ADAMOMANのこだわりブログ

特撮ヒーロー、アメコミヒーローを中心にこだわりを語るストライクゾーンの狭すぎるブログ

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ここがダメだよバイオハザードRE3〜失われた平家物語的世界観〜

あんまりやりたくなかったんですが、RE3のダメ出しやります(笑)

以前から何度も書いている通り、もうRE2にハマりすぎてまして...

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その流れでRE3も買ったわけです。もちろんPS版の「ラストエスケープ」なんて当時もう何兆回クリアしたか?ってくらいやり込みました。そんな大好きな「3」のリメイクですからそれはそれは楽しみにしてたんですけど、一瞬で飽きましたね(笑)

あちこちでもすでに語り尽くされたテーマですが、あくまでも私なりの観点でいきます!

棄てられた「街の十字架」

RE3って、一般的にはよく「短い」という批判を受けてることが多いと思うんですけど、んー、個人的にはRE3最大の問題点は「薄い」ことだと思います。まぁとにかく物語が薄い。薄っぺらい。物語に深みがない。

個人的に最も残念だったのは、「ラクーンシティの罪と罰」という、オリジナル版の物語の根幹にあったテーマを根こそぎ取り去ってしまったことでした。

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オリジナルのPS版バイオ3こと「ラストエスケープ」(以下LE)では、冒頭のジルの独白から、製薬会社アンブレラの「傘の下」でその恩恵を受けてアンブレラの悪行を「見て見ぬふり」してきたラクーンシティの罪と、そのしっぺ返しとしての「街の壊滅」という言わば「因果応報」的な大局的視点に立った上で、

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冷静に街を発つ覚悟を決めて銃に弾を込めるジルのカッコ良すぎる姿が描かれていました。

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この、因果応報、栄枯盛衰、盛者必衰とも言うべき「平家物語的視点」って「バイオ3」という作品を語る上でめちゃくちゃ大事な要素だったと思うんです。もちろん、それが良いか悪いかで言えば賛否あるかもしれないし(犠牲になった人の大半は無知な大衆)、増してコロナ禍にリリースされた本作だったからこそ、そういった表現やシナリオ構成を避けざるを得なかった、という裏事情はあるのかもしれません(知らんけど)。

でも、だからこそ、こういうテーマって現代にも通じるものだと思うし、令和的なリメイクで改めて「ラクーンシティが知らない間に背負っていた十字架」というのを真正面から描いて欲しかった。それがうまくいけば、風刺かオマージュか何かわかんないけど、コロナ禍を生きる私たちにも改めて刺さる作品になれたんじゃないかな〜とかは思います。

これがない時点でこのゲームは9割方失敗確定、とまで私は言いたいくらいにこれは手痛い改変だったと思ってます(いやいや本質的には開発を外部委託しちゃったことこそが最大の失敗の原因ですけどね)

 

ジルの薄さ

そしてこの「ラクーンシティの十字架」オミットの余波はダイレクトに主人公・ジルのキャラクター描写にも影響を及ぼしています。

洋館事件含む数々の一大事(バイオ1での生還〜生存者の証言無視)をジルはすでに経験してきたからこそ、彼女は独自に「戦う準備」を整えていました。

ここって実は、うまくリメイクできてればRE2との最大の差別化ポイントにできたはずなんですよね。

レオンやクレアは、街がゾンビで溢れかえっていることも、それがウィルスのせいであることも、アンブレラという製薬会社が真犯人であることも、何も知らない状態で登場します。ですがジルはそれらの真実のほとんどをすでに知っているんです。

もう事情を知っている側の人間としてプレイできる、というのはプレイヤーである私たちと境遇が見事重なります。私たちもすでに「2」(もしくはRE2)をプレイしているから、「3」の段階ではジルと同じく全部を知ってるわけです(だから誰にとっても想定外たる「追跡者」の存在が際立つ)。

なのに、本作RE3のジルってば冒頭からはそういう雰囲気ゼロで「自分がゾンビになっちゃうかどうか」=個人的な内面に抱えている恐怖にしか向き合っていないんです。

だから劇中で「スーパーコップ」とか呼ばれて女版マクレーンみたいな扱いになっていくのが、やってることとしては一応納得できるんですけど、イマイチ1人のキャラクターとして繋がってこないんですよね。

ちょっと乱暴な言い方をするなら、冒頭で描かれていた「ゾンビ化への恐怖」というドラマのフリが、追跡者ことネメシスの登場でぶっ飛んで「それどころではなくなった」という印象さえあって、主人公が超克すべきテーマやドラマを自ら根こそぎ捨て去っているようにも見えちゃいます。その結果、本作全体がただの「鬼ごっこ」になっちゃって薄っぺらくなってるように感じます。

もちろん「ゾンビ化への恐怖」が、中盤での一時的なウィルス感染のフラグだと見ることはできます。でもそれって、カルロスの奮闘で克服できちゃうものだから、ジルのキャラクターとしての成長とかドラマになってないですよね。

 

脇役の薄さ

ジルがLEと比較して精神的に「弱くなった」という改変によって、対照的に「強くなった」のが周囲の男性陣です。顕著だったのが、ブラッドとカルロスですね。非常に頼もしくて「イイヤツ」になってました。

他にもタイレルとか、旧作以上に魅力的になったキャラクターたちもいますけど、ムービーとかで描かれる以上の「深み」がない。それこそ、カルロスがなんであそこまでドチャクソに「イイヤツ」だったのかってマジで理由もドラマも掘り下げも何もありません。ま別にいいんすけど。

ニコライだけが単に「イヤなヤツ」なので、オリジナルにあったUBCSの「それぞれの思惑で動いているだけであんまり当てにならないヤツら感」もやや薄い。

結果的に、「数多の思惑が交錯する物語の複雑さ」が失われて、ただ単に「ジルとUBCS vs ニコライ(と、ニコライに利用されてるネメシス)」という単なる二者対立構造になってるから物語が平板に感じられて面白くない。

また、ファイルを利用したキャラや世界観の掘り下げも、RE3は薄かったと思います。例えばRE2には、ムービーでもセリフでも語られない、ファイルだけで間接的に描かれていた物語がたくさんあります。RPDに残された警官たちの奮闘、孤児院の少年たちが味わった地獄のような恐怖、NEST職員たちの混乱...。

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...そういうのが、RE3には、ない!(あるにはあるけど非常に少ない)

こういうのって初代バイオの「かゆうま日記」から続く伝統芸だと思うんです。バイオハザードって、ビジュアルやアクションとしても十分一級のホラーなんですけど、実は文芸面も秀でてる作品です。こういう文章から得られる情報って、目や耳から得る情報を間接的に補強してくるから、めっちゃグロい映像とか見るよりもずっと効果が高いんですよね〜。

あと、ジルが「精神的に弱くなった」というのはあくまでも序盤の描写だけの話で、結局どんどんジルがスーパーコップになっていくし、UBCSもなんかみんなしっかりしてるし、結局「全員強い」から余計ゲームとしても怖くなくなっていくんですよね。

RE2で言えば、レオンはエイダを庇って負傷するし騙されるし新米警官らしい脇の甘さがドラマを生んでいたし、クレアにはシェリーを守るというドラマが追加されていました。

それらが中盤以降のいいスパイスになってたんですけど、RE3のジルはただただ強くなっていく一方なんで、ドラマ的にもゲーム要素的にもメリハリが弱いんですよね。

 

マップの薄さ

「短い」と思われがちな要因として、やっぱりマップがほとんど一本道になっちゃってるってのはあると思います。

そもそもバイオハザードって、同じ場所を何度も歩かされる恐怖ってのがたまらないゲームです。あと、どのルートから行くべきか?の葛藤を迫られるのも面白い。

ところが、本作のようなほぼ一本道のマップになるとそういう逡巡とか葛藤からは解放されてしまいます。だから面白くない。やり込む気にもなれない。

例えばRE2であれば、警察署のホールからアイテムボックスのある写真の現像部屋まで行きたいときに、1階の西側オフィス経由で行くか、西側の廊下を通って行くか、はたまた2階の図書室経由で行くか、はたまた東側の別のセーブルームへ行くか?とか結構たくさん選択肢があるわけですよ。タイラントの位置とか、残しちゃった敵の数とか、貼り損ねた木材の数によっては、大きく迂回ルートを取るしかなくなったり、そういう自分のプレイ次第で何通りにも攻略法が分岐していく面白さがありましたよね。

RE3ってそういうのマジでない。だからつまらない。

あと、アイテムの探索で同じ場所をウロウロしていると新しい発見があったり、他のエリアとのつながりに気づいたり、やり込むごとに気づく面白さがあるんですけど、RE3の場合、追跡者から逃げるために走り抜けないといけない場面も多いんで、マップが広がっても、物語は深まってないんですよね。結果、マップが薄い=「怖くない」という評価になっちゃう。

但し、同じくほぼ一本道の「4」は私大好きです。こっちはフルモデルチェンジで旧作と違いルート分岐の面白さがなくなった分、使う武器の種類と組み合わせ、体術の有無など、戦闘方法が比べ物にならないくらい豊富になってます。だから一本道でもゲームとしての面白さが担保されてるんです。RE3は緊急回避はあれど「4」のレベルにまでプレイバリューが届いてない。

そんな本作でも唯一、これは「怖い」と思えたのが病院です。狭いし暗いし同じ場所を何度も往復させられるし敵の再配置も多い。だからここだけは面白いですね。やっぱりバイオって「密室ゲー」です。

あと、マジでこれ言わせてくれ。なんだ「NEST2」って!ねすとつー?!小学生の思いつきか?!

RE2に登場した地下研究所NESTと同様のもう一つの地下研究施設ってのはわかるんですけど、あまりにも芸がないというか...そのまんますぎてちょっとね。マップ的にもあんまり広がりも個性もないし。

 

ネメシスの薄さ

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ネメシスも走ってたらなんかやり過ごせちゃうからあんまり怖くないですね。突然襲ってくるランダム感がほぼなくて、登場するタイミングも簡単に読めちゃうからただのイベントボスに成り下がってます。

それこそRE2のタイラントのほうがはるかに「追跡者」してました。タイラントの場合、警察署という密室空間での鬼ごっこがめちゃくちゃ面白くて、別のフロアから聞こえる重い足音とか、ドアを開けたらすぐそばで足音が響いてたり、そういう「駆け引き」が楽しかったんですが…。

これについてはRE3の開発陣も「先にやられた」という苦労話を公開しているのでちょっとかわいそうというか同情しちゃいますけどね...。

というか、なんで本作の軸を「ジルとネメシスの因縁」みたいなところに置いてしまったんでしょうか?これのせいで何もかもが狂っています。もちろん、ネメシスはアンブレラの生物兵器の象徴ですから、ジルとアンブレラの対決構造を単純化したものとして見ることはできますが、ジルとネメシスが火花を散らす構図に感情移入するためには、ジルのアンブレラに対する「強い憎悪」とその源泉たる「戦う意志」が明確に描かれていないとダメです。でもRE3はそこの描写にあんまり力を入れてないから、場当たり的に突如現れたクリーチャーと戦うことになっちゃった感が強いんですよね〜。

もちろん描いてないこともないんですけど、ブラッドとカルロスがLEと違って勇敢で強い男として描かれたことで相対的にジルの強さが強調されてないのは大きいと思います。LEが巧みだったのは、彼ら周囲の男をちょっと頼りない感じにして、相対的にジルを強く見せていたことです。

 

街の薄さ

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「ラクーンの十字架」が前提にあった原作LEのラクーンシティの映像には哀愁が漂っていました。もちろん、20年以上前の作品だから画質は粗いし質感は現代の作品に遠く及ばないけど、滅びの道を突き進む街の惨状からは、平家物語的な侘び寂びさえ感じられたものです。

そう、元々バイオ3って、滅びゆくラクーンシティを見届けるための、ラクーンシティが主役のゲームだったと思うんです。バイオ3の真髄は、ラクーンシティへの鎮魂歌〜レクイエム〜だと思うんですよね。

だからLEのラストは、滅菌作戦で焦土と化すラクーンシティを覆うキノコ雲だったわけだし、それが「街が背負った罪と罰」の映像化としてこれ以上ない一つのドラマでありシリーズの一つの到達点にもなってました。

もちろん個人的な思い出補正とかもあるのかもしれないけど、やっぱりあの荒廃した街の静けさの中に響く湿ったゾンビの足音と呻き声からはひたすらに「虚しさ」だけが漂っていて、独特の恐怖とディストピア感が見事描かれていたと思います。

でも、RE3のラクーンシティにはそういうドラマとか色気が感じられないんです。本当に、ジルとネメシスが走るためのコースみたいな感じでした。

ダリオロッソの手記がカットされたのとかまさに典型です。上述の通り、掘り下げが足りないから血の通った街が崩壊しちゃった感がどうしても薄い。

RE2の警察署なんかは、もともと警察署として機能していたものが機能不全に陥った様子が一目で想像できるから面白いんですよね。あちこちに血飛沫が飛ぶ廊下とか、バリケードで塞がれた通路や、死体が転がる室内...でもそういう一番怖いところを通らないと攻略できない理不尽さ。その理不尽さと戦うのが、バイオハザードというゲームの一番面白いところ。

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とにかく、「日常の崩壊」を描く演出が不足していた点は個人的に結構不満でした。

 

まとめ

過去の記事でも触れた通り、バイオハザードの主役ってやっぱり「洋館」であり「警察署」であり「ラクーンシティ」であり、つまるところ「密室空間」なんですよね。実はゾンビゲーではない、というのは大事なポイントだと改めて思いました。

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んで、その密室空間から脱出することが目的なのに、このゲームのイヤなところが、進行すればするほど地下に潜っていくところなんです。

バイオハザード1であれば、洋館→寄宿舎(はなれ)→洋館地下→中庭地下→地下研究所。

2の場合は、警察署→警察署地下→下水道→下水処理場→地下研究所、といった感じです。全クリが近づいているはずなのにどんどん深淵に潜っていくゲーム進行は、シンプルに「生理的にイヤ」ですよね。

では、バイオ3の場合はどうだったのでしょうか?

アップタウン→警察署→ダウンタウン→時計塔→病院→公園→廃工場...と、もちろん最終的にはセオリーに則って地下には向かうんですが…。このステージの数々、まさしくラクーン観光名所巡りですよね。

なお、RE3は上から時計塔と公園をカットしちゃって病院から地下研究所に移動しちゃうんで、そりゃまぁボリューム不足です。あと、カットされた時計塔も公園も「密室空間」です。RE3の病院のように、時計塔も公園も作り込まれたマップになってたら、結構本作の評価ひっくり返ってたかもしれないです。

でも病院地下からの「ねすとつー」が明るいハイテク施設だったからやっぱり恐怖半減かなぁ。

とまぁこんな感じで色々思ってたことを並べてみましたが皆さんはRE3楽しめましたか?別にアクションゲームとしてはそこそこ面白いんで充分な出来だとは思うんですけど、RE2が面白すぎたからな〜。

でもちなみに私、本作のネメシス最終形態との最終決戦は結構好きです。RE2と比べてもどのボス戦よりも好き。あれは面白い。

RE3のわずかな良さが全て爆発してる貴重な場所だと思う(笑)

(了)