※本記事は各話のネタバレを含みます。
※ですが他のレビューサイトは見ず独断と偏見で書いてますので誤りや勘違いはコメント欄にお願いします。
◆最高のアクション!
のっけから大迫力の空中アクション!「所詮はスピンオフドラマ」...だなんて思っているふやけた視聴者の脳みそをぶっ飛ばす映画顔負けのスピーディな展開。
何より、「ウィンターソルジャー」序盤のシージャックグループにもいた強すぎるアイツが再登場!しかも最後は爆発を免れていたのでちゃっかり生存。冒頭5分で既にテンションMAX。配信ドラマだけどやっぱりMCU!と思わせてくれる映画なみのアクションの完成度の高さ。
そして何よりキャプテン系が「スパイ・アクション」モノとして進化してきたその系譜をちゃんと受け継いでいて、かつファルコンらしさ全開の空中戦を堪能させてくれてもう最高。
あとレッドウィングめちゃ進化してますね。探索機能がメインという印象だった「シビル・ウォー」版から敵を倒しまくる超万能ドローンに進化。
ファルコンのスーツはどんどんコミックス版に近づいて赤が強く明るくなっている印象。CW版くらいが好みだったが動いてみるとこれもアリ。
キャプテンのウロコスーツと言いアイアンマンマーク85と言いワンダの衣装といい、作品が下るごとに原作に寄っていくMCUのスーツデザイン...本作ラストではああなるしかないよね。
折り畳み式マシンガンが登場しないのは、今後銃を使わなくなることへのフラグ?レッドウィングは乱射しまくってるけど。
◆ソコヴィア協定を結んでいたら
キャプテンアメリカ 盾 マーベル レジェンド キャプテンアメリカ シールド
キャプテンから預かった盾を政府に渡してしまうサム。直感的に、ホントにいいの…?と思っていたがズバリそんな顔であのローディが見守ってくれていたのが嬉しい!
盾を政府に預けるというのはきっと軍人だったスティーブに敬意を表してそうしたのだろうけれど、どうもキャプテンの意志に反する気がしてならない。それは、「シビルウォー」で頑としてソコヴィア協定を飲まなかった彼を思い出せばわかるはずだ。世界を守るための力は、個人の意志によって保持されるべきだと。
そこもキャプテンアメリカというキャラクターの複雑なところで、軍人上がりだけど、兵隊ではないんだよなぁ…。
盾を手放すサムの映像はさながら「あのときソコヴィア協定を結んでいたら…?」のIF世界が始まったような感覚。だとすれば非常に面白い物語になるに違いないと期待が一気に高まった。
その意味で本作は「シビルウォー」の続編とも位置付けられよう。
しかしなぜサムはあんなにあっさり盾を手放してしまったのか?それは一言で言えば、キャプテンアメリカを襲名する覚悟がまだ無かったということなのだろう。そもそも我々視聴者でさえ本当に彼が新キャプテンにふさわしいのかまだ判断できない。
それほどに、「エンドゲーム」ラストでの盾の授与は感動的だったとはいえ唐突でもあった。
サムは、劇中MCU世界においても、そして10年以上シリーズを追いかけてきた世界中のファンの中においても、本当に盾を継ぐ資格がある男なのか?を本作で見定められるわけだ。
◆バッキーの過去と今
本作のタイトルって実は「ホワイトウルフ」になる可能性もあったとどこかで読んだが、あくまでも「...&ウィンターソルジャー」なのは、バッキーが冬兵時代のことを全て覚えていて、
※シビルウォーでハッキリそう言っていた。
その過去と戦い続けなければならないから。
洗脳は解けても、悪の尖兵だった頃の記憶が実に鮮明に残されているというのはこれまた実に残酷。彼が誰とも距離を縮められないのも当然と言えば当然だ。
ワカンダの技術で洗脳から解放されてイイモンになれた!なんて単純に考えることは許されない。彼のドラマは想像以上に重い。
恩赦となり、世間からは「彼もヒドラの被害者だったんだ」と概ね認められたようだが、彼自身にとって、ウィンターソルジャーは過去のものではないのだ。
◆サムの家族
サムの姉と甥っ子たち含む実家が描写されたのはドラマという長尺ならでは。
それだけではなく、指パッチンによって残されたものの苦しみと、消されたものが背負う苦労と、彼らの間にある溝を見事に描いている。
サムが消滅した5年間、姉は収入ゼロでも生き続け、ようやくサムが戻っても銀行の融資は受けられない。
「エンドゲーム」におけるヒーローたちの華々しい勝利の裏側で未だに苦しみ続けている人々の生々しさをも自ら描き出すMCUの懐の大きさに感服。
「インフィニティウォー」での敗北だけではなく、「エンドゲーム」での勝利でさえ、世界に暗い影を落としていた。
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今回の敵組織、メインヴィランっぽいフラグブレイカーもそうだろう。エンドゲームでアベンジャーズが勝ったからこそ生まれた悪党たち。シビルウォーのジモがそうであったように、彼らにも彼らなりの事情がありそうだ。
◆ドラマだけどシネマティック!
正直、ディズニープラス限定配信のMCUドラマが製作されると聞いたときは萎えた。ガン萎えだった。
誰もが(金さえ出せば)触れられる映画というコンテンツ一本で勝負してきた=ファミレスのような敷居の低さがあったMCUが、言わば「会員制レストラン」に様変わりしたように感じたからだ。
だが、正直ディズニープラスも加入してしまえば月額¥770は大した金額ではないし、ぶっちゃけ映画館で一本映画観るより安くあらゆるコンテンツが見放題なわけで、こんなことならとっとと初めてしまえば良かったとは思う。
まぁ「エンドゲーム」までガンガン盛り上げてからディズニープラスへの誘導という手法は「100日後に死ぬワニ」騒動めいていて、ズルいとは思う。
あと、「海外ドラマのスピンオフ」と言うとどうしても既存の海外ドラマ=長ければシーズン12〜15とかまで続くものをイメージしてしまうので、どこまで付き合わされるの?というスタミナ面での不安もあった。
事実、大半のマーベルテレビジョンからのスピンオフドラマは全て一旦打ち切りとなったばかりだった。
しかし、6話完結と最初からゴールが短く設定されていて、かつ映画並みの大迫力のアクション、そして長尺故に映画では省略されざるを得なかったキャラクターの深堀り、さらにスピンオフどころかちゃんと「エンドゲーム」の後日談として完全にMCUの縦糸を紡ぐストーリー展開...。
まさに、ドラマと映画のいいとこどり!見てよかった!と1話だけでも感じられた。
◆声優変わった?
ファルコンと言えば溝端淳平さん。
が、今回から濱野大輝さんが日本語吹替版を担当。
…てガウマさん?!
今後は完全にそうなるのか…?正直なんで溝端なのか全く意味不明だったのとアクションシーンでの演技力に疑問符がつくところだったので個人的には大歓迎。
ナターシャ(CV:米倉涼子)は全然オッケーなんだけどね。
しかし気になるのは交代理由。映画の脇役とは違い、完全に主役のドラマとなると演技力のある本格派の声優が求められたのだろうか…?
尚のこと「俳優起用はプロモーション目的」であることが浮き彫りになって不誠実な気もするが…。ここまできたら最後までやらせてやれよ。
◆新キャプテン…?!
テレビの前のバッキーの顔が目に見えて凍りついていくのが象徴的。
ところで、盾を政府に預けた瞬間コレなので、シビルウォー以後、キャプテンが盾を返して逃亡犯となった間にも新キャプテンが勝手に擁立されても良さそうなもの。
が、そこはトニーがストップをかけていたのかな、なんて妄想も楽しい。喧嘩別れしてても、トニーはキャプテンアメリカはあいつしかいないと心から信頼していたことの証でもあるなと。
そう考えると、たしかにエンドゲーム後の世界は実に不安定だろう。特に政府側と顔が利いていたトニーの不在が大きい。スティーブがソコヴィア協定に懸念していた点が事実になりそうな不穏な予感を残して次回!