adamomanのこだわりブログ

特撮ヒーロー、アメコミヒーローを中心にこだわりを語るストライクゾーンの狭すぎるブログ

ウルトラマングレート第3話 魅入られた少年(ゲルカドン)〜ジミーは死んだのか?〜

前回に引き続き、今回もグレートのエピソードを扱いたい。

とりわけ今回は非常に先鋭的なエピソードとなるため非常に難しかったが、そんな懐の大きい作品ほど、考察のし甲斐がある。深めれば深まるだけ、自分にとってその作品がより大切になる。

その意味では考察や感想というよりも備忘録程度のものになるかもしれないが。

増して、幼少期に何度も見た作品だからこそ、子どものときには全く気にならなかったことが、今になって気になってしまう。

今回で言えば最後、空を飛んだジミーは、一体どうなったのか?死んだのか?がかなり気になってしまったのだ。


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◆ゲルカドン〜人間の心を利用したゴーデス怪獣〜

今回わかったようでよくわからないのが、ゲルカドン誕生の経緯だ。ストーリーの順を追って考えてみよう。

化石発掘作業中に、孤児院の少年ジミーがペットの「ガス」(トカゲ)を紛失。それもあってか意地になって発掘作業を継続していたジミーは突如倒れてしまう(ここの演出が曖昧で何が原因で倒れたのかちょっとよくわからない)。

おそらくこの瞬間、恐竜の化石に潜んでいたゴーデス細胞がジミーにも憑依したものと思われる。更に、どこかに消えたと思われたガスも、実はゴーデスがジミーを誘き出す目的で奪った可能性も考えられる。

ここまでを総合すると、トカゲのガスと、発掘途中であった恐竜の化石に、ジミーの精神エネルギーを加えて怪獣化したのがゲルカドンということになりそうだ。

過去に登場したブローズやギガザウルスと決定的に異なっていたのが、人間を媒介にするという点。人間に憑依したとしても、あくまでその肉体ではなく精神を利用しているところを見るに、怪獣に宿る邪悪な意思=「破壊モチベーション」は人間の思考に依っている節がある。

第1話のブローズは、おそらくゴーデスが単独で両生類を利用して誕生させた怪獣だが、その機動力や凶暴性といった辺りに大きな課題が残った(ように見える)。

第2話のギガザウルスは、ベースとなる恐竜がそもそも非常に高い運動能力を持っていたため、戦闘力や機動力も大幅にアップ。しかし、恐竜自身の生命力によってゴーデスが拒絶されたため、これまた成功とはいかなかった。

そこでゴーデスが目をつけたのが、人間の精神力である。中でも、孤児院でほぼ「のび太」扱いされていたジミーには、両親だけでなく、友人すらいないが故の負の感情が強く渦巻いていたに違いない。更に、ジミーが唯一心を開くペットのガスまでを取り込めば、ゴーデスを拒絶することなくジミー自身も強く拘束できるはずだ。

加えて実によく練られているのが、アクミタワー建設を口実に中止された発掘作業への恨みが、そのままアクミタワー破壊の大義名分となっているところ。人間の思考をよく理解した上で立案された見事な作戦に、ゴーデスの高度な知能が感じられる。

更に、ジミーが思い描いていた「僕はガスに乗って空を飛ぶんだ」という夢とゲルカドンのデザインはそのまま流用され、過去のゴーデス怪獣にはなかった飛翔能力の獲得を実現している。

この辺りの設定は、実は後続作品の「グリッドマン」に登場した魔王カーンデジファーの戦略とも酷似しているのが面白い(同じ90年代の作品)。

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それだけでなく、人間の精神力を媒介にして強くなっているのは、実は最大のライバルたるウルトラマンとも全く同じであるのも興味深い(後に詳述)。

 

◆精神体となったジャック〜新たな生命と一体化した超人間-ultraman-〜

しかし、そんなゴーデスにとって最大の誤算だったのが、孤独に見えたはずのジミーにもキム隊員という友人がいたことだ。

本話は、深夜の遊園地に現れる等身大のゲルカドンを始め、ゴーデスの繭に囚われ絶叫するジミーや両眼を緑に光らせるキム隊員など、結構ホラーな描写も多い。

特にジミーが持つ緑の石(霊石?)の存在は不気味で象徴的だ。これもゴーデス細胞が具現化したものだと思われるが、おそらくゴーデスとゲルカドンとジミーの三者を繋ぐ霊水晶のような役割を担っているようだ。これは、ウルトラマンで言うところの「デルタプラズマー」と非常に似てはいないだろうか?

しかし、ジミーの呼びかけに応じてこの精神世界にキム隊員も乱入できたことは興味深い。緑の霊石の力でジミーがキムを召喚してしまったのかもしれない。やはりジミーにとってもキムは大切な友人だったのだろう。結果キムは、ジミーが見ていた「ゴーデスの地獄」を共有できたようだ(だから目が緑に光った)。これを契機に、囚われていたジミーの精神は少しずつ正気を取り戻し始める。

 

そして決定打となったのが、ジャックによる説得だ。

この展開は実に特殊なものだと思う。肉体としてはゲルカドンと激闘を繰り広げるウルトラマンの傍らで、精神体となったジャックがジミーに語りかけるのだ。

※このシーンを見るに、実はグレートへの変身というのは、厳密には「肉体の交換」に近いのかもしれない。ジャックの肉体でいるか、グレートの肉体でいるかの違いで、変わらず2人の精神は常に存立し続けているようだ。

そして、ジミーとジャックの間には、物言わぬウルトラマンがただ立っている。

緑の霊石がジミーとゴーデスを繋いでいたように、ジミーとジャックの精神をウルトラマン(orデルタプラズマー)が繋いでいるように。

やはりウルトラマンとゴーデスの間には類似点が多数見受けられる。

 現にジャックはジミーに対し「僕も君と同じなんだ」と語りかける。このシーンは色々な意味に取れるから面白いし奥深い!

ガスと離れるのが怖いというジミーに、「大丈夫、君たちはもう離れない!」と伝えるジャック。そう、ジャックもまたグレートと共にある存在=ウルトラマンなのだ。

そんなジャックからは、ウルトラマンへの全幅の信頼が感じられる

と同時に、ジミーにも「ウルトラマンになれば良い」と言っているようにも私には聞こえた。「大切なガスと一つになれ、ガスと一緒にゴーデスと戦え」と。

ゴーデスに打ち勝つ精神を持ち得た存在。姿がどうであれそれは即ち「ウルトラマン」なのではないかと。例え人間としての肉体を奪われたとしても、ガスと一体化し、人間を超克した存在として生きていく道をジャックは示しているのだ。 

 ウルトラマンとゴーデスの最大の違いは、ウルトラマンがジャックの人格を尊重し存続させているのに対し、ゴーデスはジミーを完全に取り込もうとしている点だ。

そして、ジミーの憎悪だけを取り出してクローンを創り出し、ゲルカドンを暴れさせる。先の話にはなるがおそらくその成れの果てが「スタンレー」=バランガス(第4話登場)なのではないだろうか。

ゴーデスの侵略手法の進化史として見ても、たった1話〜6話までの間に様々な試行錯誤が感じられて面白い。

 

◆至高のナイトバトル〜拳を上げないウルトラマン〜

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やはり3話と言えば、夜景に映えるグレートの姿だ。飛行タイプのゲルカドンと直接格闘を見せることはなく、光線技の応酬で対峙。

今更ながら、とにかくグレートには無駄な動きがない。ウルトラマンと言えば、巨大な右手の登場シーンと、右腕を空に掲げたポーズの印象は強いが、グレートにはそれがなく、ぬるっと巨大化して登場時もただ仁王立ち

戦闘シーンにおいても、格闘の必要があれば、空手の型を披露。それ以外はひたすら仁王立ち。

動きからとことん無駄を排除。言い換えれば、感情的なアクションを徹底的に無くしている。だからこそ、グレート独自の人間性を超越した神秘的な魅力が確立されているのだろう。

マスクも均整のとれた非常に美しい顔立ち。目の色も薄く黄色がかった白。オーストラリアの都会の夜にあまりにも似合う。増して動きが少ない分、ちょっとした首の動きだけで芝居になる。

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こればかりは映像を堪能してほしい所だが、100%マペットのみで表現されたギガザウルスの姿も忘れられない。それまでの着ぐるみ特撮でも、後のCG映像でも、そのどちらでも見ることのできない独特の躍動感は、アナログ特撮の至高を極めていると思う。

火炎飛龍の名にふさわしい爆炎による都市破壊シーンも見所。グレートでは数少ないリアルなビル破壊が堪能できる。やはり本物の爆破に勝るものはない

 

◆ジミーはどこへ?〜人間を超えた宇宙の神秘へ〜

最高のバトルシーンを堪能しつつも、シナリオとしては精神世界でのジミーこそが主役。彼がゴーデスの支配に打ち勝つことができるか否かが本話のハイライトとなる。

クローンのジミーが自ら緑の石を叩き割り、ゴーデスの拒絶を宣言。そのタイミングで、起死回生のマグナムシュートがゲルカドンを捉えた。こうして、ゲルカドンに巣食うゴーデスは排除。

シナリオと特撮が見事にシンクロした爽快感溢れる決着。マグナムシュートこそ、ピンチに陥ったウルトラマンが形成を逆転する「お約束」を最も合理的に描いた最高に熱い必殺技だ。

こうしてゴーデスの支配から解放されたジミーは、ゲルカドンに乗って空を舞う。

幼少期は単純に、「ジミー助かって良かった」なんて思っていたが、よく考えるとこれ、ジミーの死を意味しているとも取れなくもない

原語版と吹替版で台詞を比較しながら考えてみた。

原語版で、空を舞うジミーを見てキムが発したのが

「Jimmy was special!」

「was」と過去形になっている所に、含みとしての故人を意識した発言ととれなくもない⁈

また、多くの隊員が「幻だろうか、信じられない」と口にする中、ジャックは

「現実だよ(原語版字幕)」

と呟く。

しかし吹替版では、上記キムの台詞は

「彼は勝ったんだよ!」

となっており、ジャックの台詞も

「人間を超えたのさ」

というものになっている。

個人的には吹替版の方がシナリオの意図が汲み取りやすく感じたが、総合的に考えると、人間としてのジミーは失われてしまった可能性が高い(=肉体の死)。

だが、やはりジャックが精神世界で導いたように、ジミーはゲルカドン=大親友のガスと一体化。ジャックとウルトラマンのように、肉体を2人で共有しているのではないだろうか。

その意味でジミーは超越存在-ultraman-となったのではないかと私は思う。「生き抜く」という選択を勝ち取った彼はゴーデスに勝った。ゴーデスによる「人間の精神への侵略」に、人間は勝ったのだ。そして彼もまた、宇宙の神秘の一つとなったのだ。その展開と美しいオチに、私は喝采を送りたい。 

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