愛していた人はもう僕の手の届かないところに...。
この曲はデスキャブ2枚目のアルバム「We Have the Facts and We're Voting Yes」とミニアルバム「The Forbidden Love」に収録されていて、「The Forbidden Love」の方は少しバージョンが異なります。
20年以上前の曲ですが、デスキャブらしいメロウなテイストが実に美しく、また暗くじっとりした世界観がたまらなく好きです。
特にサビの"You were the one"のリズムがものすごく好きです。初めて聞いたときから、ずっと昔から知っていたような気がするくらい聞き心地が良くて好きなんですよね。
ちなみに同じアルバムにはよく似たタイトルの"Company Calls"という曲があり、内容的にもこの曲の前日譚のようです。比べ物にならないくらい明るい雰囲気が漂っていてかえって切ないです(笑)
そもそもデスキャブってどんなバンド?って思われる方はこちらのページの冒頭を読んでいただければ。
結婚式絡みの曲といえば"Cath"がありますがあっちの方が爽やかなんですよね。こっちはもう内容からしてもかなり重いです(笑)
和訳(意訳)
Synapse to synapse, the possibilities thin
I'm dressed up for free drinks
And family greetings on your wedding,
Your wedding
Your wedding day
頭に浮かぶ 一つのシーン
グラスを片手に
僕は礼服
そう 今日は君の結婚式
The figures in plastic
On the wedding cake
That I took
Were so real
カメラを向けた
ケーキの上
2人の人形
よく似てる
And I kept a distance
The complications cloud
The postcards and blips through fiber optics
As the girls with the pigtails
Were running from
ざわつく人混み
少し離れて
映し出される
懐かしい君
髪を束ねた幼い君
little boys wearing bowties
Their parents bought
And I'll catch
you this time
親が結んだ
蝶ネクタイの子供
「今度はつかまえるぞ」
Crashing through the parlor doors
What was your first reaction?
飛び込んできた僕を見た
君はどんな顔?
Screaming, drunk, disorderly
I'll tell you mine
You were the one
酒に任せて
こう叫ぶ
君が好きだった
But I can't spit it out
When the date's been set
The white routine to be ingested inaccurately
できるわけない
もう決まってる
全部予定通りなんだから
Synapse to synapse
The sneaky kids had attached beer cans
To the bumper so they could drive
Up and down the main drag
頭に浮かぶ
一つのシーン
バンパーに結んだビール缶
通りを走り回る
People would turn to see
Who's making the racket
It's not the first time
音に気づいて
みんなが振り向く
よくあることさ
When they lay down
The fish will swim upstream
And I'll contest but they won't listen
川を上る魚
流れに逆らう僕を
見向きもしない
When the casualty rate's near 100%
And there isn't a pension for second best
Or for hardly moving
負けるとわかっていても
一番じゃなきゃ意味がない
動き出さなきゃ変わらない
Crashing through the parlor doors
What was your first reaction?
飛び込んできた僕を見た
君はどんな顔?
Screaming, drunk, disorderly
I'll tell you mine
You were the one
酒に任せて
こう叫ぶ
君が好きだった
But I can't spit it out
When the date's been set
The white routine to be ingested inaccurately
できるわけない
もう決まってる
全部予定通りなんだから
解説
Synapse to synapse, the possibilities thin
一番頭に残るフレーズがやっぱりここで、他の歌詞の部分と含めると「シナプス」が出てくるから変な印象も受けるんですけど、実は一番大事なところですここ。
シナプスとシナプスがつながる=頭の中の神経網を駆け巡る。それと同時に「可能性が薄くなっていく」。巡る思考が辿り着く先はたった一つの可能性であるということです。それは、信じたくないけれども「彼女の結婚式の日取りが決まった」ということなのでしょう。
つまりこの曲で描かれていることは全て「ほぼ確定している未来を予想した男性の脳内描写である」ということです。
The white routine to be ingested inaccurately
直訳すると、「白いルーティンが不正確に受け入れられる」という感じです。ちょっと意味がわからないんですが、まず「白いルーティン」は「白の慣習」、「白の習わし」=「結婚式」を暗示したフレーズです。そして「不正確に受け入れられる」というのは、主人公の男性の主観的な受け止め方でしょう。
「受け入れなければならないけれど認められない」という複雑な心境の表れです。
When the casualty rate's near 100%
And there isn't a pension for second best
Or for hardly moving
直訳するとすごいこと言ってますね。
「致死率ほぼ100%なら、そして動かないならば、2番手には年金なし」
フラれるのがわかっていても、行動しなければ、彼女との未来は絶対にないよ、ということです。
でも、そんなことできないんですよね。
(了)