーアップするにしても、再改造するにしても、その本心とは真逆にその肉体はどんどん人間からかけ離れていくのです。

そんな仮面ライダーの苦悩と悲哀に、再び光が当たることとなるのでしょうか?

「シン・仮面ライダー」、楽しみにしています。

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