我ながらまたマイナーなチョイスではありますが...。
この曲は、当初カセットテープでのみ発表されたとかいう本格デビュー前の楽曲集「You Can Play These Songs With Chords」に収録された楽曲の一つです。現在はもちろんCDやサブスクで聴くことができます。とにかくデスキャブにハマっていた頃に全ての音源を片っ端から集めて聴いていたときに出会ったのがこの曲でした。
曲調もどこか寂しげで、デスキャブらしいメロウな独特の空気感や哲学的な歌詞や文体もこの曲からすでにはっきりと感じ取ることができます。
抽象度が高い歌詞が面白く、英語のサイトでネイティブのリスナーたちからも「意味が難解」と言われている曲です。
抽象度が高いからこそ歌詞に込めた意味を汲み取って日本人の耳にもスッと入るよう意訳してみたいと思います。
和訳(意訳)
Leaving the central state from shallow ground
寂れたこの街を出ていく
Home in the valley but the rent's paid south
家は谷間に 家賃は南に
You said the urn was half full when I said it was half empty
届かない未来より 満たされていた過去
With what was left of our fair city
それが輝いて見えたんだ
Call in the army corps of architects
重機をたくさん集めて
To flatten the skyline and begin again
土地をならしてやり直そう
I knew the years would move quickly,
こんなに早く時が経つなんて
But never quite as fast as this
わかっていたはずなのに
So bring the discrepancies, I'll pour the drinks
おかしな世の中に乾杯を
解説
サビがあるのかないのかわかんないんですが寂寞としたこの歌の雰囲気が好きです。
文学的でたまらないのがやはりこの歌詞、
You said the urn was half full when I said it was half empty
直訳すると、
「半分からっぽだと僕が言った壺を、君は半分は満たされていると言った」
という内容です。
他の歌詞からも、もう旅立った過去の古巣を冷たい目で見ていた「僕」と、そんな土地を愛しているような口ぶりの「君」。郷愁か懐古か、愛おしむ気持ちはあれど、二人の間には埋められない溝があるように思えますね。
それをなるべく抽象化して
「届かない未来より 満たされていた過去」
と訳してみました。