楽曲そのものの魅力を最大限に引き出すMV(ミュージックビデオ)。今回は完全個人的趣味嗜好に偏った5本をご紹介。
- ◆「The Scientist」(Coldplay)
- ◆「Holocene」(Bon Iver)
- ◆「May I Have This Dance feat. Chance the Rapper」(Francis and the Lights)
- ◆「The Beatles」(Don't Let Me Down)
- ◆「Waiting For The End」(Linkin Park)
◆「The Scientist」(Coldplay)
Coldplay - The Scientist (Official Video)
言わずと知れたColdplayの比較的初期の作品。最近、「TENET」含め映像の逆再生なんてのは大して珍しいものでもないかもしれないが、結構当時は新鮮なものだった。
動きは逆再生なのに、クリスの口元だけは正しく動いていて、どうやって撮ってんの?!と未だに謎だが、注目はそのストーリー。
とにかく最後まで見て欲しい。盛り上がっていくアウトロとクリスのファルセットが、悲しい過去の現実を歌い上げていくよう。そして最後、何も知らない2人の笑顔で終わる。あまりにも切ない幕引き。
最後の歌詞、
"I'm going back to start"
が心に響く名曲。このPVによって完成されるようにすら思える。
◆「Holocene」(Bon Iver)
Bon Iver - Holocene (Official Music Video)
私の大好きなアーティスト・Bon Iverの代表曲。優雅な大自然を自由気ままに散策する一人の少年の映像と、素朴で優しい彼らの織りなすメロディが見事にマッチした傑作。是非とも4Kテレビでご覧いただきたい。山並みと鏡面になった湖の映像には、思わずため息が漏れる。
こんな風に、大地と戯れて過ごした時代が誰しもにあったはず。そんなあの頃が静かに蘇る名PVだ。
◆「May I Have This Dance feat. Chance the Rapper」(Francis and the Lights)
Francis and the Lights - May I Have This Dance feat. Chance the Rapper
彼もまた私が敬愛する最高のアーティストの一人、Francis and the Lights。ちょっと90年代を思わせるテクノポップっぽさ漂う懐かしさと、ダンスミュージックやヒップホップが一つになった奇跡の一曲。Chance the Rapperが一人まったり踊る映像に始まり、最後はやっぱり2人で踊る(彼のPVは大体みんなで踊る)。このダンスがまた最高!
日本人もパプリカとか恋ダンスなんか踊ってないでこの曲で「踊ってみました」やれば良いのに。
Chance the Rapperのリリック、
"I love you more than your mother"
は最高。君のママより君を愛しているよなんてすげぇ告白。
◆「The Beatles」(Don't Let Me Down)
The Beatles - Don t Let Me Down HD
あの解散直前のルーフトップコンサートでの映像。
「Yesterday」を弾き語りしても、黄色い悲鳴をあげるだけのファンに辟易してライブをやめてしまった彼ら。それがかえってライブに囚われないエキセントリックな様々な楽曲を生み出しはしたけれども、解散間際になって結局ライブサウンドに回帰するところがやっぱり最高。
ロンドン市警?が見張る中でやってる割には、彼らが本当に楽しそうなのね。ここでのセトリがまた皮肉で、この"Don't Let Me Down"(ガッカリさせないでくれ)でジョンは愛する女性への熱い恋心を歌い、ポールは"Get Back"で「ジョジョ(ジョン)、帰って来いよ」とバラバラになりゆくビートルズを憂える。
こんなにも言っていること、思っていることがバラバラの末期なのに、歌っている彼らの姿は実に楽しそう。ポールもジョンも笑顔で、パフォーマンスも神懸かっている。
4人とも女物のコートを羽織っているのはそれぞれの女性から借りたもの。そんな急ごしらえ感にさえ漂うプレイボーイ感に痺れる。
◆「Waiting For The End」(Linkin Park)
Waiting For The End (Official Video) - Linkin Park
チェスター、早すぎるだろう。
伝説のバンド、リンキンパークの楽曲及びPVの中でもダントツにお気に入りな一曲。
私にとって彼らはまさにこの映像の通り、もはや星座=伝説である。
何よりこのPV、バンドメンバー全員が死ぬほどかっこいいのだ。それぞれの楽器、それぞれのパートに全力で打ち込む姿。そのワンカットワンカットが痺れるほどキマっていて泣きそうなくらいにカッコイイ。
そして最後、チェスターのシャウトとマイク・シノダのラップが一つに重なり、全てが一つになって静かに終わる。
映像に繰り返し登場する骸骨のイメージと日本刀。「the end」とは文字通り「死」を意味しているのだろうか。だとすれば、こんなに美しくかっこいい「the end」を私は他に知らない。
伝説のバンド・リンキンパークよ永遠に。
本当は他にもいっぱいあるけど、いつかまた第二弾で。