ADAMOMANのこだわりブログ

特撮ヒーロー、アメコミヒーローを中心にこだわりを語るストライクゾーンの狭すぎるブログ

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反生命方程式を忘れたダークサイド / 裏切りのステッペンウルフ〜ジャスティスリーグ ザックスナイダーカットの謎に迫る

前回の記事にコメントでご質問いただいた表題の件についてアンサー記事を用意しました。 

・ダークサイドは5000年前に既に反生命方程式を見つけていた?

・なぜステッペンウルフは5000年前のダークサイドと同じ動作を経て反生命方程式の存在に気づいた?

実はこれについてはザック本人がコメントを寄せてくれていたようです。

◆反生命方程式ってそもそも何?

反生命方程式が最初にコミックスに登場するのは1971年。"Forever People" #5にてジャック・カービーが創作した、あらゆる生物の精神を支配するための公式とされている。

M◯Uのインフィニティガントレットのように具現化された武器としての形をとらない抽象概念なのでややわかりづらいのだが、方程式を武器にするヴィランというのは日本のヒーロー史においても類例がなく、アメコミ世界の奥深さを感じさせる。

ざっくり言えばあらゆる生命原理の反対を向いた概念で、これを用いれば全てのマルチバースに生息するあらゆる生命体を屈服させ操ることができるらしい(反自由意志とでも呼ぶべきか?)

ナイトメアの世界で悪に染まるスーパーマンの姿が見られるのは、彼が反生命方程式によって操られているからである。

ちなみにその方程式の中身はと言うと…

loneliness + alienation + fear + despair + self-worth ÷ mockery ÷ condemnation ÷ misunderstanding x guilt x shame x failure x judgment, n=y where y=hope, n=folly, love=lies, life=death, self=dark side

訳すと、

孤独+疎外+恐怖+絶望+自尊心

÷嘲笑÷非難÷誤解

×罪悪感×恥×失敗×判決

希望=愚劣、

愛=虚偽、命=死、自我=ダークサイド

ということらしい。

そのアイデアの元は、第二次大戦時の人類の残虐な愚行の数々だそうで、戦争の悪夢が発想元であると考えればその実態は掴みやすいかもしれない。

 

◆一度は目にした5000年前

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5000年前、地球に降り立ったダークサイドは何かを感じ取ったように大地の砂を一掴み…そして斧の一太刀が地上を引き裂き、「Ω」(オメガ)の紋章が現れる。

このとき既にダークサイドは地球上に反生命方程式を発見していたと考えられる。ダイアナも5000年前の戦いを語る際に「無限の空間に潜む秘密の力に気づいた」と暗に反生命方程式の存在に触れていた。

しかし地球での敗北後5000年にも渡って彼は他の何万もの星々を渡り歩いている。一度は地球で見つけたはずの反生命方程式を探して。

更にパート4の終盤でステッペンウルフが地球に反生命方程式があった事実を報告したときはまるで初耳かのように驚いていた。

なんと彼は地球に反生命方程式があったことをすっかり忘れていたのである。

 

◆地球での忘れ物

ちょっと信じられないことだが、この疑問についての答えをザックはSNS上で発信してくれている。それを紹介したツィートが以下だ。

ざっくりまとめると以下。

5000年前、アレスの強烈な一撃を浴びて大急ぎで撤退したダークサイドの軍勢は、大慌てであったが故にマザーボックスを3つとも置き去りにしてしまった。

更にこのときのショックで地球に反生命方程式があったことも含めダークサイドは地球での記憶を失ってしまった。

ダークサイドの故郷であるアポコリプスに戻った後の彼は権力闘争に明け暮れることとなった。

うむ。地球の神々、やはり強い...!強すぎる!

そもそも、フラッシュとサイボーグとスーパーマンの3人がかりでやっと解除できたユニティを、雷撃ビーム1発で解除したゼウス。

そしてダークサイドに瀕死の重傷を負わせ、更には記憶喪失にまで追い込んだアレス。

まさに「黄金のヒーロー時代」だ。そりゃあ数多の星々を屈服させてきたダークサイドだってこんな負け戦のこと、忘れたくもなるだろう。

更にその後も5000年に亘って反生命方程式を探しながら破壊と虐殺を繰り返してきたダークサイドだが、肝心の地球での記憶が消えているのでは、いくらマルチバースを巡ってもお宝が見つからないのは当然のことだ。 

 

◆裏切りのステッペンウルフ

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そしてステッペンウルフが裏切ったのもこの時ではないかと考えられる。あの悪の大親分が死にかけで帰ってきたとなれば、彼の座を狙う者たちが蠢き出してもおかしくはない。その中の1人が、ステッペンウルフだった。

そもそも5000年前の地球での戦いの際、ステッペンウルフの姿は地球にはなかったように見える。おそらくアポコリプスの留守を任されていたのだろう。そんな折、大ボスが血まみれで帰還したとあっては、ほくそ笑んで「俺の時代が来た!」なんて調子に乗ってしまいそうだ...。

しかし不死身のダークサイドはそんな権力闘争をも勝ち抜いて再び悪の王座に返り咲いた。そして裏切り者のステッペンウルフは処刑さえ免れたものの、その後ひたすら外部世界の侵略尖兵としてこき使われることとなった。(殺されずに済んだのは一応血縁者だったからか?)

 

 

◆記憶の蘇生

では、再び反生命方程式が地球にあるということが今になってどうしてわかったのか?それは、ダークサイドの記憶がマザーボックスの中に残されていたからであり、それがステッペンウルフの脳内にて「再構築」されたからである。

マザーボックスとは、箱型の機械生命体である。つまり"彼女"もまた5000年前の戦いの目撃者なのだ。

そして、劇中でも語られたようにあらゆるものを「再構築」するのが"彼女"の特殊能力だとすれば、マザーボックスに触れたステッペンウルフの脳内で、あの日のダークサイドの記憶が再構築されたとは考えられないだろうか?

マザーボックスが見せる5000年前の記憶に導かれ、ステッペンウルフはまるであの日のダークサイドと全く同じ挙動で大地を引き裂き、反生命方程式を"再発見"するのである。

恐ろしいのは、もしあのとき重傷を負ったダークサイドと共にマザーボックスも帰還していたら…。反生命方程式のありかはダークサイドにすぐバレていたに違いない。

マザーボックスが全て地球に隠されていたからこそ、5000年に亘る平安は保たれてきたのである。