この間、ウルトラマン最終回「さらばウルトラマン」を見返していたんですが、最強の怪獣とも呼ばれるゼットンをたった一発で葬った、新開発の試作品、通称・ペンシル爆弾について、ちょっとある可能性を思いつきました。
もしかしてペンシル爆弾って携帯型核兵器なのではないか?ということです。
なぜなら、発射時にイデとアラシがヘルメットのバイザーを下ろしていたからです。
ペンシル爆弾とは
ペンシル爆弾とは、初代「ウルトラマン」の最終回「さらばウルトラマン」に登場した武器です。
言わずと知れた最強怪獣・ゼットンによってウルトラマンが倒された後、炎上する科特隊本部から救出された岩本博士がアラシ隊員に託した一発きりの試作品で、これが見事命中したゼットンは空中で大爆発しました。
無重力弾とも呼ばれ、着弾してすぐに爆発するのではなく、相手を一旦空中に浮かせてから大爆発を起こします。
岩本博士がゼットン星人に捕まらず、もっと早くこれが科特隊の手に渡っていればウルトラマンは死なずにすんだのではないか?と言われるほど、その強力な破壊力は今でもファンの間で語り草となっています。
たまたまウルトラマンを見返していたときに気づいたんですが、これをスーパーガンの先端につけて発射する際、アラシとイデの二人はヘルメットのバイザーを下げていました。ちょうどつい先日、「遊星から来た兄弟」も見返したばかりでしたので、ふと思ったんです。もしかしてペンシル爆弾って、放射能含んでない?
バイザーを下ろしたエピソード
この仮説を検証するために、ウルトラマン全39話を見返して、科特隊の隊員がバイザーを下げている場面を全て調べ上げました。一旦、それらを全て列挙してみますね。
第5話「ミロガンダの秘密」
等身大のグリーンモンスに対してスーパーガンを発射する際にバイザーが下げられています。当初は設定が固まり切っておらず、スーパーガンを撃つときはバイザーを下げる、という設定があるようでない感じだったという説があるようです。実際、放映順では第5話でも、制作順ではNo.2ですから、ここで設定化しようとしたが他のエピソードで統一できず自然消滅していった、と考えることはできます。
但し、巨大化したグリーンモンスとの夜の戦闘シーンでもスーパーガンを撃っていますが、この際にはバイザーは下げられていません(これについても後述します)。
第13話「オイルSOS」
ペスター登場回です。自身の過失によって大火災を起こしてしまった石油コンビナートの鎮火のため、イデ隊員はホースを持って必死に放水を続けます。
凄まじい炎の勢いや煙から身を守るためか、ここでイデ隊員はバイザーを下げています。
第16話「科特隊宇宙へ」
二代目バルタン星人が登場するエピソードです。バルタン星人の罠にかかり、たった1人でバルタンの軍勢を相手にしなければならなくなったイデ隊員が、恐怖のあまり咄嗟にバイザーを下げています。これはアドリブ演技ではないか?と思うほど僅かなシーンの出来事で、本来のバイザーの機能を発揮するためのものではありませんが、一応バイザーを下げているシーンではありましたので挙げておきました。
また、イデ隊員の名誉のためにも言っておきますが、ビビって隠れるようなポーズと共にバイザーを下げたイデ隊員はすぐにバイザーを上げて、新開発のマルス133でバルタンの軍勢を一網打尽にしていきます。
第18話「遊星から来た兄弟」
にせウルトラマンことザラブ星人登場回です。冒頭で宇宙から降り注いだ「放射能の霧」を調査するため現場に急行したイデとアラシは2人ともバイザーを下げていました。バイザーを下げる、と言っても隠せるのはせいぜい鼻ぐらいまでで、口元はほぼ完全に露出しています。ちょっと色々とツッコミたくなるシーンではありますが、少なくとも映像作品中から察することができるのは、バイザーを下げておけば放射能の影響をほとんど受けずに済む、ということでしょう。今回の仮説を立案するきっかけになったエピソードでもあります。
第19話「悪魔はふたたび」
バニラとアボラスの回です。バニラとの戦闘中にキャップがアラシに「原子弾」の使用を提案するシーンがあります。このエピソードのバイザー使用例は、ペンシル爆弾のシーンと最も似ており、ここで登場する原子弾の大きさも使用方法もほぼペンシル爆弾と同じです。名前から察するに、放射能を含んだ武器である可能性は十分考えられ、これを発射する瞬間のみ、アラシはバイザーを下げていました。
しかし、これがバニラに命中した直後、アラシはすぐにバイザーを上げて喜びの表情を見せています。
第21話「噴煙突破せよ」
ケムラーが潜む大武山に向かった科特隊。そこは猛烈な毒ガスに覆われており、当初は科特隊の面々も、防毒マスクを装着していました(バイザーは上げたまま)。しかし、実際にケムラーと対峙し、直接ケムラーの放つ毒ガス攻撃を受けた際には「防毒マスクをしていても危険だ!」と一時撤退します。
その後、再戦に挑んだ科特隊は、一定の距離を保っていたからか、防毒マスクは装着せず、しかしバイザーを下げた状態で戦います。ただ、バイザーを下げているのがキャップだけだったり、カットが変わるともうバイザーが上がっていたり、シーンによってまちまちです。
但し、ケムラーにとどめを刺したマッドバズーカを発射する際には再びバイザーが下げられていました。
第23話「故郷は地球」
ジャミラ登場回です。最初にジャミラが登場して戦闘になった際、アラシ隊員が持っていたバズーカ砲を発射する際にバイザーを下げていることがほんの一瞬だけですが確認できます。
第34話「空の贈り物」
スカイドンに対してあらゆる手を尽くす科特隊やウルトラマンの姿が楽しいエピソードです。中盤で登場する「オートジャイロ作戦」で、アラシが麻酔弾を発射する際にバイザーが下げられていました。
第36話「射つな!アラシ」
ザラガスが空を割って閃光攻撃を放った際、科特隊の面々はバイザーを下げることで難を逃れましたが、そばにいた一般人は失明してしまうというシーンがあります。
バイザーを下ろす意味
以上、第39話「さらばウルトラマン」含め9つのエピソードでバイザーを上げ下げする描写が確認できました。ある程度予想はしていましたが、やっぱりそんなに多くはないですね。
これらのシーンから共通項をあぶり出して、どんなときにバイザーを下げているのかを考えてみたいと思います。
まず一つ考えられるのは、第18話からも明らかなように、科特隊ヘルメットのバイザーには強力なバリヤー機能があるということです。特に、放射能のような人体に悪影響を及ぼすあらゆるものから装着者を保護してくれるようです。
であれば、第19話で原子弾を放ったときのように、ペンシル爆弾使用時も、危険な武器の使用時に装着者を保護する目的でバイザーを下げることはあり得る話です。これに該当しそうなのが、ゼットン戦の他に、ザラブ星人戦、バニラ戦、スカイドン戦です(マッドバズーカの弾頭の組成によってはケムラー戦も?)。
但し、他のエピソードでの使用例からも察することができますが、絶対に弾を外したくないときにもバイザーを下げているように思えます。それに該当しそうなのが、これまたゼットン戦含め、等身大グリーンモンス戦、バニラ戦、ケムラー戦、ジャミラ戦、スカイドン戦です。
弾が一発きりしか無かったり、この一発で確実に作戦を進めなければならない、といった場面ではバイザーを下げている印象があります。ただ、なぜバイザーを下げれば命中率が上がるのかは不明です。上述の通り、スーパーガンを撃つ際にはバイザーは下げるもの、と設定しようとしていた節は確かにありますが、もしかすると、バイザーを下げると装着者の眼前にエイムサポートのデジタル映像が出るような設定があったのかもしれません。ただ、技術的な問題で映像化を断念したのかもしれません。
実は下げたくない
とはいえ、弾を外したくない場面でバイザーを下げるのであれば、ゴモラに麻酔弾を射つ場面など、他にもバイザーを下げた方がいい場面はいくつもあります。このバイザーの上げ下げを考えるにあたって、どうしても避けられないのが、「演者の顔が見えにくくなる」という演出面での問題です。
もちろんここでは設定的な面での話がしたいのですが、演出意図としてどうだったのか?を考えるとこういうメタな部分も考慮に入れざるを得ません。
バイザーを下げると演者の顔が見えにくくなるという問題は結構重要で、そこを配慮してか、主演のハヤタと最も年齢が上のキャップの2人だけ、バイザーのスモークが薄く最もクリアなものが使われているくらいです。
このことを含めて考えると非常にわかりやすいのがグリーンモンス戦で、夜の巨大戦ではバイザーを下げていなかったのは、ナイトシーンでは演者の顔が全く見えなくなる、という懸念があったからと思われます。
他にも、バニラ戦で弾を撃った直後にすぐにバイザーを上げてアラシが喜んでいたのは、喜んでいる芝居を見せたい、という役者魂ゆえかもしれません。
ですから、結果的にバイザーを下げて戦うシーンは全体でも非常に少ないものになったのでしょう。上述の、バイザーによるエイム機能という仮説も、映像化云々以前に、役者の顔が隠れることに対する懸念の方が先にあったのではないかと思います。
もし、本格的なSF作品を目指すのであれば、そもそも空を飛ぶジェットビートルのような戦闘機に乗り込む際も、一般的なジェット機の乗組員のごとく、科特隊員であっても酸素マスクがなければならないはずです。これは「未来の戦闘機だから大丈夫なんだよ」と言われればそれまでですが、メタ的には演者の顔をしっかり映すため、だとも考えることができます。現に、防衛チームのヘルメットのバイザーは面白いくらいにだんだんとその役割を失っていきましたから...。
ペンシル爆弾の謎
少し話が逸れましたが、本題である「ペンシル爆弾発射時にバイザーを下げていた理由」について考えましょう。
上でも述べた通り、バイザーを下げるのは
①放射能etcの有害物質から身を守るため
②命中精度を上げるため
のどちらかであると予想できます。正直、映像作品からは①と②のどちらかはこれ以上推測のしようがありません。なので、当時の台本(脚本)に何かト書きでもないか?調べたいなと思うくらいです(詳しい方いらっしゃったら教えてください)。
ただ、個人的には①の方が有力かな?と思っています。もし②の命中精度を上げるためだけにバイザーを下げたのであれば、弾を射つアラシだけでいいのに、すぐそばにいるイデまでもがバイザーを下げていたからです。
実際、ゼットンを粉砕した後、同作では結構珍しい描写ですが、ゼットンの肉片が隊員たちのすぐそばまでゴロゴロと落ちてくる描写もあります。
核兵器だとすれば...
何せ、あのウルトラマンでも歯が立たなかったゼットンを倒すほどの超兵器、と言われれば正直言って核兵器しか浮かばないですよね。
で、仮にペンシル爆弾が核兵器だとすれば、ウルトラマン世界の人類の科学技術は、核兵器をポケットサイズにまで小型化し携帯可能にしているということになります。が、まぁこれまでの劇中描写からすればそんなに驚くべきことでもないでしょう(笑)
実際、上述の通り第19話の時点で「原子弾」なる危なっかしいネーミングの小型武器がしれっと登場していますからね。
ただ、だとすれば、「地球は我々人類の手で守らなければならない」というキャップの言葉の裏にあるのが結局「核武装」ということになり、これは「ゴジラ」から始まった日本の怪獣特撮の歴史においては「究極の皮肉」とも言えるかもしれません。
しかし、だからこそ後に続く「ウルトラセブン」の意味がより深いものになってきます。「さらばウルトラマン」で描ききれなかった「宇宙戦争時代における人類の安全保障とは?」を実に多角的に描こうとしたのが「セブン」という作品だったからです。
...なんてことを考えつつ、ペンシル爆弾は普通に強いだけの超兵器だよと、そんなに深い意味は考えられてなくて、超至近距離で使わざるを得なくなった結果、飛散する肉片から身を守るためにバイザーを下げただけだよ、というオチでも全然構いません。
こうやって想像を膨らませて妄想しちゃうのがオタクの悪い癖ですね(ここで私が披瀝している「仮説」の大半はあくまで「仮説」であって、公式設定なんかじゃありませんからね)。
(了)

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