炎上しそうなタイトルで申し訳ないが、私は私なりにディケイドが大好きなので、そのこだわりの観点からディケイドの真の魅力を語りたい。
◆ライダー大戦の衝撃
忘れもしない、仮面ライダーディケイド第1話と本放送を見たときの衝撃。
特にアバンのライダー大戦!
ドラグレッダー、ドラグブラッカーに続いて龍つながりなのかアギトが登場しG3-Xも並走!空を飛ぶサイガ、ジェットスライガーら飛行部隊に混ざるブレイド・ギャレンのジャックフォーム!そしてまた龍つながりか、キャッスルドランの頭の上の龍騎!牛つながりでゼロライナーの上からゾルダ!
…と、乱戦の中にも小気味良いファンサービスのきいたライダー大戦に度肝を抜かれた。今でこそ作品の垣根を超えてライダー同士が共演・競演・客演することは当たり前になっているが、ディケイド当時は絶っっっ対にあり得ないことだったからだ。
だから、単に主役ライダーが揃ってるというだけでなく、ライオトルーパー等雑魚キャラ含めサブライダーまで巻き込んだ乱戦を見せられて、それはそれは腰抜かすほど驚いた訳だ。
だから、大戦が勃発した理由はいずれ回収されるであろう伏線として割り切った上で、初見のインパクトとして相当なパワーを持った映像だったのである。
※後に、歴代キャラが薄っぺらい理由で集められて乱戦しまくるだけの映画作品を乱発されることになろうとは当時は夢にも思わなかったが。
それまで、後付けだろうがなんだろうがなんとか伏線回収しようと努力する姿勢にだけは定評のあった平成ライダーシリーズだからこそ(あかつき号とか同窓会とか)、このライダー大戦にもきっとのっぴきならない理由があるに違いない、当時は勿論そう信じていた。
◆次々現れる怪人たち
そんなライダー大戦の悪夢から目覚めた夏海だが、士と共に異世界から突如現れた怪人たちに襲われる。
次は、様々な作品の悪役たちの共演だ。あ、アンデッド、あ、ファンガイア、あ、イマジン…それぞれの登場シーンにオリジナルへのリスペクトがあったのも嬉しかった。特にアンデッド襲撃シーンはもろにブレイド劇場版「ミッシングエース」を思わせる映像だし、オルフェノクが登場する世界はファイズ劇場版「パラダイスロスト」っぽい雰囲気だし、やっぱり蹴飛ばされるだけの砂イマジンはちょっと面白いわで、とにかくワクワクそわそわしっぱなしだった。
後の大戦系映画のように、敵も全部ごっちゃの混成部隊=大ショッカーになっちゃうのではなく、敵の存在する世界がそれぞれしっかり区切られていたから、一つのエピソードの中で色々な平成ライダーの歴史をめくっていくような感覚が楽しかった!
◆理にかなったカメンライド
そしてここからが本題。
ディケイドは第1話こそが至高だと思う理由はここ。敵に合わせて次々カメンライドしていくディケイドのアクション!
ワーム相手にカブトでクロックアップ。オルフェノク相手にはファイズで、魔化魍相手には響鬼で…と、敵に合わせてどんどんカメンライドしていった。他のクウガやアギト等のカメンライドはこの段階では披露されなかったが、本来は可能であることは容易に想像ができるし、そうか、最終回までに士は失われた記憶と共に全てのライダーに変身する能力を取り戻すんだな!と作品そのもののゴールも明確に提示され、実にワクワクしたものだ。
いや、当たり前だと思われるかもしれないが、後になればなるほどこれが当たり前でもなくなっていってしまうのだ。
これは作劇上仕方のないことなのだが、例えば「クウガの世界」にはクウガがいるし、まだクウガの力を得ていないので、ディケイドがクウガにカメンライドすることもできない。だから、「グロンギが現れたからクウガで行くぞ!」という本来ディケイドが取るべき戦法がそもそも取れないのである。
しかし、そんな中でも面白かったのは、カメンライド能力によってファン垂涎ものの夢の競演、夢のバトルを見せてくれることだった。
◆夢の競演
まずは、キバの世界で見られたクウガ4フォーム対キバ4フォーム!この二者は各フォームの配色と属性が元々よく似ている。
それから、龍騎の世界でのキバ対ナイトのコウモリ対決!
何よりファンが大興奮したのは、ザビーのクロックアップ対ファイズアクセル!クロックアップ対策としては他にもクウガ・ペガサスフォームの超感覚というのも描かれ、歴代最強に名を連ねやすいカブトライダーズ突破の方法論を公式自らが披露してくれたようで嬉しかった。
あと、地味にめっちゃ興奮したのが、アギト3フォーム対電王3フォーム!武器による個性と特性を活かしたバトルに燃えた。おそらくこういった演出も想定して各世界の巡回順を決めていたのだろう。
その反面、それどうなの?というカメンライドもいくつか散見された。
一番は、不死生命体であるはずのアンデッドを爆殺したカメンライド龍騎…(笑)ストライクベントってそんなに強いのかと…。
そしてカメンライドブレイドでオルフェノクを葬ったのもやや違和感はあって、オルフェノクはフォトンブラッドによる攻撃が弱点だって認識があるのに結局単純な力押しでどうにかなっちゃうのはちょっとなぁと。
その流れで言えば、カッパをカブトが倒すのもなんかズルいわけで。律儀に楽器鳴らして音撃してる鬼の前で鮮やかな回し蹴り一発で魔化魍仕留めるのはなんかそれこそ作品世界ぶっ壊しすぎだよなぁ…と。というかただのカッパ相手にそれはオーバーキルにも程がある(その後分裂しちゃった…とかなら納得いくんだが)。それを言い出したら1話の響鬼も烈火弾で魔化魍焼き殺しているのでなんとも言えないが。
ともかく、設定<物理なのはちょっとモヤっとしてしまう
他にも、14(フォーティーン)を前にブレイドキングフォームではなくなぜかアームド響鬼を召喚したコンプリートフォーム。巨大戦という意味ではアリとは言え…なぜあえて避けた??
まとめると、ライダー同士の戦いでは実に面白いカードを組み合わせてくれたディケイドだが、こと怪人相手にはイマイチパッとしなかったのである。この敵が来たらこのライダーの力で、あれが来たらこの攻撃で、という理にかなったフォームチェンジをしてほしい身としては非常に物足りなかった。
◆ディケイド一人でいい
S.H.フィギュアーツ 仮面ライダーディケイド 約145mm ABS&PVC製 塗装済み 可動フィギュア
だから、ディケイドというキャラクターとその能力から考えれば、他の先輩ライダーたちとの共演は実は不要なのだ。だって彼一人で全てのライダーの能力が扱えるのだから。
なのに、何かにつけてディケイドは劇場版を中心に歴代ライダーと共演させられてきた。しかしそれは同時にディケイド最大の個性であったはずのカメンライド封じにもなってしまっていたのだ。
だから、敵の特性に応じた理にかなったカメンライドを次々鮮やかに展開している、実にディケイドらしい戦いを見せてくれたのは、実質ほぼ第1話だけなのである。
勿論、その欠点を補うために「ファイナルフォームライド」という荒技があるわけだが、あれは絵的な派手さとインパクトこそあるものの、カッコ良さや鮮やかさ、テンポの良さという面では連続カメンライドに劣る。
◆ジオウでの再登場
そんな中、同様のコンセプトで製作された「仮面ライダージオウ」にて再登場したディケイドは、既にダブル〜ビルドまでのライダーの能力を有していた。
だから、第1話=初登場時にも近い大活躍を見せてくれていた。
個人的には、「ゴーストが3人、なかなか粋な計らいだろ?」には痺れた。
オバケ繋がりか、響鬼の音撃でゴーストアーマーボッコボコもカッコよかった。主役を食う勢いとはまさにこのことだ。
しかしさすがに、敵怪人と相性の良いライダーで戦うということはほとんどなかった(敵がそもそもアナザーライダーだから仕方ないのだが)。結局これまたライダーバトルに終始していたからだ。
◆コンプリートフォームの第1話
その点、実はコンプリートフォームは初登場の第21話に関しては、第1話ばりのカッコよく鮮やかなカメンライドを展開してくれていた。
敵役がみなダークライダーばかりだったからこそ、オリジナル作品との連動性が強く打ち出されたからだ。
とは言っても単純に、オーガはファイズブラスターで、リュウガは龍騎サバイブで、ダークカブトはハイパーカブトで、とちゃんと作品と噛み合ったカメンライドだったというだけの話だ。だが、それが良かった。
単純に、悪者を先輩ライダーの力を借りて倒す、それだけでよかったのである。
だからか私もこの21話の戦闘シーンに関しては何度も見返してしまうし、あんなにダサいと言われたコンプリートフォームでも21話を見てからは一気に大好きになってしまった。
(それは、あの動きにくくてたまらなさそうなスーツでもバッチリ色気のあるアクションを見せた高岩氏の功績が大きいようにも思う)
◆ディケイドの出自について
ディケイドの正体が大ショッカーの首領だったという劇場版の展開にはちょっとガッカリだった。真面目に考えるのをやめたくなるようなやっつけっぽさを感じた(笑)。
個人的には、ホンモノの9人ライダーたちは何らかの理由で戦えない状態にあるか、別の場所で戦っており、ライダー不在の地球を守るためにディケイドシステムがライダーたちの手によって開発された、なんて展開だと納得がいく。
要は、ダブルライダーの能力を1人に集約した「平成版のV3」である。
或いは、大ショッカーの首領という設定を活かす方法もある。
大ショッカーがディケイドシステムを開発できたのだとすれば、大ショッカーではディケイドと同等の能力を持ったライダーがもっと量産されているべきだし、その意味で最終回に登場した9人のライダーたちの正体はそれこそショッカーライダーだった(怪人がカメンライドした偽物)、なんてオチもありだと思う。
つまりディケイドは「平成版のショッカーライダー」だ。そんなショッカーライダーが正義に目覚める物語だとしたら、結構燃えるんだがなぁ…。
この辺りの設定がグダグダになったのは、やっぱり脚本家の會川氏が途中降板したことが大きいのかな。。。
ついでに色々脱線もしたが、要は連続カメンライドであらゆる怪人をたった1人でバッタバッタとなぎ倒していくディケイドがもっと見たかったなぁという、それだけといえばそれだけの話だ。
歴代ライダーをなぎ倒していくのではなく、他のライダーと協力ができない状態だからこそたった1人で世界を守るためにカメンライド能力で孤軍奮闘するディケイドがもっと見たかった。
そうなると、借り物の力ではなく、ホンモノの強さを見せてやるって感じでホンモノの歴代ライダーが出てくるともっと燃えるだろうなぁ…とかまたないものねだりの愚痴になりそうだが、とにかくディケイドはカッコいい!やっぱり私は強くてカッコいいディケイドが大好きだってことは改めて強調しつつ、今日のところはここまでにしておこうと思う。