今回も第16話「科特隊宇宙へ」からです。
このエピソード、子どもの頃からビデオテープが擦り切れるほど見た大好きなエピソードなんですけど、改めて見ると気づくこと多いですね。今回ちょっと気がついたのは、バルタン星人の倒し方の差異です。
R惑星でのバルタン二代目との初戦では、宙へ飛び上がったバルタンを素早く八つ裂き光輪で真っ二つにしています。
ですが、テレポーテーションして地球へ移動した後の二回戦目では、八つ裂き光輪で真っ二つにした後左右に割れた半身両方に対してスペシウム光線を放って完全に倒しています。
なぜR惑星ではスペシウム光線を使わなかったのでしょうか?
地球への移動を優先した
シナリオ的にも最も理に適っているのは、いち早く地球に移動したかった、という説です。
このとき、「おおとり」の救助のため宇宙へ飛んだ科特隊の裏をかいて、バルタンは地球を襲撃していました。地球ではイデ隊員がたった一人でバルタンの軍勢を相手に奮戦中です。
そんな中、バルタンに憑依された毛利博士によってR惑星へと墜落させられたキャップ、ハヤタ、アラシの三人は巨大化したバルタンとの戦闘を余儀なくされます。
この直前にもキャップが「おおとりを救助したら全速力で地球に戻る!」と言っていたように、地球防衛のためにすぐさま帰還することが何より急がれていました。
そのため、R惑星ではひとまずバルタンの「活動停止」を優先し、一刻も早く地球に移動することを選んだのかもしれません。
それに、R惑星にはキャップとアラシがいます。万が一、真っ二つにしたバルタンが生き返ったとしても、この二人ならなんとかしてくれるかもしれません。それに対して地球で戦っているのはイデ一人です。
ウルトラマンが、科特隊に対する全幅の信頼を置いているからこそ、彼はあえてスペシウム光線でトドメをささなかったのかもしれません。
バルタンへの温情
もう一つが、バルタンが生き返る可能性を知りつつ、あえて放置した可能性です。
第二話「侵略者を撃て」にてハヤタ(ウルトラマン)はバルタン星人との対話の中で、
「君たちがこの地球の風俗慣習に馴染み、地球の法律を守るならばそれも不可能なことではない」
と共生の可能性を伝えています。侵略の意思がなければ彼らも一つの種族としてこの宇宙で生きていくことを、ウルトラマンも認めています。
そんな中、命からがら生き延びたバルタンの残党は、小さくも地球によく似た環境を持つR惑星を発見したのでしょう。ウルトラマンはバルタンに、地球侵略を諦めさせて、そこでひっそりと安住することを選ばせたかったのではないでしょうか?
だからあえてR惑星のバルタンは半身を焼き殺さず放置した、しかし地球にいるバルタンは危険因子として完全排除するしかなかった、とは考えられないでしょうか?
もちろん、最初に提示した「地球への移動を優先した」というのが最も理に適っているとは思いますが、ウルトラマンの心の中にはそんな思いもあったように思うのです。
地球に牙を剥くものは許さない、けれど彼らバルタンもまた不幸な宇宙の難民です。
八つ裂き光輪は、スペシウム光線を丸めたものという設定通りなら、切断された断面付近の細胞は完全に焼け死んでいると思われますが、それ以外の部分は生きているはずで、一定時間を経過すればまた生き返るのは目に見えています。
実際、後のエピソード「禁じられた言葉」では二代目に容姿がそっくりなバルタン星人三代目が登場しています。相変わらず懲りない連中ですが、彼らがしつこく生き延びた背景には、ウルトラマンの温情もあったのかもしれません。
(了)

