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「次郎くん怪獣に乗る」の魅力〜帰ってきたウルトラマン「10月」の傑作群〜

「帰ってきたウルトラマン」の名エピソードと言えば何を浮かべますか?

ウルトラシリーズ初の特訓を描いた「必殺 流星キック」?

初のウルトラ戦士共演作の「ウルトラセブン参上!」?

はたまた壮絶な前後編「ウルトラマン夕陽に死す」と「ウルトラの星光るとき」?

否、更にコアなファンであれば通称「11月の傑作群」から選りすぐりのエピソードを選ぶことでしょう。

ですが!私にとって本作で一番好きなエピソードは第29話「次郎くん怪獣に乗る」かもしれません。

次郎くん怪獣に乗る

次郎くん怪獣に乗る

◆シュールすぎる物語

とにかくシュールなんすよね。とにかくシュールで不条理。そしてそれがなんとなくしっくり来てしまう脚本と演出。実に「帰ってきたウルトラマン」らしい楽しいエピソードです。

簡単にあらすじをまとめると、

  • ある日の次郎くん、同級生のよし子ちゃんの宝物でもある組み木細工の木箱を開けようと苦心する
  • それをたまたま通りかかった郷さんが拝借、そのまま宇宙ステーションNo.5の点検任務に持って行ってしまう
  • 次郎くんのせいで宝物がなくなったと怒るよし子ちゃんに「あれがなかったら私死んじゃう!」と言われ大慌てで探し回る次郎くん
  • 一方郷さんは例の木箱を宇宙ステーションNo.5に置き忘れて地球に帰還、しかもNo.5がデータを送ってこない異常事態を隊長に指摘されもう一度宇宙へ
  • 宇宙空間でヤドカリンに乗っ取られたNo.5は東京の造成地に落下、運悪く通りかかった次郎くんが発見、更に不幸なことに中に閉じ込められてしまう
  • MATもようやくNo.5が東京に落下していることを突き止め、次郎くんが閉じ込められていることも発覚。救出しようとした途端、中のヤドカリンが暴れ出し…

という内容です。

なんて無理のあるシナリオなんだ…!だがそれがいい!

 

◆不幸な次郎くん

まず私、「次郎くん怪獣に乗る」というタイトルから「グレート」のゲルカドン回みたいなちょっと幻想的でメルヘンな話を想像してたんですよね。

ところが蓋を開けてみればとにかく次郎くんが踏んだり蹴ったりで酷い目に遭うという話じゃないですかw

次郎くんの不運を列挙すると以下

  1. たまたま手に取った木箱がよし子の宝物。早速地雷を踏み抜く
  2. それを通りかかった郷さんにパクられる
  3. しかも郷さんそのまま宇宙まで行っちゃうからなかなか返してもらえない
  4. さらに郷さん木箱を宇宙ステーションに置き忘れる
  5. 宇宙ステーションが怪獣ヤドカリンに乗っ取られ行方不明に
  6. よし子の家に謝罪に行ったらミスってよし子の大切なインコを逃がす
  7. 「あなたってほんとダメな人」とまで言われる
  8. インコ捜索中にたまたま近所に落ちてきたNo.5を発見、中に入って扉が閉まる
  9. 一晩誰にも発見されず一人宇宙ステーションで夜を明かす
  10. やっと見つけてもらえたと思ったらヤドカリンが暴れ出す

恐ろしい偶然の連続と不幸の連続...!そもそも宇宙ステーションNo.5が東京に落下する確率ってのがまた恐ろしい数字だと思うんですが。

しかしとにかくね、徹頭徹尾、郷さんが悪いのよw

郷さんが勝手に箱持ってくから全部おかしなことになっちゃった訳ですが、次郎くんはよし子ちゃんが「私死ぬかも!」とか言うもんだからそれ真に受けて一生懸命探しに行くのがもう素直でいじらしくてかわいくて。でも探し物は宇宙にあるので絶対に見つからないというw

インコ逃がしたときもすぐに「僕がつかまえてくる!」と一直線に飛び出していくあの真面目さ…笑いが止まらんw

(よし子ちゃんもまたインパクトある顔してんすよ)

更には落ちてきたNo.5に閉じ込められて家に帰れず、ガチの嗚咽w

ヤドカリンが暴れ出したときは「…僕はもう助からないよ」なんて死を覚悟。レギュラーキャラの、しかも小学生男児に言わせるセリフかとwwタイトルとのギャップに改めて爆笑。何が「怪獣に乗る」だよwwしくしく泣いてる次郎くんがホントかわいそうで…笑えるw

とにかく郷さんのせいで心理的にも物理的にもコロコロ振り回される次郎くんというのが本当に見てて面白い。

先の展開を知った上でもう1回見返すと、開始早々の次郎くんのスキップだけでもう爆笑してしまいますのでおすすめです。

 

◆戦犯郷秀樹

そして何より面白いのが最大の戦犯である郷さんが終始ヘラヘラしてるというかなんか悪気がなさそうなことですw

とにかく真面目な次郎くんとの対比が終始面白いですねw

郷秀樹役・団時朗氏がまだ駆け出しのモデルだった当時を振り返って語った「演技は次郎くん役から学んだ」という言葉がよぎるほど、完全に人間的に次郎くんの方が上なのが面白い。

多分わざとだと思うんですが、この回の郷さんは小学生キャラです。だからMATも学校みたいになってて、完全に伊吹隊長がコワーイ担任の先生になってます。

そして隊長に絞られてる最中に司令室直通でかかってくる次郎くんの電話ww

「郷さん僕の箱持ってったでしょ?!」

シュールすぎんかww

しかも郷さんったらNo.5が行方不明になった原因の冤罪を晴らすことしか考えてない=自分のことしか考えてないんですよね。とにかくこの回の郷さんは幼稚です。

No.5が地球で見つかったときの郷さんのセリフ

「僕のミスではなかったことを認めて下さいますか」

とかもうそれはどうでもいいから早く次郎を助けてやらんかって呆れてしまいますw

あと、全話通して今回が一番意味わからんタイミングで変身しますw

 

◆独特な物語世界

確かに事態は深刻なんだけど、よし子ちゃんの宝物の木箱を探すというご近所スケールのお話が縦軸だからかどこかほのぼのしてるのがいいんですよね。

特に次郎くんが同級生たちと遊ぶ姿や、子どもと大人の関わり方、ご近所付き合いの雰囲気ってのは結構リアルな息遣いが感じられるので、ある意味歴史的史料にもなってる気がします。よし子の家に来た坂田さんとよし子両親のやりとりなんかはすごくリアルでしたね。

それでいて物語の舞台は宇宙と東京を往復するというウルトラマンらしいSF要素MAXなの良い。小学生ののどかな日常と郷さんのSFな日常がやんわり融合するこの独特な色合いは他ではなかなか味わえません。

ただ、全体が子ども目線になってはいるんだけど「死」を連想させるセリフが結構たくさん出てくるあたり、子どもが持つ「過激さ」とか「残酷さ」みたいなものも同時に生々しく描いてるからすっごくリアルな小学生の日常になってるんですよね。子どもの明るさや幼さや拙さの中にピリッとした過激さがほんの少し混じる感じが絶妙なリアル加減を生んでいます。

あと、あちこちを行き来する木箱の在処は我々視聴者には全部わかってるんで、終始客観的に物語を俯瞰して楽しめるんですけど、郷さんがNo.5の点検を本当にちゃんとやっていたかだけは、郷さんの受け答えも歯切れが悪いのもあって途中までよくわからないのが面白い。

 

◆スペースアローとウルトラランス

帰ってきたウルトラマンのスチールでよく登場するウルトラランスが登場するのもこの回の特徴です。っていうかこの回にしか登場しません。

しかも、ちょこまか動き回るヤドカリンの動きを止めるためランスで串刺し固定→スペシウム光線で焼き殺すという独特かつエグイ用法も印象的でしたね。ランスそのものが決め技ではないのです。

あと、No.5の点検のために飛んだスペースアローもこの回のみの登場です。でも郷さん運転中にも木箱開けようとしてたし、販促にしても不真面目な番組だよなぁ(褒めてる)。

 

◆木箱の中身は…

例の木箱、ヤドカリンが暴れ回ってる最中に次郎くんがふとしたはずみで開けちゃうんですが、その中身についてもしご存知ない方、もしくはもう忘れちゃったよという方は是非本編でチェックしてください。

次郎くんの

「なんだいこの汚いものは?」

というコメントがまた最高ww

ただ、この宝物が遠く宇宙へ飛んでっちゃったのにヤドカリンのおかげでちゃんとまた東京に帰ってこれたのも、よし子ちゃんの呪いというべきか。この木箱の中身が持つ強烈なパワーのおかげなのかななんて思います。

そして関わった次郎くんが悲惨な目に遭ってヤドカリンもエグイ死に方したのもこの木箱のパワーかと…w

だってパズル木箱とかこの話思い出すもん。


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え、じゃあなんで戦犯の郷さんだけは無事だったの?!

いやいやこの人も無事ではすみませんでしたよ。

…なんて冗談です。坂田兄妹の死とウルトラマンの敗北がよし子ちゃんの呪いだなんてそんなわけないじゃないですか。多分。

(了)

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