さようならマン・オブ・スティール
やはりDCEU関連で今年最大のニュースといえば「ヘンリー・カヴィル、スーパーマン役を降板」でした。
薄々勘付いてはいたものの、この直前に公開され始めた「ブラック・アダム」にてスーパーマン役復帰!という情報が入ってきたばかりでしたので、相変わらずのDCEUの迷走ぶりが露呈してしまったなーという印象です。
↓「復帰」が10月末に一度報じられ、
↓2ヶ月も経たぬうちに「降板」が発表
わずか数週間でのこの手のひら返しは何なんでしょう⁈
また、ジェイソン・モモアのアクアマン役降板や「ワンダーウーマン3」のキャンセルなど、DCEUの中心的存在だったキャラクターの単独作が次々とキャンセルされ始めています。
※勿論まだ不確定情報ではありますが…。
一体DCEUに何が起きているのか?私が知りうる限りザッとご紹介してみようと思います。
スナイダーバースの挫折
2013年、ザック・スナイダー監督、クリストファー・ノーラン総指揮の元製作されたのが「マン・オブ・スティール」でした。
バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生(字幕版)
そして2016年、ここにベン・アフレックのバットマンと、ガル・ガドットのワンダーウーマンが加わった超大作が「バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生」でした。
しかし、ザック節全開の神話的重厚な世界観で描かれた本作は、批評家たちから厳しい評価を下され、その後のDCEUは路線変更を余儀なくされていきます。
ちなみに私個人はこのクセ強アク増しの本作が大好きで、ずっとこの作品について語ってきました。
そしていよいよ映画史に残る大事件が起きます。2017年「ジャスティス・リーグ」の公開です。
ジャスティス・リーグ公開までに一体何が起こったのか。同時期に公開されていた「スーサイド・スクワッド」にまで及んだテコ入れについても、過去に詳しくまとめています。
そんなこんなで、ザック・スナイダーを中心に構築されようとしていたDCEUの世界=通称スナイダー・バースは、わずか数作で頓挫してしまいました。
単独作の快進撃!
アベンジャーズシリーズで大成功を収めていたMCUとは真逆の失態を晒し続けるDCEU。
ユニバース路線がコケまくる一方で、単独作においては個性的なヒット作が続々誕生、高評価を得ていきます。
ワンダーウーマン(2017年)
アクアマン(2018年)
シャザム!(2019年)
ジョーカー(2019年)
ザ・バットマン(2022年)
中でも「ジョーカー」と「ザ・バットマン」はDCEUには属さない、完全に独立した世界観の作品として登場。もうこの頃には「ユニバース路線は諦めたのかなー」って雰囲気が漂っていました。
一方、ひどいテコ入れのせいでクソミソにされたはずの「ジャスティス・リーグ」が、ザック・スナイダーが本来描こうとした世界観で再製作されるという奇跡「ジャスティス・リーグ:ザック・スナイダーカット」が配信にて公開!
ユニバース路線の頃の幻影が、再びDCEUを仄かに照らしました。
ユニバース路線ではMCUに勝てっこないことはもう明らかでしたから、今後は個性的な単独作で勝負していくのが良いだろうと私も思っていましたが、その一方でDCEUは、少しずつユニバース路線を復活させるような動きをにわかに再開させていきます…。
ジェームズ・ガン登用!
多分昔っからDCが(というかワーナーが)ずーっと欲しがっていたのがジェームズ・ガン監督です。
なんかDCEUも「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」みたいなことがやりたかったみたいな空気は過去の作品のテコ入れの仕方からもなんとなくうかがえる部分があって、
ガンがMCU(というかディズニー)と揉めて「ガーディアンズ〜」3作目の監督から降板させられかけた隙にDCが口説き落としたようですね。
また、スピンオフドラマ「ピースメイカー」も製作され、なんと終盤にはジャスティスリーグがチラ見せ登場。
まだジャスティスリーグを中心としたユニバース路線を感じさせる演出に興奮したファンも多かったようですが、同時にサイボーグとバットマンがいないことが当時のDCEUの複雑さを象徴しているようでもありました。何せDCってよく俳優と揉めてましたから...。
相次ぐ不祥事と路線変更
いくつかヒット作が誕生していることはご紹介しましたが、実際にはもっと多くの作品が製作予定だったものの、それらの多くがことごとくキャンセルされまくっています。
以下が、私が記憶している限りキャンセルされた作品群です。
- 「デスストローク」
- 「インジャスティスリーグ」
- 「サイボーグ」
- 「マンオブスティール2」
- 「ジョーカー(ジャレッドレト版)」
- 「デッドショット」
- 「グリーンランタン」
- 「ジャスティスリーグpart2」
- 「ジャスティスリーグpart3」
- 「ナイトウィング」
- 「ニューゴッズ」
- 「ザ・トレンチ(アクアマンスピンオフ)」
- 「バットマン(マイケルキートン版)」
- 「ブラックキャナリー」(?)
- 「バットガール」
- 「アクアマン3」
- 「ワンダーウーマン3」
私が見聞きしただけでもこれだけあるので、実際にはもっとあったはずです。中でも「バットガール」は映画が完成していたにも関わらずお蔵入りとなり、最近話題になったばかりです。
単純に方向性の相違であったり、ユニバース路線の変更に見舞われたり、そういった事情はもちろんのこと、俳優や製作側の不祥事もまた、製作進行中の作品に強い影響を及ぼしてきました。
- 「JL」が興収的にも失敗となった後ベンアフレックがバットマン役降板を宣言。
- 「JL」で後任監督を務めたジョス・ウェドンのパワハラをサイボーグ役のレイ・フィッシャーが告発。以後レイはほぼDC出禁状態に。
- 「アクアマン」でヒロイン・メラを演じたアンバー・ハードが元夫のジョニー・デップとのDV裁判で敗北、「アクアマン2」では大幅に映像カット?
- フラッシュを演じたエズラ・ミラーが侵入窃盗などの罪で起訴される。
もはや、「こんな映画作りますよ!」と言ってファンを期待させておきながら、全部中止してガッカリさせるというフラグブレイカーぶりが、もはやDCEUのお家芸となったのです!(違
「ザ・フラッシュ」はどうなる?!
「フラッシュ」によって改変される世界
そして、いよいよ渦中のエズラ・ミラー主演作「フラッシュ」が来年公開されます(ほんまか?)
エズラの不祥事でこちらもお蔵入りかと思われたのですが、エズラとワーナーの関係は良好で、エズラの更生をバックアップしていく方針が発表されたことと、既に完成している作品そのものの評価が非常に高いということもあってか、無事公開されるようです。
ただ、本当にそのままの内容で公開してくれるかは怪しいと思っています。
幼少期に母親を亡くしたバリーは、フラッシュとしての能力を用いて過去にタイムスリップ、歴史改変を試みるわけですが、その代償として未来が大きく変わってしまい…というのが本作の下敷きにもなっている「フラッシュポイント」のあらすじです。
特に、過去改変の影響で現在の登場人物の人生が大きく変わってしまう点が面白い作品で、バットマンことブルース・ウェインは殺されており、逆に父トーマス・ウェインが生きていてバットマンになっていたり、ワンダーウーマンとアクアマンが戦争を続けていたりとまさにマルチバースが展開されます。
そしてこれは私の予想ですが、本作を機に、現在のDCユニバースを都合よく改変してしまおうというのが本作「フラッシュ」の真の狙いだったのではないでしょうか?
本作に関して既に出ている情報を元に考えると…
- ベンアフレックのバットマンは本作で引退
- 代わってマイケル・キートン演じるバットマンがDCEUの新たなバットマンに改変
おそらく他にも改変ポイントがあると思われますが、バットマンに大きな変更があることは確からしい情報でした。
「フラッシュ」さえも改変される?!
しかし、エズラの不祥事で公開が延期され、その間にワーナーの内部事情も大きく動いています。
(ディスカバリーによるワーナー買収、そしてジェームズ・ガンのDCEUトップ就任)
それらを経た今となっては、バットマン役の改変すらも「過去のDCEUの方針」であり、現在はそれすらガラッと変わっている可能性があります。
とりわけ最近は、スナイダー時代からのキャラクターを畳んでいっている印象が強く、フラッシュもその例に漏れず畳まれていく可能性が十分考えられます。
そうなると「フラッシュ」は、新たなユニバース再構築のための中心的ポジションから外され、こぢんまりとした単独作として静かに公開されてフェードアウトする…なんて最悪の想定も可能です。
「アクアマン2」には、本来「フラッシュ」を最後にDCを去るはずだったベン・アフレックが再登場するという情報がリークされて話題になりましたが、
それを打ち消すように「ベンのシーンもカットされる」という噂も存在しており、この無茶苦茶な状況から見ても、あまり過度な期待は出来そうにありません。
フラッシュがもたらす新たなDCEU
個人的には、もはやベンアフレックどころかマイケルキートンさえも全カットされるのではないか?と思っています(そこまで覚悟しておきたい)。
とてつもない前科のあるDCですから、既に完成している映画にどんな手を加えるかマジでわかりません。変なカットと編集でつぎはぎだらけでヘンテコ映画になっちゃっているかもしれません。残念ですが最近のDCEU周辺情報を元に考えると悪い予想しか立てられないのが正直なところです。
ですがその一方で興味深い情報もあります。それが、アクアマン役ジェイソン・モモアの「リキャスト」です。リキャストとはつまり、DC作品の中でもアクアマン以外の別の役を与えられるということです。よく考えてみればヘンリーのスーパーマン役降板に関しても「彼がスーパーマン役を続投しない」としか言及されておらず、DCから完全に離脱するとは誰も言っていません。
もしかすると彼も「リキャスト」になるかもしれないのです。この先の「妄想」が許されるなら、それはおそらくワンダーウーマンことガル・ガドットにも同じことが言えるでしょう(それをパティ監督は拒絶した?)。
そして、同ユニバース内のキャラクターをわざわざリキャストするなんて離れ業を仕掛けられるキャラクターがいるとしたらやっぱりフラッシュ以外に考えられないのです。
なんて風に私が「ザ・フラッシュ」に過度な期待を寄せてしまうのは、やっぱり私にとってフラッシュがバットマンに次いでお気に入りのDCヒーローだからです。
とりあえず年明けにジェームズ・ガンから今後のDCの方向性についてちゃんと発表があるそうですから、あとはそれを大人しく待ちましょう。ここに書いている情報には事実もありますが私の予想も織り交ぜられているので、それを混同して他所で発信しないよう気をつけて下さい。
あぁ、もうDCEU始まって10年か。そりゃあメインキャストも老けるんだから代わらなきゃダメだよな。
新体制になること自体は私も大賛成なんで、いつまでももうありもしない「スナイダーバース」の幻想にしがみつくつもりはありませんよ。ただ...どうしてこう情報の出方がいつもグダグダなんだ。もう疲れたよ(笑)
(了)